2017年09月29日

小さな理由を意識して大事にする

「貴方はなぜ働くのか?」という問いを投げかければ、様々な答えが返ってきます。

お金のため、自分を成長させるため、社会とつながるため、誰かの役に立ちたいため、中には働いたら負けだという意見もあります。

あくまで個人的な意見と前置きをしておきますが、働く一つの理由である「お金を稼ぐため」というのは、ボランティア活動でない限り、全ての人に共通することでしょう。

労働者として企業に勤める以上、当然、労働の対価として賃金を得る契約をしているわけですから、お金を稼ぐためでない理由はありません。

お金を稼ぐため「だけ」であれば、賃金額の違いがあったとしても、全ての仕事で賃金を得ることはできるわけですから「その会社・その仕事を選んだ理由にお金だけではない理由が含まれている」ということになります。

以前、ブログでも書きましたが、私が子供のころに抱いていた夢は、皇宮護衛官になることでした。

子供時代の夢ですから、お金のためだったり誰かの役に立ちたいなどの理由などではなく、あくまで式典時の制服がかっこいい(馬に乗って護衛したい)というレベルだったわけですが、もし大人になっても皇宮護衛官を目指していたのであれば、その仕事をする理由が恥ずかしながらそれほど変わらなかったのではないかと思っています。

私は社会保険労務士の立場として、顧問先さんの採用面接に同席することがあるのですが、その場で聞く「働く理由」は、オブラートに包まれた繊細なものです。

本音なのか建て前なのかわかりませんが、お金を稼ぐため以外の理由が必ず存在しています。

その仕事に興味があったから、有名な企業だから、自分が成長できるスキルや経験を得ることができるから、福利厚生が充実しているから、子供を育てながら働きやすい環境があるからといった、その会社で働く理由として挙げやすい理由以外にも、通勤が楽だから、肉体的に楽そうな仕事だから、専門知識がなくてもできる仕事だからなど、少々理由として挙げるには腰が引けるものなどもあると思います。

私個人的には、この働く理由に崇高な理想や思いを求める必要ないと考えています。

高い理想や思いは、達成したときの達成感よりも、達成できないことへの苛立ちや掲げた思いとのギャップが大きくなればなるほどモチベーションを下げていくことになるからです。

誤解を避けるために付け加えていえば、働く理由に高い理想を掲げるべきではないということではありません。

高い理想や思いがなかったとしても、お金を稼ぐという共通の理由に加えて「各個人が感じている小さな理由」で十分だと考えているからです。

ここで重要なのが「その小さな理由を意識して大事にする」ということです。

キャリアデザインや自己実現など、仕事をするうえでの自分を向上させるための方法論は沢山あるのですが「なぜ働くのか」という根本の部分に一定の納得感がなければ意味がありません。

そのため、なぜ働くのかという問いを難しく考えることはないと考えています。

絵を描くのが好き、人と話をするのが好き、将来に向かって形に残る仕事をしたい、制服がかっこいいといったような感覚的な理由でも十分ですし、その会社で務める理由も会社の雰囲気がいい、働きやすい、職場のコミュニケーションが良好だからという「ふわっとした」理由でも十分だと思います。

その仕事を続ける理由、その会社にいる理由、自分が感じている小さな理由でも常に意識して大事にすることで、お金を稼ぐことだけではない「働く理由」に自分なりの納得感を得られるのではないでしょうか。

ほとんどの人たちが仕事をしてお金を稼ぎ生活を営んでいきます。それも長い期間にわたって。

働く理由に自分なりの「小さな納得感」を感じることで、長い人生における「働くこと」にすべての人が意味を見出してほしいと思います。

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2017年08月30日

小さな火種の時に対応する


最近SNS上でふと目についた件がありました。

普段は他愛もない日常のことを書き込んでいたのですが、所々で会社の悪口を書いて憂さを晴らすような投稿をする人でした。

もちろん、どこの会社なのか、誰に向けての悪口なのかは分からないように書かれているので、「まぁ、愚痴を吐き出す場として使っているのだろうな」程度の感想しか持っていなかったのですが、ある日突然、会社のLINEと思われる画像を添付して痛烈に批判を展開しだしたのです。

SNS上で見かけていただけで、実際にあったことも話したこともない人ですので、私がとやかく言う立場にはありませんが、正直なところ驚きました。

そのLINEと思われる画像は、見る人が見れば、どこの会社のことか誰のものであるかわかる内容ですので、投稿を見た人たちから「それを投稿するのはマズイのではないか」といった書き込みが当然あったわけです。

ところが本人は「私は悪くない。悪いのは上司であり、会社だ。」の一点張りで、まったく聞く耳を持とうとしません。

SNSという世界中の人が目にすることのできる場で、個人や会社が特定できるような情報を掲載したこと自体も問題ですが、それ以上に、その人の行動や発言を見る限り「自分自身を客観的に見れていない」ことを痛烈に感じました。

この「自分自身を客観的に見れていない」というのは、人事・労務管理の世界でトラブルを起こす人に共通しています。

とにかく「悪いのは他人であり、自分は決して間違っていない」という考え方でのみ物事をとらえている状態です。

もちろん様々な状況のもとに人事・労務管理上のトラブルが起こるので、本人が全く悪くない状況の時もあると思いますが、往々にして「トラブルとなった原因が本人にもある」ケースが大多数ではないでしょうか。

最近、ご近所トラブルの話題をワイドショー等で見かけますが、一般的に見れば「トラブルを起こしている人の行動に問題がある」と感じる内容であったとしても、トラブルを起こしている人たちは決して「自分が悪い」とは思っていません。

トラブルを起こすような行動をするに至ったきっかけが、何かしらかあったのだと思いますが「私がこのような行動をするのは○○(他人)のせい」と考えているのは間違いないのでしょう。

そのように「自分自身の行動や言動を客観的に見ることができない人」に理論立てて「それは間違っている」と諭したとしても、残念ながらその間違いを認めることはありませんし、考え方を改めることもしない(できない)のが現実です。

誰もが人と人とのトラブルには巻き込まれたくないものです。

私は社会保険労務士という立場ですので、顧問先企業様で人事・労務管理上のトラブルを無くしたい、減らしたいと常に思っています。

様々なご相談案件に対応する場合も、法律的な観点というより、感情の生き物である人が「その対応方法に対してどう感じるか」という感覚を大事にしています。

それでもなお人事・労務管理上のトラブルを全て無くすことが難しいのは、感情の生き物である人を扱う所以でしょうか。

しかしトラブルになった後の対応も、そのトラブルに至った「前」の対応一つで大きく結果が変わってくるものです。

大きな火災を消火させることは大変ですが、小さな火種であれば消火は容易です。

希望的観測ではありますが「自分自身の行動や言動を客観的に見ることができない人」が起こす大きな火災は、消火するのに大きな犠牲と労力を要しますが、小さな火種の時に対応すれば結果が変わるかもしれません。

常日頃の人事・労務管理上でおこる出来事一つ一つにトラブルの火種が存在していることを認識し、小さな火種の段階を放置して大きな火災になってから慌てないよう、小さな火種の時に消火をしていく意識を常に持っていきたいところです。

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2017年07月31日

人間関係の悪化を放置しない


過去のニュースレターでも何度か話題にしましたが、人事・労務管理の世界では「職場の人間関係」が非常に重要です。

人間関係がうまくいっていれば、職場における労務環境に対する不満も和らぎますし、逆に、人間関係がうまくいかなければ、どのような好待遇であったとしても、その職場で働き続けていくことは難しいものです。

賃金や労働環境等をより良いものに整備していけば、当然、退職者は減っていきますが、それでもゼロにならないのは、人間関係という感情の生き物であるヒトならではの問題が色濃く残っていることも要因の一つといえます。

この職場の人間関係は、仕事のパフォーマンスにも大きく影響しています。

上司が変わる、プロジェクトメンバーが変わるといった、仕事を共にするヒトが変わることでパフォーマンスが大きく変動することがあり、ある会社で第一線で活躍していた人を好待遇で雇い、前職と同じ内容の仕事を任せたが、まったく成果を出すことができないという場面を目にすることが現実問題としてあります。

これは個人的な仕事のパフォーマンスが低下したわけではなく、会社の社風や一緒に仕事をする上司・同僚・部下との人間関係の相性が合わないことによって引き起こされているのではと考えています。

プロ野球の世界でもよく目にすることなのですが、あるチームで4番を務める強打者が、チームを変えた途端、まったく打てなくなってしまうようなことがあります。

このケースでも強打者としてのパフォーマンスがいきなり低下するとは考えにくいので、個人的な能力が低下したわけではなく、別の要因(おそらくチームとの相性や人間関係の相性)がパフォーマンスに大きく影響していると思われ、職場において目にする唐突なパフォーマンスの低下に似ているように思います。

このように仕事のパフォーマンスは、個人の能力だけではなく、様々な要因で上下するものであるので、仕事ができる人、仕事ができない人というレッテルを貼ること自体、それほど意味のあることだとは思えません。

違う仕事を任せてみたら驚くほどのパフォーマンスを発揮したといったことも珍しいことではありませんし、部署や上司、同僚が変わったなどといった、人間関係の変化でもパフォーマンスの変化は起こりうるものです。

これは私の個人的な発想ですが、どのような人であれ、仕事や職場で輝ける場所が必ずあると思っています。

たとえ仕事ができない人といったようなレッテルが貼られてしまったとしても、いま担当している仕事や仕事をするメンバーが変わることで、劇的とまでは言えないまでも、良い方向に変わっていけるチャンスがあると考えているからです。

だからこそ、会社の社員すべてが「仕事のできる人」になるために、どのような仕事を任せるのかといったことだけではなく「どのようなメンバーと仕事をさせるのが良いのか」といった視点から見ていくのも人事・労務管理の重要なポイントとなります。

私が会社員時代に、それなりの結果を残せてきたのも「職場における人間関係の相性が良かったため」だと今でも思っていますし、人間関係の相性が悪ければ、同じような結果を残すことはできなかったと思います。

しかし、職場における人間関係は「できれば触れたくない」と考える人も多いのではないでしょうか。

人間関係にはナーバスな問題も含まれますし、上司が男性であれば女性の人間関係、上司が女性であれば男性の人間関係に触れていくことに一歩引いてしまうのもわかります。

しかし、職場における人間関係は、会社に勤め続ける意欲、パフォーマンスに大きく影響を及ぼす部分ですので、人間関係を崩すような要因であったり、人間関係の悪化を放置するような人事・労務管理は、会社に大きな損失を生みます。

十分な配慮が必要ではありますが「人間関係の悪化を放置しない」という人事・労務管理の考え方は重要になってきますので、思い当たる節がある場合、大きな問題に発展する前に早急に対応していきたいところです。

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2017年06月30日

明日も同じように時を刻めることを前提としない

日本生産性本部が6月に発表した「新入社員 働くことの意識調査」によると、働く目的として「楽しく生活したい」と答えた人が42.6%となり、過去最高を更新したようです。

また「好んで苦労することはない」と考える新入社員も29.3%で過去最高を更新し、働くことに対する意識として「人並みで十分」という意識が高まっていることが見てとれます。

今後、このような傾向は引き続き高まっていくことでしょう。

「最近の若者はなっとらん!」とお叱りの声が聞こえてきそうですが、若者たちが置かれている日本の労働環境からみれば、やむを得ない部分もあるように感じています。

その点を踏まえていけば、休みの多さや残業時間の少なさといった部分が人材の確保に有利に働いていく傾向が強まっていくため、人事・労務管理上も重要なキーワードです。

ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)が提唱されて久しいわけですが、様々な業種、個別に能力の違う労働者、クライアントの意向等により、統一的に運用することが難しいのも実態ではないでしょうか。

ここから私的な意見ですが、若者に限らず働くすべての人が、仕事だけではなく、遊びや家族と過ごす時間を大事にすることには賛成の立場です。

私自身若いころは、明日を当たり前のように迎えられるのが当然だと思っていましたし、孫に囲まれた幸せな老後も当然のように迎えられると信じて疑わなかったわけですが、最近それらが当たり前でないことを痛感しています。

ここ数年、私と年齢の変わらない友人を病で失ったり、幼い命が病で失われる悲しみを目の当たりにしているからかもしれません。

病だけではなく、事故・事件で昨日まで元気だった人が突如この世を去ることもあり、それらが自らの身や家族に起こらない保証などありません。

だからこそ毎日大事な一日なわけですが、24時間という平等に与えられた一日の時間をどのように使うかは自分次第なところがあります。

睡眠や食事の時間などの必ず必要な時間を除けば、さらに短い一日の時間を仕事・遊び・家族と過ごす時間をどのように割り振るのか、どの部分に重点を置くのか、一日だけでなく1か月ではどうか、1年ではどうかといったことを考えさせられます。

このような話題では、必ずといってよいほど「若いうちは、こうすべき」「今は我慢して将来のために」といった言葉が出てくるものです。

考え方として間違いではないと思いますが、その言葉は「明日も同じように人生が続いている」ことを前提としています。

もちろん、病気もせず事故にも事件にも巻き込まれなければ、明日はいつものように訪れ、時を刻むことができます。

しかし、確実に時を刻み続けられることが保証されているわけではありませんので、そこから導き出された答えが「今、最もベストな時間配分を心がけること」だと考えています。

最近私は、仕事であれ、遊びであれ、家族との時間であれ、一つに偏るような時間配分を避けるように努力しています。

当然、様々な状況により、その時間配分のバランスが日々変化するのですが、意識してスケジュールを組んでいけば一つに偏るようなことはありませんし、一定のサイクルでバランス調整ができるものです。

このような時間配分を意識して以降、私はストレスフリーな状態に近づいていったように感じています。

会社がワーク・ライフ・バランスへの取り組みをしてくれないと何もできないということではなく、自分自身で可能な限りタイムマネジメントをしていくことが重要なのではないでしょうか。

国が何もしてくれない、会社が何もしてくれない、家族が何もしてくれないと他を批判するのは簡単ですが、自分の人生をどう過ごしていけるかは、結局、自分次第だということになります。


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2017年05月31日

隣の芝生が青く見えた時の考え方

隣の芝生が青く見える。

自分の庭の芝生よりも、隣の家の芝生のほうが青く綺麗に見えるという「ことわざ」で、自分にはない他人の何かを羨ましく思ったり、時に嫉妬するような感情を抱くことを表現する時によく使われています。

すべての人が家庭環境や仕事環境など、日々の生活の中で隣の芝生が青く見えることが多少なりともあると思います。

ところが「青く綺麗に見えていたはずの芝生」が「実は大して綺麗ではなかった」ということが多いのも実態です。

外から見る隣の芝生は「表面しか見えておらず」その奥深くにある「真実」にたどり着けていないため、その奥深くを覗いた瞬間「真実の色」が見えてしまい、その色は「思っていたほどの綺麗な青ではなかった」ということです。

なぜ今回このような話から入ったかというと、中小企業の人事・労務管理の世界では、一度退職した社員が再度退職した会社に戻る(出戻り)が結構あるからです。

出戻る理由は人それぞれだと思いますが、いくつかのケースで話を聞いてみたところ「同業他社に転職したけど、この会社のほうがよかった(ましだった)」という理由を話す人が大多数です。

個人的に100%満足いく仕事環境(賃金だけではなく労働環境)を得るのは、実際問題のところ不可能に近いわけですので、言い方は悪いですが「ましだった」という表現であったとしても、自社が構築している仕事環境が他に比べて優れているといってよいと思います。

このような出戻った社員の話を聞いてみれば、最初に会社を辞めた時に「隣の芝生(ほかの会社)が青く(より良い仕事環境)見えていた」ことは確実でしょう。

賃金であったり、労働環境であったり、多少なりとも不満を感じているのが普通ですから、もっと良い仕事環境があるのではないかと思うのは不思議なことではありません。

私自身、社会保険労務士となる前に社員として勤めていたのが1社だけですから、転職経験がありません。

転職経験がないからといって、その会社に100%満足していたかといったら、当然ですがそのようなこともありません。

隣の芝生が青く見えることも当然あったわけですが、運が良いことに同業他社に転職しようとまでは思いませんでした。

その理由は明白なのですが、やはり「一緒に仕事をする人たちとの相性がすごくよかった」ことが大きかったと思います。

もちろん人間ですから、人によっては合う・合わないといったことがありますが、上司・同僚・後輩と一緒に仕事をするうえで、大きなストレスを感じるようなことがなかったからだといえます。

じつは出戻った人がいう「この会社のほうがよかった(ましだった)」というのは、賃金や労働環境といったこと以上に「人との相性」が大きなウエイトを占めているのです。

隣の芝生が青く見えて転職した結果、賃金は上がった、労働環境もそれほど悪くなかった、でも「戻ることを決断した」のはなぜかと問えば「転職先の社員と合わなかった」という理由が多いからです。

人は本能的に「居場所」を求める生き物です。

多くの時間を過ごす会社環境の中で「居場所がない」状態に耐えることができません。

芝生が青く見えていた隣の庭(会社)の人と合うのか・合わないのかは、入社してみなければ判断しようがありませんので、賃金や労働環境に不満がある(これは誰もが持っていること)けども、「会社で良好なコミュニケーションが取れている(居場所がある)」という状態であるのであれば、今見えている「隣の芝生の青さ」は転職後に薄れていくことが確実だといえます。

隣の芝生が青く見えたときは、ふと冷静に考えてみる、考えるよう促してみてはどうでしょうか。

今ある「居場所」を捨ててまで取りに行くべき青さなのかどうかを。


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2017年04月28日

打たれ弱さを理解して叱る

この時期は、研修などを通して新卒の社員として入社した若い人たちと話をすることが多くあるのですが、凄く素直な子たちが多いというのが実感です。

初めて会社員として仕事をし始めたばかりのため、見るもの・経験することすべてが新鮮に映っているからだと思いますが、色々な事を学ぼうという意欲が高いですね。

ゆとり世代と揶揄されることも多くありますが、20年程度前に私が会社員として初めて社会に出たときに比べて見ても、それほど違いがあるとは思えません。

しかし最近の若い世代に共通すると日々感じている事が一つだけあります。

それは「打たれ弱さ」です。

一定のスキルのある中途採用とは違い、時間をかけて育てていくのが新卒社員ですから、様々な研修やOJTを通して育てていく過程の中で、どうしても「叱る」という場面が出てきます。

ある程度の経験則のある上司や先輩であれば「叱るスキル」も持ち合わせているはずですから、それなりに気を使いながら叱っているはずです。

ところが、この叱られたという事実に対して過剰な反応を示してしまう新卒社員が多く見受けられます。
 
トイレで泣いている、早退してしまった、翌日から来なくなってしまった等、教育する側に立った人であれば、一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

そのような事態になった時の経緯を聞いてみても、通常の教育範囲内のことであり、過度な叱責をしたわけでもありません。

コストをかけて採用した新卒社員を大事に育てようと考える上司からしてみれば、なぜこのようになってしまったのかと悩んだ結果として、叱ることを躊躇うケースも出てきています。

「そんな打たれ弱い奴はいらん」と言ってしまえば元も子もないのですが、最近の傾向として見れば、総じて打たれ弱い若い人が多いため、無視できる問題でもありません。

私も会社員時代に、新入社員の教育を担う立場にいたことがあるのですが、年々打たれ弱い子たちが増えてきているのを実感していました。

教育を担いだした当初は、職人気質な職場であったこともあり「荒い叱り方」が通用していましたが、会社を退職する直前のころには「厳しく叱ること」を禁止する風潮まであったことを思い出します。

しかしながら、利益追求集団が集う会社というフィールドの中で「叱らない」という選択肢はあり得ませんので、打たれ弱い若い人たちが多いことを認識したうえで、叱っていかなければなりません。

では、どのように叱っていくべきなのか。

ポイントは「その叱った内容に納得感を得られたか」という部分だと思います。

あるケースでは「これが駄目だ」と叱ったとしても「なぜだめなのかが理解できない」「ではどうすればよいのかわからない」といった事が往々にあるようです。

つまり、叱られた内容が「駄目」だと理解したが、新卒社員にとっては「ただ叱られた」という事実だけが残ってしまっているようです。

ケースバイケースではあるのですが「叱るべき内容が何故だめなのか」「どのようにすればよいのか」を伝えながら叱ることで、叱られた内容をより理解する事ができ、叱られたことに納得感が出てくるのではないでしょうか。

「そんなことまで教えないと駄目なのか」という悲壮感が聞こえてきそうですが、他の会社の「色」に染まっていない新卒社員は、育て方ひとつで良い意味での「自社の色」に染まっていくわけですから、根気よく、丁寧に叱りながら育てていきたいところです。

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2017年03月31日

個人的で身勝手な要求を受け入れてしまうことの危険性


社員数が100人ぐらいまでは、経営陣と社員の距離感が近いこともあり、社員が経営陣に対して直接意見を伝えたり、要望を伝えたりしている場面を良く目にします。

風通しの良い職場環境とも言えますので、それ自体が悪いことだとは思いません。

しかし、直接伝えられた意見・要望が会社全体の人事・労務管理の向上に関する内容であれば良いのですが、中には「自分のためだけの意見・要望」を伝えてくるケースも少なからずあるのも事実です。

給与面での待遇に関する要望や人事・労務管理上の取扱いに対する要望など「自分にはこうしてもらいたい」といった身勝手な要求です。

過去のニュースレターにおいても人事・労務管理の現場において最も重要なのは「公平性」であることを常々お伝えしてきていますが、当然ながら個人レベルでの身勝手な要求をのんでしまえば公平性を確保する事はできません。

社員個々人からすれば、少しでも自分の待遇をよくしたいと思うこと自体が不思議な事ではありませんが「自分のためだけの意見・要望」を伝えて、何とかしてもらいたいという行動に出ることが好ましいとは言えません。

何故、このような身勝手な要求をするに至ったのか。

多くのケースで「以前、要望を言った時にその通りにしてもらった経験」を持っているからです。

つまり「言えば何とかなる」という「実体験」をすでに持ってしまっているからこそ、不満に感じていることを、自分自身では身勝手な要求であるとも思わずに行動を起こしてしまっているわけです。

このようなケースに遭遇した時、以前「個人的な要望」を認めてしまった事実を思い起こすことがあるのではないでしょうか。

以前認めた個人的要望は「公平性」を欠くようなレベルの話ではなかったかもしれません。

しかし、一度でも身勝手な要求が通ってしまった経験があると、その要求がエスカレートしていく傾向にあります。

本人からしてみれば「自分のための要求」が会社の公平性を欠く程の話なのかどうかといった尺度で見ているわけではありませんので「お願いした要求がとおった」という事実のみが記憶の中に残るわけです。

「それは認められない」といった場合であっても、必ずといってよいほど「前は認めてくれたのに何故ですか?」といった答えが返ってくるのも、要求の内容は関係なく、認められた事実だけが印象に残っている証拠です。

結論から言えば、会社の人事・労務管理の現場においては「個人的で身勝手な要望」を聞く必要はないということです。

ただし、最初は個人的な要望として出てきた話であったけども「全社員に適用する事が好ましい要望」であったのであれば、人事・労務管理全体の話として要望を受け入れることは有り得ます。

しかし、あくまで個人に対してではなく会社全体の話として要望を受け入れただけですので、人事・労務管理における公平性は確保できるわけですし、最初に要望を上げてきた社員から見ても「個人的に認められた」とは思わないでしょう。

「前は認められたのに何故ですか?」とくれば「前回の件は社員全体の公平性を確保できる話だったが、今回は違う」ということで事足りるはずです。

「この程度のことだったら良いか・・・」という考えは捨ててください。

感情の生き物であるヒトが集う人事・労務管理の世界において「個人的で身勝手な要望」を受け入れることは非常に危険な事です。

人事・労務管理の重要な公平性を確保できないような、個人的で身勝手な要望を伝えてくるようなケースがあった場合は「公平性を確保できない要望は受け入れられない」といったスタンスで事にあたってほしいところです。

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2017年02月28日

価値観における想像の域と実感の溝

既に初老と呼ばれる年齢に突入している私ですが、ここ20年で価値観が大きく変化していると感じています。

学生だったときに感じていた仕事をするということの価値観、結婚する前に感じていた結婚に対する価値観、子供が生まれる前の子供に対する価値観、開業する前の事業を行うということへの価値観、これらすべての価値観が異なる立場に身を置くことや経験を経て大きく変化しています。

一つの例を上げるならば、子供が生まれる前までは「これほど子供を愛し、成長を見守る責任感」を自分がここまで感じるとは思ってもいませんでした。

その立場に身を置かなければ「想像の域」をでないため、その立場に身を置いて初めて「実感」へと変わり、自らの価値観へと影響を及ぼしてきているわけです。

なぜこのようなテーマを書きだしたかといえば、人事・労務管理の世界でも価値観の違いからくるトラブルや問題に直面する事が多くあるからです。

誤解を恐れずにいうのであれば「想像の域」の立場の人が「実感」を持っている人の気持ちや苦悩を理解するのは非常に難しいということです。

たとえば子供を育てながら働く人が持つ実感と、独身で働いている人が持つ実感は大きく乖離していますし、病気を持ちながら働く人の実感と、健康で働く人の実感も大きく乖離しています。

その乖離とは「想像の域」と「実感」の溝なわけですが、一方が「想像の域」で語られることを否定し、一方で想像の域であることを「さも実感であるように」語ることで、修正する事の出来ない溝を深めてしまうことがよくあるものです。

皆さんにも思い当たる節があると思いますが「想像の域」をでていない価値観を「私は貴方のことを理解している」という気持ちで話した結果、逆に怒りをかってしまったり、失望感を与えてしまったりするようなケースです。

このようなケースを見ていく限り「想像の域」での価値観は「実感をもつ」価値観の心理に近づくことは容易な事でないことがみえてきます。

私は仕事柄なるべく俯瞰で物事を見るように意識していますが、それでも私個人が持つ価値観に考え方が引っ張られてしまうことを否定できません。


様々な価値観をもつ人が集まる人事・労務管理の世界において、異なる価値観を認め合うというのは容易なことではなく、自らが持つ価値観が正しいと思うあまり、その価値観を押し付けてしまうことが多くなるのは、感情の生き物であるヒトである以上やむを得ないところかもしれません。

だからこそ人事・労務管理の現場においては「人それぞれ価値観が違うのは当然」と割り切っていくほかないと考えています。

それを言ってしまったら元も子もないと思われるかと思いますが、価値観の違うもの同士の議論が噛み合う場面を見たことがありません。

たとえば人事・労務管理とは関係ありませんが、国家論などにおける右派・左派の双方の主張が噛み合うことはなく、建設的な議論にならないのが典型的だといえます。

つまり個々人が持つ価値観とは、自らの「実感」によってのみ作り上げられてくる感覚であり、他人に諭される、説得されることによって簡単に変えてしまうことのできるものではないと言えるのではないでしょうか。

そのような観点から人事・労務管理の現場において価値観を考えるのであれば、結局のところ価値観の違う人・合わない人を採用しないというところにたどり着いてしまいます。

もちろん価値観とは様々な物事に対して持ち合わせているものですから、全ての価値観を共有することは不可能です。

しかし、会社が目指している方向性や人事・労務管理における考え方において、絶対的な価値観の違いを避けるために、採用面接の場において一定の情報を公開し、価値観の違いによるミスマッチを起こさないようにするだけでも効果はあると思います。

ヒトは価値観を簡単には変えられないわけですから、採用選考の段階で同じ行先のバス(目指すべき方向性が同じ)に乗れる人を見極めていきたいところです。

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posted by マサ at 16:38| 社労士日記

2017年01月31日

誤解を生まない伝え方

新年あけましておめでとうございます。今年も弊事務所のブログをよろしくお願い致します。

今年も人事・労務管理の現場で経験したことから感じたこと、気が付いたことなどをブログの中でお伝えしていけたらと思います。

さて、日々の生活の中でも「そのような意味で言ったつもりではなかった」「そういうことを伝えたかったわけでは無い」といったように、伝えたかった意図が違う形で伝わってしまうことがよくあるものです。

日常生活での誤解は、多くの場合リカバリーがききますが、会社組織という中での誤解は大きなトラブルに発展してしまうことが少なくありません。

最近「まったくもって誤解なのですが、このようなことになって困っています」というご相談を多く受けるようになりました。

その誤解へとつながる経緯を聞いてみると、いくつかの共通点が見えてきます。

その一つが伝えたいことを「遠まわしに話した」ことで誤解を生んでいるケース。

守秘義務の関係で詳細は語れませんが、誰しもが「言いにくいことほど」遠まわしに伝えようとする傾向が強いので、結果として伝えたいことが相手に伝わらず「そのような話は聞いていない」「そのような話だと思わなかった」ということを言われ、トラブルになってしまうことが多くあります。

もう一つは、伝えたいことを「省略して話してしまう」ことで誤解を生んでいるケース。

話をする側からすれば「このぐらいの内容の話をすれば伝わるだろう」という思い込みから、伝えるべきことを省略して伝えてしまうことで、同じように相手に本当の意思が伝わらずに誤解を生んでしまうことからトラブルへと発展してしまうようなことも多くあります。

もう一つは、伝えたいことの「伝え方を間違っている」ために誤解を生んでいるケース。

たとえば、個人に対してのみ伝えればよい話なのに、周りに他の人がいる場で話してしまうことで、伝えられた本人のプライドが大きく傷つけられてトラブルとなる場合や、威圧するような態度で話す、馬鹿にしたような態度で伝えるなど、伝え方が間違っていることで取り返しのつかないトラブルへと発展してしまうこともあります。

このような誤解から生まれたトラブルは「いや、そんなつもりで言ったのではない」と誤解であることを伝えたとしても修復する事が非常に難しいのが想像できると思います。

最後の「伝え方が間違っている」ケースは、伝える側の大きな問題ですので指導していくことで、このようなケースを生むことは減っていきますが「遠まわしに話した」と「省略して話してしまう」ケースは、意識していなければ簡単に起こりうることです。

誤解を与えたことでトラブルが生み出されている背景には、伝える側に何かしらかの問題がある可能性が高いので、そのようなトラブルになった場合は、その本質を変えていかなければ同じようなトラブルを生み出していきます。

ただし過去のブログでも話題にしたことがありますが、残念ながら「何を言っても話を聞く気が無い」「まったく話が通用しない」といったケースもありますので、誤解を生む以前の問題といったトラブルもあります。

しかし、伝え方によってはすんなりいく問題が、伝え方の問題により誤解が生まれてトラブルになるのは非常にもったいない話ですから、伝える側が「はっきりと正確に配慮を持って伝えること」を意識するのは重要なことだと思います。

人事・労務管理の世界で起こるトラブルは、実は些細な事がきっかけであることが多くありますので、トラブルを解決するための努力と合わせて、何故そのようなトラブルになったかの本質を探っていき、今後同じような事にならないように修正すべきところを修正していくことが大事になっていきます。

人と話をすること、説明すること、提案することが多い仕事である私自身も「伝え方」には細心の注意が必要ですので、誤解を生まないように日々意識しながら伝えていく努力をしていきたいと思います。

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posted by マサ at 18:44| 社労士日記

2016年12月28日

副業・兼業容認の捉え方

いよいよ今年も残りわずかとなってきましたが、毎年「もう1年たってしまったのか・・・」と時の流れの速さに驚くのが恒例行事のようになってきています。

新鮮な経験が多いほど時間のたつ速度が遅く感じるという考え方があるそうで、子供の時ほど時の流れが遅く感じられるのは新鮮な経験を多くしているからだとか。

その理論で言えば、時の流れが速いと感じるのは新鮮な経験をしていないということになるのですが、社会保険労務士の担う人事・労務管理の世界は「感情の生き物であるヒトを扱うため、良くも悪くも新鮮な経験」が多くあるので時の流れを遅く感じてもよいものですが・・・。

年齢によって時間の速度をどのように感じるかが違ってきたとしても、実際に存在する時間は同じですから、その時間をどのように使うかは人それぞれ違う時代へと突入していきそうです。

最近、正社員の副業や兼業を容認していく動きが大手企業を中心に広がってきており、政府も「働き方改革」として後押しする方針のようです。

現状では原則として副業を禁止する企業が大多数ですが、その理由として本業に支障をきたす可能性、長時間労働による健康問題、社会保険料の取扱い、労働時間通算の取り扱いなど、副業や兼業をすることで人事・労務管理上様々な問題が出てきてしまうためです。

政府方針では、上記のような様々な問題に対して指針を示すことにしているようですので、どのような方針が示されるのか注目したいところですが、運用上簡単に解決できる問題ではないことも確かです。

そもそも副業というと、本業が終わった後にアルバイトをする・ネットビジネスで稼ぐという「本業以外でお金を稼ぐためのもの」というイメージが一般的です。

しかし今回いわれている副業・兼業とは「本業では得られない経験や人材交流を通してスキルアップを図り、価値ある人材になるための行為」といえるのですが、そのような捉え方をして実践できる人はごく一部ではないでしょうか。

副業を禁止している会社に勤めているため、副業とならないようにお金を貰わずにプロジェクトに参加している人が現状もいるわけですので、そのような人にとって副業が容認されたからといってスキルアップを図るための行為という考え方や捉え方が変わることはないでしょう。

要するに副業や兼業を容認していく流れが加速していくとしても、捉え方ひとつでまったく違う行為になってしまうことは間違いなさそうです。

副業・兼業の容認に向けて政府の動きに対する報道への反応を見ても、歓迎する反応がある一方で長時間労働を抑制していくという方向性に相反するという否定的な意見も多く聞かれています。

この反応の違いも「副業・兼業という行為の捉え方の違い」から生まれてきているのではないでしょうか。

いずれにせよ副業解禁という言葉だけが独り歩きする事によって、間違った方向性に進まないことを期待したいところです。

本年は本日最終営業日とさせていただき、来年は5日から通常営業とさせていただきます。
(12月29日から1月4日を年末年始休業日)

皆様、良いお年をお過ごしください。来年も引き続きよろしくお願い致します。

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