2014年03月28日

見えない賃金

先週、顧問先の会社を訪問した際に入り口に出迎えに来てくれた社員が「先生、私のこと覚えてくれていますか?」と話しかけてくれました。

「去年の新人社員研修に参加してくれた方ですよね」と私が答えると、「はい!覚えてくれていて嬉しいです!」と元気な声が返ってきました。

その姿から彼女が新入社員として過ごしてきた1年間が充実していたことがわかります。

例年この時期は、顧問先の会社を中心に4月入社の新入社員を対象とした研修の講師を多く勤めるわけですが、今年も「見えない賃金」の話は重要なテーマとなります。

新入社員に初めて自分が手にした「給与明細書」の金額を見て「自分が1か月働いて得た給料は、いくらでしたか?」と尋ねると、自分の銀行口座に振り込まれる「手取り金額」を答えるケースが多くあります。

自分が自由に使えるお金が「手取り金額」であることは間違いないですが、社会保険料や雇用保険料などの保険料等が引かれる前の「総支給額」にも目が行っていない状態です。

一方、先ほどの質問に「社会保険料等が引かれる前の総支給額」が1か月働いて得た給与だと答えた社員がいました。

一見、正解のようにも見えますが、この回答にも「見えない賃金」が認識されていません。

ここで言う「見えない賃金」とは、給与明細書に記載されることのない健康保険料の会社負担分、厚生年金の会社負担分、雇用保険の会社負担分、会社が全額負担する労災保険料といった会社が負担している保険料をさします。

ざっくりとした例ですが、Aさんの支払うべき各種保険料が10だとした場合、Aさんの給与から5を支払い、残りの5の保険料を会社が負担します。

ところが、Aさんが年金や健康保険、雇用保険の給付を受けるときには「10の保険料で計算された給付」を受けることになります。

つまり、年金等の保険給付を受ける際には、会社が負担した保険料分も含まれたうえで、全てAさんに対して支給されることになります。

ところが、各社員が目にする給与明細書には、「自分が負担する5の保険料」のみ記載されるため、残りの「会社が負担している5の保険料」を社員が認識することはありません。

私は、この「会社が負担している5の保険料」を「見えない賃金」という表現で新入社員に対して毎年説明しています。

毎月の給与として手元に入る金額ではありませんが、自分が負担した5の保険料と会社が負担した5の保険料を合わせた10の保険給付を受けるわけですから、「会社が負担する5の保険料」は給与と同意義だと考えるからです。

様々な規模の会社の新人社員研修で「見えない賃金」の話をした時に、それをお聞きになった経営者の方から、必ずと言ってよいほど「新人社員だけでなく社員全員に話してもらいたい話だ」という言葉が出てきます。

企業規模関係なく、新入社員、中堅、ベテラン関係なく、この「見えない賃金」を含めた総額を「自分の労働の対価」と考えられる社員がほとんどいない現状を表しています。

経営側から見れば、この「会社が負担する5の保険料」の負担は非常に重いものであり、支払うことが免れないものであるからこそ、せめて「見えない賃金」のことを知って理解してもらいたいと思うのは自然な事でしょう。

基本的な事でありながら、実は見落としがちである「見えない賃金」の話を、今年入社した新人社員に研修の場で話すことには意味があります。

自分が実際に手にする手取り金額だけではない労働の対価を見出してくれるはずです。


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posted by マサ at 18:46| 社労士日記