2014年11月28日

人事・労務管理に関する経営判断の選択肢を広げるために

私が人事・労務管理によるアドバイスをお客様に行う中で、特に難しさを感じるのが労働時間管理の変更や賃金構成の変更、退職金制度の変更など、全ての社員に影響のある制度を変更するための提案を行う時です。

その理由の一つが「変更内容の捉え方や受ける影響が全社員ひとりひとり違う」という部分です。

たとえば、勤続30年の55歳幹部社員Aさんがいたとします。ある日会社から「退職金制度を変更します」という説明があり、今まで期待していた額の退職金を確保できない可能性が出てきました。

30年勤めてきたAさんにとって、このタイミングでの退職金制度の変更は、到底納得できるものではありません。

一方、Aさんの横で同じ説明を受けてきた勤続1年目25歳のBさんは「退職金制度が変わるのか」程度の認識しかありませんでした。

両者に同じ内容の説明をしているわけですが、それぞれが置かれている立場によって、変更内容の捉え方や影響は大きく変わってきます。

続けて新しい労働時間管理制度の導入により、今まで割増賃金(残業代)の対象となっていた時間外労働(残業)が残業とはならないケースの制度変更だったとします。

入社1年目のBさんにとって残業代は生活賃金の一つとなっており、残業代の減少を伴う労働時間管理制度の変更には、到底納得できるものではありません。

ところが同様の説明を聞いていた幹部社員Aさんは、元々管理・監督の地位にある者として時間外労働の割増賃金の対象とはなっておらず、部下の労働時間管理方法の変更といった程度の認識のみであり「自分にはそれほど影響のない変更」と感じていました。

このAさん・Bさんに共通する事は、結局のところ物事の判断基準が「自分にとって得なのか損なのか」という部分だということです。

感情の生き物であるヒトである以上、社員個々人が「会社」にとって良いのか悪いのかといったことではなく、あくまで「自分」にとって良いのか悪いのかという損得勘定で物事を見ていることは、ある意味当然と言えますし、そのことを否定するつもりもありません。

しかし、感情の生き物であるヒトが集う会社組織の中で、置かれている立場の違う社員の「全ての損得勘定を配慮」することは事実上不可能だと言わざるを得ません。

そのため、経営者側が会社(法人)にとって得なのか損なのかといった基準の基に経営判断を下すことは合理的だと言えます。

そのような経営判断を下す必要に迫られたときに、選択肢が一つしかない(法律上の問題)といったケースもありますが、多くの場合で「複数の選択肢」が存在しています。

私が人事・労務管理によるアドバイスを行う時に、私が考える方法論のみで「このようにすべき」というのは簡単ですが、経営判断を下すうえでの選択肢を自ら狭めてしまうのは、アドバイザリーとしては問題があります。

顧問やコンサルタントと呼ばれる仕事は、可能な限り「経営判断をする上での選択肢を広げる仕事」と考えています。

経営判断としてAプランでいくと既に決めている時には、他の意見を聞く意味はありません。

しかし、Aプランでいきたいと思っているが「実は他にもっと良い経営判断を導ける方向性があるのではないか」といった「迷い」がある時こそ、その現場をよく知る専門家に意見を聞いてみるのも一つの手です。

その際に、AプランだけではないBプラン・Cプランといった幾つかの選択肢を示されたが、選択肢が広がった後に下した経営判断が元々考えていたAプランであったのであれば、その判断に迷いは無くなるはずです。

人事・労務管理に関する経営判断は、感情の生き物であるヒトが相手となる判断ですので「あちらを立てれば、こちらが立たず」といったことも当然起こりうる問題です。

その難しい判断を下すうえでの迷いを無くすために、可能な限り選択肢を広げる提案を提供していきたいと思います。

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posted by マサ at 18:37| 社労士日記