2015年04月30日

ストレスチェック制度における検討点

近年、仕事や職業生活に強い不安や悩み、ストレスを感じている人が増えてきていると言われており、そのストレスが原因で精神障害を発症し労災認定されるケースも年々増加傾向にあります。

こうした背景を踏まえて平成26年6月に公布された「労働安全衛生法の一部を改正する法律」において、心理的な負担の程度を把握するための検査(いわゆる「ストレスチェック」)とその結果に基づく面接指導の実施を会社に義務付けることを内容としたストレスチェック制度が新たに創設されました。

このストレスチェックの実施は、本年12月から常時使用する労働者が50人以上の会社において義務化(50人未満は当面努力義務)される制度ですが、簡単にいえば以下のようなものです。

1 医師等が社員のストレスの状態を質問票でチェック
2 そのストレスチェックの結果、高ストレス者の可能性のある社員を選定
3 高ストレス者と選定された社員の申出により医師による面接指導を実施
(面接指導とは、その社員の勤務状況や心理的負担状況等を医師が社員と面談により確認し、休業が必要などの意見を医師が会社に伝えるもの)
4 面接指導の結果を受け、高ストレス者に対し会社が適切な措置を実施

 上記のような流れを定期的に行うことで、高いストレスを感じながら働いている社員を早期に発見し、メンタルヘルス不調を未然に防止する事を目的としています。

ストレスチェック制度の流れ.gif

【出典元:厚生労働省発表資料 職場におけるメンタルヘルス対策の推進について(平成26年10月3日)】

このストレスチェックを行う際の調査票として、現状「職業性ストレス簡易調査票」とよばれる57項目の質問が列挙されている票が示されており、ストレスチェックを実施すること自体はそれほど難しくありませんが、ストレスチェックの実施、結果に基づく結果の集計・分析を行ったうえで職場環境の改善にどのように繋げていくのかは、実務上多くの課題がありそうです。

たとえば、社員がストレスチェックを受ける義務が設けられていないので、ストレスチェックを受けること自体を拒否する社員も出てくる可能性もあります。

さらに、ストレスチェックの結果は社員に直接通知されるため、会社がその結果を知るためには、会社に結果を通知する事に社員個人が同意している必要があるため、ストレスチェックを受けた社員全員の結果を会社が把握できない可能性があります。

中には、ストレスチェックの結果により医師等が高ストレス者と評価し面接指導を行うよう社員に勧奨したが、会社に高ストレスを感じている状況であることを知られたくないとの思いから、面接指導を受けたいとの申出を会社に言わないことも想定されます。

今回のストレスチェック制度では、面接指導の申出を行ったことによる解雇・降給等の不利益な取り扱いを禁止していますが「今後の人事評価や昇進に影響が出るのでは・・・」と心配するあまり、高ストレス者でありながら、そのことを会社に伝えないケースが十分あり得るためです。

今後ストレスチェック制度が義務となっていく以上、会社としては制度を有効に活用したいところですので、上記のような課題をどのようにクリアしていくかについて検討が必要になってきます。

なお、毎年行われている定期健康診断の結果も常時50人以上の社員を使用する会社には、定期健康診断結果報告書を労働基準監督署への届出が必要ですが、今回のストレスチェック制度でも、ストレスチェックを実施した旨の報告を労働基準監督署へ報告する仕組みができる予定です。

ストレスチェックを実施する時期は、定期健康診断実施時とあわせて行うことが想定されますので、会社の定期健康診断の実施状況等を確認し、ストレスチェックの実施に向けて準備や検討を進めていきたいところです。

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posted by マサ at 17:05| 社労士日記