2016年05月31日

リファラル採用からみる人材採用戦略

近年「人材を募集しているが、希望する能力を持った人がいない」「人材募集をかけているが、そもそも応募が無い」など、採用活動に苦労する声が多く聞かれています。

特に中小企業においては、ハローワークや人材紹介会社、求人情報誌や求人広告など様々な媒体を使って人材募集をしているが、求人掲載料やエージェントに支払う手数料などの金銭的コストや書類選考等に係る人的コストも限られているため、大々的に人材を募集するのにも限界があります。

そのような中で注目を浴びているのがリファラル採用と呼ばれる人材採用手法の一つで、要は自社社員の友人・知人、人脈を通じて、会社が求める人材を紹介・推薦してもらうといった採用手法です。

従来から「このような人を採用したいのだけど、良い人いないかな?」「私の友人にこのような人がいますよ」といったようなことは一般的に行われていることですので、それほど珍しいことではないのですが、このような身近な人から紹介・推薦を受けて採用活動をする流れを制度として仕組化していった手法がリファラル採用といえます。

日本の人事・労務管理の世界では、古くから縁故採用という考え方がありますが、リファラル採用とは、あくまで求める人材像を明確にし、採用候補者の質を高め、採用マッチングの精度を高めることを目的としています。

米国の採用経路の統計を見てみれば、リファラル採用による採用割合が最も多く、紹介者に対して一定の金銭的インセンティブを支払うなど、人材採用手法の一つとして確立しています。

人を紹介するということは、紹介者である自分自身の評判にも関わることなので、求める人材像に適合した人材を紹介する確率が高まることからマッチングの精度が高まる傾向にあります。

さらにリファラル採用により入社した社員も、その会社の社風や求められているスキルなどの正確な生の情報を紹介者から直に聞いているわけですから、「こんなはずではなかった」といったことになりにくく、定着率の向上も期待が出来ます。

ただし、制度としてリファラル採用を仕組化するには、一定のハードルがあるのも確かです。

リファラル採用を行う上で最も重要な部分は、社員自らが自分の勤めている会社に友人・知人を紹介したいと思う気持ちを持っていなければ、まったく機能しないということです。

そのため、ただ闇雲に求める人材像を示して、身近にマッチする人材がいるかを社員に求めたところで社員からの紹介は期待できません。

正直なところ、自らが勤める会社に対して100%満足していると公言できる人は稀です。

しかし、労働環境に不満はあるが賃金額には満足しているケースや、賃金額には満足していないが社内の人間関係には満足しているケースなど、その会社に勤め続けている理由といえる一定の満足している部分もあるはずです。

つまり、一定の満足度があり、かつ、社員の協力を得るための仕組みつくりこそがリファラル採用成功の鍵となります。

この協力を得るための仕組みとは、今まで外部に支払っていた採用コストを社員に還元する形での金銭的インセンティブを設定することや、紹介してほしい人材像の明確化から始まり、紹介から選考・入社・入社後のフォロー体制までの流れを明確化すること、さらには紹介してもらった人材が不採用となった場合であっても、会社として礼を尽くす体制など、安心して社員が紹介できるような仕組み作りは絶対的な条件となります。

このような仕組みを作り、社員に対してリファラル採用の趣旨や制度説明を行うことになるわけですが、直ぐに成果が出るほど簡単には進まないケースの方が多いと思います。

友人・知人を自らが勤める会社に紹介することで、どのような結果をもたらすかについて不安があるというのも正直なところなので、自社の事例を見てみないと踏み出せないというのも正直な声ではないでしょうか。

そのため、最初の内はリファラル採用の実施事例を作ることを優先し、人事に携わる社員や社外に顔の広い社員(営業等)を中心にキーマンとなるリファラル採用チームを結成するなどして、積極的に協力をお願いするなどの方法も有効になってくるでしょう。

それなりの成果が出るまで一定の金銭的・時間的コストがかかりますが、長い目で見れば採用戦略に有効な方法であると考えていますので、制度として仕組みを確立し、実施していく価値は十分あると思います。

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posted by マサ at 13:29| 社労士日記