2017年10月31日

採用活動における重要な視点

良いヒトを採用したいという思いは、どこの企業も強く思う部分なのですが、採用活動が簡単だという人はいないと思います。

求めている人材像に近く、経歴も申し分ないヒトを採用したけど、思ったような成果を上げられない、採用後すぐに社内でトラブルを起こしてしまうなどといった経験は、どこの企業にもあるのではないでしょうか。

採用活動を行うにあたっては「求める人材像」を整理し、明確にする作業が必須なわけですが、その求める人材像という定義の大きなウエイトを占めているのが「業務遂行能力」なのが一般的です。

特に中途採用の場合、即戦力となるヒトを採用したいわけですから、当然「求める人材像」に必要とされるスキルや資格、経験などが重要視されるのは当然です。

正直なところ、私が社会保険労務士の立場で様々な企業の採用から退職までを見てきている中で、「求める人材像」に定義された業務遂行能力という部分のウエイトは、それほど高く設定する必要はないのではないかと考えています。

過去のブログでも書いてきていますが、職場におけるパフォーマンスは「業務遂行能力」だけではなく、周りのヒトとの相性や社風により、大きく「ブレる」印象を持っているからです。

スキルや経験、実績という業務遂行能力だけで、どのような環境下でも高いパフォーマンスを発揮できるのであれば、ある球団で4番バッターとして活躍していた選手が他の球団に移籍したとたんに今までのように打てなくなってしまうようなことは起きないはずです。

同様に、他の会社でエースとして活躍していた営業職のヒトを、ヘッドハンティングして好待遇で迎えた結果、転職した会社でも引き続いてエースとして活躍しているかといえば、全てのケースでそのようなことにはなっていません。

当然、パフォーマンスの低下は職場環境だけではない要因も含まれているわけですが、本来持っているはずの高いパフォーマンスを発揮できない理由の多くは「その職場の雰囲気、やり方に合わない」ということが多いと考えています。

ヒトは思っている以上に「価値観のズレ」に大きなストレスを感じます。

夫婦関係でもそうですが、価値観のズレが大きければ大きいほど高いストレスを感じ、お互いの価値観を理解しあう、認め合うということが出来ません。

高いストレスを感じている状態で良好な夫婦関係を維持できないのと同様に、職場内での価値観のズレも高いストレスを生み出し、当然のようにパフォーマンスも低下していきます。

まさに「行先の違うバスに無理やり乗っている」状態だといえます。

本来持っているだろうスキルや経験を生かせないのであれば、採用活動で求めた業務遂行能力を持つ「求める人材像」であったとしても、まったく意味のないものに変わってしまいます。

そのような観点から見れば、やはり採用活動における「求める人材像」の重要なポイントは、採用後に一緒に仕事をする部署・グループ・同僚・上司との相性は合いそうなのか、会社が考える価値観との間に大きなズレがないのかといったことが最も重要になってくると考えています。

そのような相性や価値観に大きな隔たりがなければ、未経験であったり、経験の少ないヒトであったとしても、OJTなどを通して育てていくことができるわけですから、時間がかかったとしても、長く会社のために働いてくれる人材へと成長していってくれるはずです。

どんなに凄い経歴や結果を出してきた人であっても、行先の違うバスに無理やり乗っている状態では、将来に向かって長い期間、会社に貢献してくれる人材になることはありません。

採用活動における見極めるべき重要な部分とは「高い職務遂行能力」よりも「自社の社風やヒトに合う人材なのか」といった部分にこそ大きなウエイトを占めていくべきだと思います。

それほどまでに他人同士が同じ場所で仕事をする職場という特殊な環境下において、感情の生き物であるヒトが高いパフォーマンスを発揮できたり、その会社に長く務めることを選択する理由には「なんか居心地が良い」という単純な理由だったりするものなのです。

採用活動においては「会社の仲間として迎え入れたいヒト」という視点が大事になってくると思います。


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2017年09月29日

小さな理由を意識して大事にする

「貴方はなぜ働くのか?」という問いを投げかければ、様々な答えが返ってきます。

お金のため、自分を成長させるため、社会とつながるため、誰かの役に立ちたいため、中には働いたら負けだという意見もあります。

あくまで個人的な意見と前置きをしておきますが、働く一つの理由である「お金を稼ぐため」というのは、ボランティア活動でない限り、全ての人に共通することでしょう。

労働者として企業に勤める以上、当然、労働の対価として賃金を得る契約をしているわけですから、お金を稼ぐためでない理由はありません。

お金を稼ぐため「だけ」であれば、賃金額の違いがあったとしても、全ての仕事で賃金を得ることはできるわけですから「その会社・その仕事を選んだ理由にお金だけではない理由が含まれている」ということになります。

以前、ブログでも書きましたが、私が子供のころに抱いていた夢は、皇宮護衛官になることでした。

子供時代の夢ですから、お金のためだったり誰かの役に立ちたいなどの理由などではなく、あくまで式典時の制服がかっこいい(馬に乗って護衛したい)というレベルだったわけですが、もし大人になっても皇宮護衛官を目指していたのであれば、その仕事をする理由が恥ずかしながらそれほど変わらなかったのではないかと思っています。

私は社会保険労務士の立場として、顧問先さんの採用面接に同席することがあるのですが、その場で聞く「働く理由」は、オブラートに包まれた繊細なものです。

本音なのか建て前なのかわかりませんが、お金を稼ぐため以外の理由が必ず存在しています。

その仕事に興味があったから、有名な企業だから、自分が成長できるスキルや経験を得ることができるから、福利厚生が充実しているから、子供を育てながら働きやすい環境があるからといった、その会社で働く理由として挙げやすい理由以外にも、通勤が楽だから、肉体的に楽そうな仕事だから、専門知識がなくてもできる仕事だからなど、少々理由として挙げるには腰が引けるものなどもあると思います。

私個人的には、この働く理由に崇高な理想や思いを求める必要ないと考えています。

高い理想や思いは、達成したときの達成感よりも、達成できないことへの苛立ちや掲げた思いとのギャップが大きくなればなるほどモチベーションを下げていくことになるからです。

誤解を避けるために付け加えていえば、働く理由に高い理想を掲げるべきではないということではありません。

高い理想や思いがなかったとしても、お金を稼ぐという共通の理由に加えて「各個人が感じている小さな理由」で十分だと考えているからです。

ここで重要なのが「その小さな理由を意識して大事にする」ということです。

キャリアデザインや自己実現など、仕事をするうえでの自分を向上させるための方法論は沢山あるのですが「なぜ働くのか」という根本の部分に一定の納得感がなければ意味がありません。

そのため、なぜ働くのかという問いを難しく考えることはないと考えています。

絵を描くのが好き、人と話をするのが好き、将来に向かって形に残る仕事をしたい、制服がかっこいいといったような感覚的な理由でも十分ですし、その会社で務める理由も会社の雰囲気がいい、働きやすい、職場のコミュニケーションが良好だからという「ふわっとした」理由でも十分だと思います。

その仕事を続ける理由、その会社にいる理由、自分が感じている小さな理由でも常に意識して大事にすることで、お金を稼ぐことだけではない「働く理由」に自分なりの納得感を得られるのではないでしょうか。

ほとんどの人たちが仕事をしてお金を稼ぎ生活を営んでいきます。それも長い期間にわたって。

働く理由に自分なりの「小さな納得感」を感じることで、長い人生における「働くこと」にすべての人が意味を見出してほしいと思います。

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2017年08月30日

小さな火種の時に対応する


最近SNS上でふと目についた件がありました。

普段は他愛もない日常のことを書き込んでいたのですが、所々で会社の悪口を書いて憂さを晴らすような投稿をする人でした。

もちろん、どこの会社なのか、誰に向けての悪口なのかは分からないように書かれているので、「まぁ、愚痴を吐き出す場として使っているのだろうな」程度の感想しか持っていなかったのですが、ある日突然、会社のLINEと思われる画像を添付して痛烈に批判を展開しだしたのです。

SNS上で見かけていただけで、実際にあったことも話したこともない人ですので、私がとやかく言う立場にはありませんが、正直なところ驚きました。

そのLINEと思われる画像は、見る人が見れば、どこの会社のことか誰のものであるかわかる内容ですので、投稿を見た人たちから「それを投稿するのはマズイのではないか」といった書き込みが当然あったわけです。

ところが本人は「私は悪くない。悪いのは上司であり、会社だ。」の一点張りで、まったく聞く耳を持とうとしません。

SNSという世界中の人が目にすることのできる場で、個人や会社が特定できるような情報を掲載したこと自体も問題ですが、それ以上に、その人の行動や発言を見る限り「自分自身を客観的に見れていない」ことを痛烈に感じました。

この「自分自身を客観的に見れていない」というのは、人事・労務管理の世界でトラブルを起こす人に共通しています。

とにかく「悪いのは他人であり、自分は決して間違っていない」という考え方でのみ物事をとらえている状態です。

もちろん様々な状況のもとに人事・労務管理上のトラブルが起こるので、本人が全く悪くない状況の時もあると思いますが、往々にして「トラブルとなった原因が本人にもある」ケースが大多数ではないでしょうか。

最近、ご近所トラブルの話題をワイドショー等で見かけますが、一般的に見れば「トラブルを起こしている人の行動に問題がある」と感じる内容であったとしても、トラブルを起こしている人たちは決して「自分が悪い」とは思っていません。

トラブルを起こすような行動をするに至ったきっかけが、何かしらかあったのだと思いますが「私がこのような行動をするのは○○(他人)のせい」と考えているのは間違いないのでしょう。

そのように「自分自身の行動や言動を客観的に見ることができない人」に理論立てて「それは間違っている」と諭したとしても、残念ながらその間違いを認めることはありませんし、考え方を改めることもしない(できない)のが現実です。

誰もが人と人とのトラブルには巻き込まれたくないものです。

私は社会保険労務士という立場ですので、顧問先企業様で人事・労務管理上のトラブルを無くしたい、減らしたいと常に思っています。

様々なご相談案件に対応する場合も、法律的な観点というより、感情の生き物である人が「その対応方法に対してどう感じるか」という感覚を大事にしています。

それでもなお人事・労務管理上のトラブルを全て無くすことが難しいのは、感情の生き物である人を扱う所以でしょうか。

しかしトラブルになった後の対応も、そのトラブルに至った「前」の対応一つで大きく結果が変わってくるものです。

大きな火災を消火させることは大変ですが、小さな火種であれば消火は容易です。

希望的観測ではありますが「自分自身の行動や言動を客観的に見ることができない人」が起こす大きな火災は、消火するのに大きな犠牲と労力を要しますが、小さな火種の時に対応すれば結果が変わるかもしれません。

常日頃の人事・労務管理上でおこる出来事一つ一つにトラブルの火種が存在していることを認識し、小さな火種の段階を放置して大きな火災になってから慌てないよう、小さな火種の時に消火をしていく意識を常に持っていきたいところです。

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posted by マサ at 13:59| 社労士日記

2017年07月31日

人間関係の悪化を放置しない


過去のニュースレターでも何度か話題にしましたが、人事・労務管理の世界では「職場の人間関係」が非常に重要です。

人間関係がうまくいっていれば、職場における労務環境に対する不満も和らぎますし、逆に、人間関係がうまくいかなければ、どのような好待遇であったとしても、その職場で働き続けていくことは難しいものです。

賃金や労働環境等をより良いものに整備していけば、当然、退職者は減っていきますが、それでもゼロにならないのは、人間関係という感情の生き物であるヒトならではの問題が色濃く残っていることも要因の一つといえます。

この職場の人間関係は、仕事のパフォーマンスにも大きく影響しています。

上司が変わる、プロジェクトメンバーが変わるといった、仕事を共にするヒトが変わることでパフォーマンスが大きく変動することがあり、ある会社で第一線で活躍していた人を好待遇で雇い、前職と同じ内容の仕事を任せたが、まったく成果を出すことができないという場面を目にすることが現実問題としてあります。

これは個人的な仕事のパフォーマンスが低下したわけではなく、会社の社風や一緒に仕事をする上司・同僚・部下との人間関係の相性が合わないことによって引き起こされているのではと考えています。

プロ野球の世界でもよく目にすることなのですが、あるチームで4番を務める強打者が、チームを変えた途端、まったく打てなくなってしまうようなことがあります。

このケースでも強打者としてのパフォーマンスがいきなり低下するとは考えにくいので、個人的な能力が低下したわけではなく、別の要因(おそらくチームとの相性や人間関係の相性)がパフォーマンスに大きく影響していると思われ、職場において目にする唐突なパフォーマンスの低下に似ているように思います。

このように仕事のパフォーマンスは、個人の能力だけではなく、様々な要因で上下するものであるので、仕事ができる人、仕事ができない人というレッテルを貼ること自体、それほど意味のあることだとは思えません。

違う仕事を任せてみたら驚くほどのパフォーマンスを発揮したといったことも珍しいことではありませんし、部署や上司、同僚が変わったなどといった、人間関係の変化でもパフォーマンスの変化は起こりうるものです。

これは私の個人的な発想ですが、どのような人であれ、仕事や職場で輝ける場所が必ずあると思っています。

たとえ仕事ができない人といったようなレッテルが貼られてしまったとしても、いま担当している仕事や仕事をするメンバーが変わることで、劇的とまでは言えないまでも、良い方向に変わっていけるチャンスがあると考えているからです。

だからこそ、会社の社員すべてが「仕事のできる人」になるために、どのような仕事を任せるのかといったことだけではなく「どのようなメンバーと仕事をさせるのが良いのか」といった視点から見ていくのも人事・労務管理の重要なポイントとなります。

私が会社員時代に、それなりの結果を残せてきたのも「職場における人間関係の相性が良かったため」だと今でも思っていますし、人間関係の相性が悪ければ、同じような結果を残すことはできなかったと思います。

しかし、職場における人間関係は「できれば触れたくない」と考える人も多いのではないでしょうか。

人間関係にはナーバスな問題も含まれますし、上司が男性であれば女性の人間関係、上司が女性であれば男性の人間関係に触れていくことに一歩引いてしまうのもわかります。

しかし、職場における人間関係は、会社に勤め続ける意欲、パフォーマンスに大きく影響を及ぼす部分ですので、人間関係を崩すような要因であったり、人間関係の悪化を放置するような人事・労務管理は、会社に大きな損失を生みます。

十分な配慮が必要ではありますが「人間関係の悪化を放置しない」という人事・労務管理の考え方は重要になってきますので、思い当たる節がある場合、大きな問題に発展する前に早急に対応していきたいところです。

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2017年06月30日

明日も同じように時を刻めることを前提としない

日本生産性本部が6月に発表した「新入社員 働くことの意識調査」によると、働く目的として「楽しく生活したい」と答えた人が42.6%となり、過去最高を更新したようです。

また「好んで苦労することはない」と考える新入社員も29.3%で過去最高を更新し、働くことに対する意識として「人並みで十分」という意識が高まっていることが見てとれます。

今後、このような傾向は引き続き高まっていくことでしょう。

「最近の若者はなっとらん!」とお叱りの声が聞こえてきそうですが、若者たちが置かれている日本の労働環境からみれば、やむを得ない部分もあるように感じています。

その点を踏まえていけば、休みの多さや残業時間の少なさといった部分が人材の確保に有利に働いていく傾向が強まっていくため、人事・労務管理上も重要なキーワードです。

ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)が提唱されて久しいわけですが、様々な業種、個別に能力の違う労働者、クライアントの意向等により、統一的に運用することが難しいのも実態ではないでしょうか。

ここから私的な意見ですが、若者に限らず働くすべての人が、仕事だけではなく、遊びや家族と過ごす時間を大事にすることには賛成の立場です。

私自身若いころは、明日を当たり前のように迎えられるのが当然だと思っていましたし、孫に囲まれた幸せな老後も当然のように迎えられると信じて疑わなかったわけですが、最近それらが当たり前でないことを痛感しています。

ここ数年、私と年齢の変わらない友人を病で失ったり、幼い命が病で失われる悲しみを目の当たりにしているからかもしれません。

病だけではなく、事故・事件で昨日まで元気だった人が突如この世を去ることもあり、それらが自らの身や家族に起こらない保証などありません。

だからこそ毎日大事な一日なわけですが、24時間という平等に与えられた一日の時間をどのように使うかは自分次第なところがあります。

睡眠や食事の時間などの必ず必要な時間を除けば、さらに短い一日の時間を仕事・遊び・家族と過ごす時間をどのように割り振るのか、どの部分に重点を置くのか、一日だけでなく1か月ではどうか、1年ではどうかといったことを考えさせられます。

このような話題では、必ずといってよいほど「若いうちは、こうすべき」「今は我慢して将来のために」といった言葉が出てくるものです。

考え方として間違いではないと思いますが、その言葉は「明日も同じように人生が続いている」ことを前提としています。

もちろん、病気もせず事故にも事件にも巻き込まれなければ、明日はいつものように訪れ、時を刻むことができます。

しかし、確実に時を刻み続けられることが保証されているわけではありませんので、そこから導き出された答えが「今、最もベストな時間配分を心がけること」だと考えています。

最近私は、仕事であれ、遊びであれ、家族との時間であれ、一つに偏るような時間配分を避けるように努力しています。

当然、様々な状況により、その時間配分のバランスが日々変化するのですが、意識してスケジュールを組んでいけば一つに偏るようなことはありませんし、一定のサイクルでバランス調整ができるものです。

このような時間配分を意識して以降、私はストレスフリーな状態に近づいていったように感じています。

会社がワーク・ライフ・バランスへの取り組みをしてくれないと何もできないということではなく、自分自身で可能な限りタイムマネジメントをしていくことが重要なのではないでしょうか。

国が何もしてくれない、会社が何もしてくれない、家族が何もしてくれないと他を批判するのは簡単ですが、自分の人生をどう過ごしていけるかは、結局、自分次第だということになります。


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2017年05月31日

隣の芝生が青く見えた時の考え方

隣の芝生が青く見える。

自分の庭の芝生よりも、隣の家の芝生のほうが青く綺麗に見えるという「ことわざ」で、自分にはない他人の何かを羨ましく思ったり、時に嫉妬するような感情を抱くことを表現する時によく使われています。

すべての人が家庭環境や仕事環境など、日々の生活の中で隣の芝生が青く見えることが多少なりともあると思います。

ところが「青く綺麗に見えていたはずの芝生」が「実は大して綺麗ではなかった」ということが多いのも実態です。

外から見る隣の芝生は「表面しか見えておらず」その奥深くにある「真実」にたどり着けていないため、その奥深くを覗いた瞬間「真実の色」が見えてしまい、その色は「思っていたほどの綺麗な青ではなかった」ということです。

なぜ今回このような話から入ったかというと、中小企業の人事・労務管理の世界では、一度退職した社員が再度退職した会社に戻る(出戻り)が結構あるからです。

出戻る理由は人それぞれだと思いますが、いくつかのケースで話を聞いてみたところ「同業他社に転職したけど、この会社のほうがよかった(ましだった)」という理由を話す人が大多数です。

個人的に100%満足いく仕事環境(賃金だけではなく労働環境)を得るのは、実際問題のところ不可能に近いわけですので、言い方は悪いですが「ましだった」という表現であったとしても、自社が構築している仕事環境が他に比べて優れているといってよいと思います。

このような出戻った社員の話を聞いてみれば、最初に会社を辞めた時に「隣の芝生(ほかの会社)が青く(より良い仕事環境)見えていた」ことは確実でしょう。

賃金であったり、労働環境であったり、多少なりとも不満を感じているのが普通ですから、もっと良い仕事環境があるのではないかと思うのは不思議なことではありません。

私自身、社会保険労務士となる前に社員として勤めていたのが1社だけですから、転職経験がありません。

転職経験がないからといって、その会社に100%満足していたかといったら、当然ですがそのようなこともありません。

隣の芝生が青く見えることも当然あったわけですが、運が良いことに同業他社に転職しようとまでは思いませんでした。

その理由は明白なのですが、やはり「一緒に仕事をする人たちとの相性がすごくよかった」ことが大きかったと思います。

もちろん人間ですから、人によっては合う・合わないといったことがありますが、上司・同僚・後輩と一緒に仕事をするうえで、大きなストレスを感じるようなことがなかったからだといえます。

じつは出戻った人がいう「この会社のほうがよかった(ましだった)」というのは、賃金や労働環境といったこと以上に「人との相性」が大きなウエイトを占めているのです。

隣の芝生が青く見えて転職した結果、賃金は上がった、労働環境もそれほど悪くなかった、でも「戻ることを決断した」のはなぜかと問えば「転職先の社員と合わなかった」という理由が多いからです。

人は本能的に「居場所」を求める生き物です。

多くの時間を過ごす会社環境の中で「居場所がない」状態に耐えることができません。

芝生が青く見えていた隣の庭(会社)の人と合うのか・合わないのかは、入社してみなければ判断しようがありませんので、賃金や労働環境に不満がある(これは誰もが持っていること)けども、「会社で良好なコミュニケーションが取れている(居場所がある)」という状態であるのであれば、今見えている「隣の芝生の青さ」は転職後に薄れていくことが確実だといえます。

隣の芝生が青く見えたときは、ふと冷静に考えてみる、考えるよう促してみてはどうでしょうか。

今ある「居場所」を捨ててまで取りに行くべき青さなのかどうかを。


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2017年04月28日

打たれ弱さを理解して叱る

この時期は、研修などを通して新卒の社員として入社した若い人たちと話をすることが多くあるのですが、凄く素直な子たちが多いというのが実感です。

初めて会社員として仕事をし始めたばかりのため、見るもの・経験することすべてが新鮮に映っているからだと思いますが、色々な事を学ぼうという意欲が高いですね。

ゆとり世代と揶揄されることも多くありますが、20年程度前に私が会社員として初めて社会に出たときに比べて見ても、それほど違いがあるとは思えません。

しかし最近の若い世代に共通すると日々感じている事が一つだけあります。

それは「打たれ弱さ」です。

一定のスキルのある中途採用とは違い、時間をかけて育てていくのが新卒社員ですから、様々な研修やOJTを通して育てていく過程の中で、どうしても「叱る」という場面が出てきます。

ある程度の経験則のある上司や先輩であれば「叱るスキル」も持ち合わせているはずですから、それなりに気を使いながら叱っているはずです。

ところが、この叱られたという事実に対して過剰な反応を示してしまう新卒社員が多く見受けられます。
 
トイレで泣いている、早退してしまった、翌日から来なくなってしまった等、教育する側に立った人であれば、一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

そのような事態になった時の経緯を聞いてみても、通常の教育範囲内のことであり、過度な叱責をしたわけでもありません。

コストをかけて採用した新卒社員を大事に育てようと考える上司からしてみれば、なぜこのようになってしまったのかと悩んだ結果として、叱ることを躊躇うケースも出てきています。

「そんな打たれ弱い奴はいらん」と言ってしまえば元も子もないのですが、最近の傾向として見れば、総じて打たれ弱い若い人が多いため、無視できる問題でもありません。

私も会社員時代に、新入社員の教育を担う立場にいたことがあるのですが、年々打たれ弱い子たちが増えてきているのを実感していました。

教育を担いだした当初は、職人気質な職場であったこともあり「荒い叱り方」が通用していましたが、会社を退職する直前のころには「厳しく叱ること」を禁止する風潮まであったことを思い出します。

しかしながら、利益追求集団が集う会社というフィールドの中で「叱らない」という選択肢はあり得ませんので、打たれ弱い若い人たちが多いことを認識したうえで、叱っていかなければなりません。

では、どのように叱っていくべきなのか。

ポイントは「その叱った内容に納得感を得られたか」という部分だと思います。

あるケースでは「これが駄目だ」と叱ったとしても「なぜだめなのかが理解できない」「ではどうすればよいのかわからない」といった事が往々にあるようです。

つまり、叱られた内容が「駄目」だと理解したが、新卒社員にとっては「ただ叱られた」という事実だけが残ってしまっているようです。

ケースバイケースではあるのですが「叱るべき内容が何故だめなのか」「どのようにすればよいのか」を伝えながら叱ることで、叱られた内容をより理解する事ができ、叱られたことに納得感が出てくるのではないでしょうか。

「そんなことまで教えないと駄目なのか」という悲壮感が聞こえてきそうですが、他の会社の「色」に染まっていない新卒社員は、育て方ひとつで良い意味での「自社の色」に染まっていくわけですから、根気よく、丁寧に叱りながら育てていきたいところです。

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2017年03月31日

個人的で身勝手な要求を受け入れてしまうことの危険性


社員数が100人ぐらいまでは、経営陣と社員の距離感が近いこともあり、社員が経営陣に対して直接意見を伝えたり、要望を伝えたりしている場面を良く目にします。

風通しの良い職場環境とも言えますので、それ自体が悪いことだとは思いません。

しかし、直接伝えられた意見・要望が会社全体の人事・労務管理の向上に関する内容であれば良いのですが、中には「自分のためだけの意見・要望」を伝えてくるケースも少なからずあるのも事実です。

給与面での待遇に関する要望や人事・労務管理上の取扱いに対する要望など「自分にはこうしてもらいたい」といった身勝手な要求です。

過去のニュースレターにおいても人事・労務管理の現場において最も重要なのは「公平性」であることを常々お伝えしてきていますが、当然ながら個人レベルでの身勝手な要求をのんでしまえば公平性を確保する事はできません。

社員個々人からすれば、少しでも自分の待遇をよくしたいと思うこと自体が不思議な事ではありませんが「自分のためだけの意見・要望」を伝えて、何とかしてもらいたいという行動に出ることが好ましいとは言えません。

何故、このような身勝手な要求をするに至ったのか。

多くのケースで「以前、要望を言った時にその通りにしてもらった経験」を持っているからです。

つまり「言えば何とかなる」という「実体験」をすでに持ってしまっているからこそ、不満に感じていることを、自分自身では身勝手な要求であるとも思わずに行動を起こしてしまっているわけです。

このようなケースに遭遇した時、以前「個人的な要望」を認めてしまった事実を思い起こすことがあるのではないでしょうか。

以前認めた個人的要望は「公平性」を欠くようなレベルの話ではなかったかもしれません。

しかし、一度でも身勝手な要求が通ってしまった経験があると、その要求がエスカレートしていく傾向にあります。

本人からしてみれば「自分のための要求」が会社の公平性を欠く程の話なのかどうかといった尺度で見ているわけではありませんので「お願いした要求がとおった」という事実のみが記憶の中に残るわけです。

「それは認められない」といった場合であっても、必ずといってよいほど「前は認めてくれたのに何故ですか?」といった答えが返ってくるのも、要求の内容は関係なく、認められた事実だけが印象に残っている証拠です。

結論から言えば、会社の人事・労務管理の現場においては「個人的で身勝手な要望」を聞く必要はないということです。

ただし、最初は個人的な要望として出てきた話であったけども「全社員に適用する事が好ましい要望」であったのであれば、人事・労務管理全体の話として要望を受け入れることは有り得ます。

しかし、あくまで個人に対してではなく会社全体の話として要望を受け入れただけですので、人事・労務管理における公平性は確保できるわけですし、最初に要望を上げてきた社員から見ても「個人的に認められた」とは思わないでしょう。

「前は認められたのに何故ですか?」とくれば「前回の件は社員全体の公平性を確保できる話だったが、今回は違う」ということで事足りるはずです。

「この程度のことだったら良いか・・・」という考えは捨ててください。

感情の生き物であるヒトが集う人事・労務管理の世界において「個人的で身勝手な要望」を受け入れることは非常に危険な事です。

人事・労務管理の重要な公平性を確保できないような、個人的で身勝手な要望を伝えてくるようなケースがあった場合は「公平性を確保できない要望は受け入れられない」といったスタンスで事にあたってほしいところです。

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posted by マサ at 14:23| 社労士日記

2017年02月28日

価値観における想像の域と実感の溝

既に初老と呼ばれる年齢に突入している私ですが、ここ20年で価値観が大きく変化していると感じています。

学生だったときに感じていた仕事をするということの価値観、結婚する前に感じていた結婚に対する価値観、子供が生まれる前の子供に対する価値観、開業する前の事業を行うということへの価値観、これらすべての価値観が異なる立場に身を置くことや経験を経て大きく変化しています。

一つの例を上げるならば、子供が生まれる前までは「これほど子供を愛し、成長を見守る責任感」を自分がここまで感じるとは思ってもいませんでした。

その立場に身を置かなければ「想像の域」をでないため、その立場に身を置いて初めて「実感」へと変わり、自らの価値観へと影響を及ぼしてきているわけです。

なぜこのようなテーマを書きだしたかといえば、人事・労務管理の世界でも価値観の違いからくるトラブルや問題に直面する事が多くあるからです。

誤解を恐れずにいうのであれば「想像の域」の立場の人が「実感」を持っている人の気持ちや苦悩を理解するのは非常に難しいということです。

たとえば子供を育てながら働く人が持つ実感と、独身で働いている人が持つ実感は大きく乖離していますし、病気を持ちながら働く人の実感と、健康で働く人の実感も大きく乖離しています。

その乖離とは「想像の域」と「実感」の溝なわけですが、一方が「想像の域」で語られることを否定し、一方で想像の域であることを「さも実感であるように」語ることで、修正する事の出来ない溝を深めてしまうことがよくあるものです。

皆さんにも思い当たる節があると思いますが「想像の域」をでていない価値観を「私は貴方のことを理解している」という気持ちで話した結果、逆に怒りをかってしまったり、失望感を与えてしまったりするようなケースです。

このようなケースを見ていく限り「想像の域」での価値観は「実感をもつ」価値観の心理に近づくことは容易な事でないことがみえてきます。

私は仕事柄なるべく俯瞰で物事を見るように意識していますが、それでも私個人が持つ価値観に考え方が引っ張られてしまうことを否定できません。


様々な価値観をもつ人が集まる人事・労務管理の世界において、異なる価値観を認め合うというのは容易なことではなく、自らが持つ価値観が正しいと思うあまり、その価値観を押し付けてしまうことが多くなるのは、感情の生き物であるヒトである以上やむを得ないところかもしれません。

だからこそ人事・労務管理の現場においては「人それぞれ価値観が違うのは当然」と割り切っていくほかないと考えています。

それを言ってしまったら元も子もないと思われるかと思いますが、価値観の違うもの同士の議論が噛み合う場面を見たことがありません。

たとえば人事・労務管理とは関係ありませんが、国家論などにおける右派・左派の双方の主張が噛み合うことはなく、建設的な議論にならないのが典型的だといえます。

つまり個々人が持つ価値観とは、自らの「実感」によってのみ作り上げられてくる感覚であり、他人に諭される、説得されることによって簡単に変えてしまうことのできるものではないと言えるのではないでしょうか。

そのような観点から人事・労務管理の現場において価値観を考えるのであれば、結局のところ価値観の違う人・合わない人を採用しないというところにたどり着いてしまいます。

もちろん価値観とは様々な物事に対して持ち合わせているものですから、全ての価値観を共有することは不可能です。

しかし、会社が目指している方向性や人事・労務管理における考え方において、絶対的な価値観の違いを避けるために、採用面接の場において一定の情報を公開し、価値観の違いによるミスマッチを起こさないようにするだけでも効果はあると思います。

ヒトは価値観を簡単には変えられないわけですから、採用選考の段階で同じ行先のバス(目指すべき方向性が同じ)に乗れる人を見極めていきたいところです。

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posted by マサ at 16:38| 社労士日記

2017年01月31日

誤解を生まない伝え方

新年あけましておめでとうございます。今年も弊事務所のブログをよろしくお願い致します。

今年も人事・労務管理の現場で経験したことから感じたこと、気が付いたことなどをブログの中でお伝えしていけたらと思います。

さて、日々の生活の中でも「そのような意味で言ったつもりではなかった」「そういうことを伝えたかったわけでは無い」といったように、伝えたかった意図が違う形で伝わってしまうことがよくあるものです。

日常生活での誤解は、多くの場合リカバリーがききますが、会社組織という中での誤解は大きなトラブルに発展してしまうことが少なくありません。

最近「まったくもって誤解なのですが、このようなことになって困っています」というご相談を多く受けるようになりました。

その誤解へとつながる経緯を聞いてみると、いくつかの共通点が見えてきます。

その一つが伝えたいことを「遠まわしに話した」ことで誤解を生んでいるケース。

守秘義務の関係で詳細は語れませんが、誰しもが「言いにくいことほど」遠まわしに伝えようとする傾向が強いので、結果として伝えたいことが相手に伝わらず「そのような話は聞いていない」「そのような話だと思わなかった」ということを言われ、トラブルになってしまうことが多くあります。

もう一つは、伝えたいことを「省略して話してしまう」ことで誤解を生んでいるケース。

話をする側からすれば「このぐらいの内容の話をすれば伝わるだろう」という思い込みから、伝えるべきことを省略して伝えてしまうことで、同じように相手に本当の意思が伝わらずに誤解を生んでしまうことからトラブルへと発展してしまうようなことも多くあります。

もう一つは、伝えたいことの「伝え方を間違っている」ために誤解を生んでいるケース。

たとえば、個人に対してのみ伝えればよい話なのに、周りに他の人がいる場で話してしまうことで、伝えられた本人のプライドが大きく傷つけられてトラブルとなる場合や、威圧するような態度で話す、馬鹿にしたような態度で伝えるなど、伝え方が間違っていることで取り返しのつかないトラブルへと発展してしまうこともあります。

このような誤解から生まれたトラブルは「いや、そんなつもりで言ったのではない」と誤解であることを伝えたとしても修復する事が非常に難しいのが想像できると思います。

最後の「伝え方が間違っている」ケースは、伝える側の大きな問題ですので指導していくことで、このようなケースを生むことは減っていきますが「遠まわしに話した」と「省略して話してしまう」ケースは、意識していなければ簡単に起こりうることです。

誤解を与えたことでトラブルが生み出されている背景には、伝える側に何かしらかの問題がある可能性が高いので、そのようなトラブルになった場合は、その本質を変えていかなければ同じようなトラブルを生み出していきます。

ただし過去のブログでも話題にしたことがありますが、残念ながら「何を言っても話を聞く気が無い」「まったく話が通用しない」といったケースもありますので、誤解を生む以前の問題といったトラブルもあります。

しかし、伝え方によってはすんなりいく問題が、伝え方の問題により誤解が生まれてトラブルになるのは非常にもったいない話ですから、伝える側が「はっきりと正確に配慮を持って伝えること」を意識するのは重要なことだと思います。

人事・労務管理の世界で起こるトラブルは、実は些細な事がきっかけであることが多くありますので、トラブルを解決するための努力と合わせて、何故そのようなトラブルになったかの本質を探っていき、今後同じような事にならないように修正すべきところを修正していくことが大事になっていきます。

人と話をすること、説明すること、提案することが多い仕事である私自身も「伝え方」には細心の注意が必要ですので、誤解を生まないように日々意識しながら伝えていく努力をしていきたいと思います。

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posted by マサ at 18:44| 社労士日記

2016年12月28日

副業・兼業容認の捉え方

いよいよ今年も残りわずかとなってきましたが、毎年「もう1年たってしまったのか・・・」と時の流れの速さに驚くのが恒例行事のようになってきています。

新鮮な経験が多いほど時間のたつ速度が遅く感じるという考え方があるそうで、子供の時ほど時の流れが遅く感じられるのは新鮮な経験を多くしているからだとか。

その理論で言えば、時の流れが速いと感じるのは新鮮な経験をしていないということになるのですが、社会保険労務士の担う人事・労務管理の世界は「感情の生き物であるヒトを扱うため、良くも悪くも新鮮な経験」が多くあるので時の流れを遅く感じてもよいものですが・・・。

年齢によって時間の速度をどのように感じるかが違ってきたとしても、実際に存在する時間は同じですから、その時間をどのように使うかは人それぞれ違う時代へと突入していきそうです。

最近、正社員の副業や兼業を容認していく動きが大手企業を中心に広がってきており、政府も「働き方改革」として後押しする方針のようです。

現状では原則として副業を禁止する企業が大多数ですが、その理由として本業に支障をきたす可能性、長時間労働による健康問題、社会保険料の取扱い、労働時間通算の取り扱いなど、副業や兼業をすることで人事・労務管理上様々な問題が出てきてしまうためです。

政府方針では、上記のような様々な問題に対して指針を示すことにしているようですので、どのような方針が示されるのか注目したいところですが、運用上簡単に解決できる問題ではないことも確かです。

そもそも副業というと、本業が終わった後にアルバイトをする・ネットビジネスで稼ぐという「本業以外でお金を稼ぐためのもの」というイメージが一般的です。

しかし今回いわれている副業・兼業とは「本業では得られない経験や人材交流を通してスキルアップを図り、価値ある人材になるための行為」といえるのですが、そのような捉え方をして実践できる人はごく一部ではないでしょうか。

副業を禁止している会社に勤めているため、副業とならないようにお金を貰わずにプロジェクトに参加している人が現状もいるわけですので、そのような人にとって副業が容認されたからといってスキルアップを図るための行為という考え方や捉え方が変わることはないでしょう。

要するに副業や兼業を容認していく流れが加速していくとしても、捉え方ひとつでまったく違う行為になってしまうことは間違いなさそうです。

副業・兼業の容認に向けて政府の動きに対する報道への反応を見ても、歓迎する反応がある一方で長時間労働を抑制していくという方向性に相反するという否定的な意見も多く聞かれています。

この反応の違いも「副業・兼業という行為の捉え方の違い」から生まれてきているのではないでしょうか。

いずれにせよ副業解禁という言葉だけが独り歩きする事によって、間違った方向性に進まないことを期待したいところです。

本年は本日最終営業日とさせていただき、来年は5日から通常営業とさせていただきます。
(12月29日から1月4日を年末年始休業日)

皆様、良いお年をお過ごしください。来年も引き続きよろしくお願い致します。

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2016年11月30日

辞め方から見えること

社会保険労務士という仕事をしていると入社・退社という職業人生における分岐点に関与する事が多くあるわけですが、その中でも会社を辞める退職の場面が最も重要な分岐点といえます。

会社を辞めようとする理由は、給与面への不満や労働環境の不満、人間関係が上手くいかないなど様々ですが、どのようなケースであれ「辞め方」には注意が必要です。

最近の傾向として、この「辞め方」に気を付けない人が多く見受けられます。

どのような会社であれ、自分にとって完璧な環境というものは存在しないわけですから、何かしらかの不満や不安があるのは当然です。

しかし、辞める意思を会社に伝える方法として、いきなり欠勤し連絡がつかない、相談も無くいきなり退職届を郵送してくる、退職するにあたって周りの同僚に「早く辞めたほうが良いよ」などと風潮して回るなどは、賢い辞め方だとはいえません。

会社としても、このような辞め方をする人を引き留める理由は無いわけですが、採用や教育には様々なコストがかかっているので、無視できる問題でもありません。

実際問題として「辞め方の教育」などといったことは現実的ではないので、そのようなタイプの人を採用しないことに努力したほうが現実的でしょう。

このような辞め方をする人の特徴としては、入社してすぐに辞めてしまう人に多くみられるため、短い期間に転職を繰り返しているようだと注意が必要になります。

さらに、採用面接の場で前職をどのように辞めたのかを聞いてみるのも一つの手です。

採用面接においては「前職の退職理由」を聞くことが多いですが「どのように前職を辞めたのか」を聞くことは、それほど多くありません。

正直なところ前職を退職した理由は「どのようにでも言えてしまう」部分であり、たとえ人間関係がうまくいかなかった、給与面で不満があったといった理由であったとしても、正直に答える人は少ないものです。

一方、退職の仕方がどうであったかの質問をした場合を想像してみてください。

「退職届を出して・・・」という当たり前の答えが返ってくるかと思いますが、その時に「退職届(願)はいつごろ提出しましたか?」「退職の意思を決めたときに誰かに相談しましたか?」「退職届を出してから、業務の引継ぎ、関与先への挨拶などはどのようにしましたか?」「退職までの期間を会社でどのように過ごしましたか?」といった質問をすると退職の仕方「いわゆる辞め方」の本当の姿が見えてくると思います。

正直なところ、会社を退職すること自体は別に悪いことではないので、退職する際の辞め方こそ、その人の本当の姿が見えてくるのではないでしょうか。

このような事を質問することの意味を簡単に言ってしまえば、前職を円満に退職しているかを確認するということです。

往々にして、会社と喧嘩別れして辞めるような人は、おのずと同じことを繰り返してしまう傾向にあるからです。

それともう一つ、会社を退職するにあたっては、円満退職してもらいたい理由があります。

中小企業においては、一度退職した人が出戻る(退職した会社に再度入社する)ことが珍しくありません。

隣の芝が青く見えることもあるでしょうから、退職後に他の会社に勤めた結果「実は退職した会社が自分にあっていた会社だった」ということも稀にあるわけですから、円満に退職していれば出戻ることができる可能性も残るわけです。

どのような場合にせよ、喧嘩別れして良いことは有りませんから、退職を決意した際には立つ鳥跡を濁さずの精神で臨んで頂きたいところです。

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2016年10月31日

本音と建前、理想と現実

皆さんが小さい頃に抱いていた「なりたい職業」って何だったでしょうか。

調査機関によってランキングに違いがありますが、小学生男子ではスポーツ選手や公務員、医者あたりが人気で、女子では看護師やお店関係(パン屋・お花屋など)、タレント(アイドル)あたりが上位に来ているようです。

中にはユーチューバ―が上位に来ているランキングもあるようで、ネットが生活の一部として当たり前のようにある時代に生まれた子供たちならではです。

ちなみに私が小さい頃になりたかった職業は皇宮護衛官でした。

皇宮警護官とは、皇居や皇族の警護を担う特別司法警察職員ですので公務員です。

社会保険労務士になる前は、某TV局で映像編集者として働いていましたから、皇宮護衛官どころか公務員にもなったことが無いわけですが、いつから「なりたい職業」としてあこがれていた職業から遠ざかってしまったのか記憶にありません。

私だけではなく、小さい頃に抱いていた「なりたい職業」通りに「その職業」についている人は少ないのではないでしょうか。

では何故「いまやっている仕事」をしようとしたのか。

この問いには「本音と建前」の大きな垣根があるだけでなく「思い抱いていたイメージと働いた後に感じる現実」との垣根も大きなものです

私は仕事柄、新人社員研修講師の仕事で20代の若者と話をする機会が多くあります。

彼ら彼女らに「なぜこの仕事を選んだのか」という問いを投げかけても、回答としてかえってくるのは「建前」の回答が大多数です。

私がもし子供の気持ちのまま皇宮護衛官になっていたら「皇宮護衛官の制服がかっこいい!馬に乗って警護だなんて憧れる!」と言っていたでしょうけど、現実は「建前」の回答をしてしまうのでしょう。

小学生のころに抱いていた「なりたい職業」の本音を、たった10年程度経過しただけで「建前」でしか答えられなくなることが自分も含めて残念です。

ただ誤解を与えたくないのですが「建前」であったとしても、その仕事を選んだきっかけや理由は必ずあるはずですので、そのきっかけや理由は大事にしてもらいたいと思っています。

長い人生の中で仕事が占めるウエイトは高いわけですので、仕事をし続けるためのモチベーションを維持していくためには「建前上の理由」は必要になるからです。

しかし最終的には「本音」の部分を満たしていくことを無意識に目指していくことになるわけですが、その「本音」とは、小さい頃に抱いていた「なりたい職業」を選んだ時の「子供ながらの本音」とは違う別の「大人の本音」に変わっているはずです。

しかし、その本音を満たすためにどうするべきかを考えながら行動できる人は限られていると思います。

この「大人の本音」が「あくまで理想」であったりするケースもあるので、行動するまでに至らない原因になっているのかもしれません。

自分も含めて言えることですが、情報社会の今、夢や理想を追っていくことに消極的になっているように感じます。

「どうせ無理」「頑張ってもたかが知れている」といった潜在的な感情が蔓延し、夢や理想を追うこと自体が「かっこ悪い」といった風潮すらもあります。

だからこそ「夢を持って働け」とか「理想実現のために頑張れ」と言ったところで心に響く人は少ないでしょう。

今求められているのは「現実的な利益・目に見える効果」であり、それを満たすことのできる企業にヒトが残る傾向にあります。

本音と建前、理想と現実、様々な感情が織り交ざる人事・労務管理の世界は、今後ますます難しい舵取りが必要になってくる時代へと突き進んでいくと思います。

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2016年09月30日

コミュニケーション向上のための席替え

皆さんも小学生や中学生の時に、クラス替えや席替えにドキドキした記憶があるのではないでしょうか。

新しい環境に馴染めるのか不安に感じていることでドキドキする事もあるでしょうし、気になるあの子と仲良くなれるかもしれないといった青春のドキドキであったかもしれません。

まだ子供であった当時は、それほど意識したことはありませんが、クラス替えや席替えによって新しいコミュニケーションが生まれ、いままで知っている程度の関係だったヒトと急激に仲良くなり、学校以外でも一緒に遊ぶなどの効果があったことを思い出します。

ところが社会に出て働き始めると、毎日仕事をする席が決まっている職場が一般的であり、コミュニケーションの向上を目的とした席替えのようなことを行う企業は多くありません。

同じセクションのメンバーが一か所に集まって仕事をする事のメリットも当然あるのですが、社員数が増えていくにつれて、部・課・係・グループといった仕事をする上でのまとまりをつくることになるため、結果として「まとまり」単位でのコミュニケーションに限定されがちです。

さらに24時間フル稼働で動く業種では、社員ごとに休日もバラバラ、勤務シフトによって昼間働く日もあれば夜働く日もあるなど、各社員がバラバラに仕事をすることになり、シフトの裏の勤務となっている同僚と話したこともないといった事態もおきます。

コミュニケーションの活性化のために、最近では社内イントラネット等を利用した社員同士の情報交換やコミュニケーションを活発化させる方法が広がっていますが、IT技術を利用した情報交換やコミュニケーション向上に限界を感じる人も多いのではないでしょうか。

一昔前では、仕事終わりに上司や同僚と飲みに行く・食事に行くといったことでコミュニケーションをとることが多かったわけですが、今の時代「仕事が終わった後まで職場の人と一緒に居たくない」といった感覚を持つ人が増えてきているので「業務時間内にコミュニケーションがとれる仕組み」の構築が避けて通れなくなってきています。

そのような中、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションの強みは今だに輝きを失っていませんので、IT企業などでは「仕事をする席が決まっていない」フリーアドレス制の職場作りなども進められてきています。

フリーアドレスオフィスとは、もともと外出する事の多い営業部門などで、不在者の席を在席者が使うことでオフィススペースの利用効率を高めたり、オフィスコストの削減を目的に導入されてきたスタイルです。

毎日仕事をする机が決まっていないので、その日行う業務に関係のある人同士で近くに座って仕事をするなど、部署の関係を超えてスピード感のある仕事が出来る、新たなコミュニケーションが生まれるなどのメリットがあります。

しかしフリーアドレスオフィスを導入してみたところ、コミュニケーションの活性化に効果があったが、自分の席を自由に決めることにストレスを感じる社員がでてきたり、管理職が部下たちの行動(勤怠)を把握できないなどの問題も出てきており、デメリットの部分も無視できません。

私もそうですが、日本人は「居場所」を強く求める傾向にありますので、フリーアドレスオフィスのように居場所が自由という環境に馴染みにくいところがあるといえます。

その点で考えてみれば、居場所を確保しながらコミュニケーションの活性化を進めるうえで職場における「席替え」は有効だと考えています。

自分の席が決まっているという点で居場所を確保し、一定間隔で自分の側で仕事する同僚が席替えによって変わることで、普段コミュニケーションをとっていなかった同僚とのコミュニケーションの機会が増えることが期待できます。

管理職の位置は変えずに一般社員のみ席替えをする方法や管理職も含めて席替えをする方法、席替えをする間隔など、色々な席替えを試してみると面白い効果が生まれそうです。

近年、社内コミュニケーションを向上させるためのツールが沢山リリースされていますが、難しく考えずに子供のころから慣れ浸しんだ「席替え」にコミュニケーション向上のためのヒントがあるかもしれません。

朝出社した時に朝礼で「今日は席替えの日です!」って号令が出ると、なんだかドキドキしちゃうと思いませんか?

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2016年08月31日

サバティカル休暇にみる長期休暇の可能性

皆さんは、今年の夏休みをどのように過ごされたでしょうか。

私は、今月初めに平日2日と土日2日の4日間を夏休みとして、沖縄で家族と一緒に過ごしてきました。

私の仕事内容や個人事業主という立場上から考えれば1週間まるまる休むことは難しい現状ですが、もう少し長くバカンスを楽しみたいと思う気持ちもあります。

ある調査結果では、日本企業の夏休みの日数を平均でみると「8日」程度あるようですが、約40%が4日から7日という結果がでており、夏休みが無いと回答した割合も約10%程度あるようです。(別の調査では平均4日というデータも)

日本の場合、世界レベルで見ても祝日が多いので、年間の休みの日数という面で見れば圧倒的に少ないとは思いませんが、長期間まとめて休みを取るという感覚には程遠い現状だといえます。

この手の話では、夏休みが1か月程度あるヨーロッパ諸国の夏休みと比較されて「日本人は働きすぎだ!」といった論調も見受けられるのですが、長期休暇を法律で義務付けられている国もあり、文化や働き方も違うため、単純に比較できるものではありません。

しかし、1か月程度のバカンスを取ることが「普通(当たり前)」といったフランスやイタリア、ドイツといったヨーロッパ諸国の長期バカンスを羨ましいと感じる人も多いのではないでしょうか。

「そんなに長い休みがあっても、やることないし、お金かかるから嫌だ」という意見もありそうですが、長期間の休みが取れるのであれば、普段であればやらないようなことに挑戦(新しい趣味を始めることや新しい勉強をするなど)してみるなどの効果が期待できます。

そのため、日本の企業でも近年、一定の勤続年数に達した社員を対象としたリフレッシュ休暇を導入する動きが加速している感がありますが、1週間程度の休みをとることができるリフレッシュ休暇では、まだまだ長期休暇というには程遠いいといった感覚ではないでしょうか。

そのような日本の休暇事情ですが、日本の国立大学や私立大学の教員には、サバティカル研修という耳慣れない制度があります。

大学教員に適用されているサバティカル研修とは、専門分野の知識や能力の向上を図るために、大学における業務を一定期間免除(1か月から1年間程度)されて、自主研究に専念したり、外国の大学に研究留学するための制度といったものですので、休暇といった意味合いは薄いのですが、本来、この「サバティカル」の語源は、6日間働いた後、7日間は安息日とする旧約聖書のラテン語「sabbaticus(安息日)」に由来します。

そのため長期休暇が一般的なヨーロッパ諸国では「サバティカル休暇」として、一定の勤続年数のある社員のキャリアアップや休息のため、利用目的を限定しない長期休暇として導入する企業が増えており、1年間にもおよぶ長期休暇取得といったケースもあるようです。

1年間自由に使える時間があれば、海外留学、趣味に没頭、人脈を広げる活動、見聞を広げる世界旅行など、自身のキャリアアップや、充電期間として十分その意味を持つでしょう。

ただし現状の日本の労働環境からいうと、長期の休暇を取ることに対する後ろめたさや、休暇を取ったことによる評価の低下などを恐れる風潮もあり、意識的なハードルは高そうです。

事実、最長3か月間のサバティカル制度を導入しているヤフー株式会社では「制度を使うには勇気がいる」といった声も出ているようで、会社として長期休暇の仕組みを作ったとしても、制度を気兼ねなく利用するための意識改革も同時に必要になってくることは間違いありません。

しかし長期休暇を取るためには、自らの仕事を適正に管理して、他社員と仕事を調整し、取引先等との調整が適正に行えなければ長期間にわたって職場を離れることは難しいので、長期休暇を取ることが、結果として社員のスキルアップにつながるという成果も期待できます。

ある企業では、上司がサバティカル休暇を利用した際に、その上司の仕事を一時的に預かり遂行した部下が、上司の仕事を経験して大きくスキルアップしたとの報告もあり、休暇を取った本人だけではなく、他の社員にも有効な効果が表れるケースもあるようです。

これらの効果は、数か月にわたって職場を離れる休暇ならではの結果とも言えそうです。

「1か月以上の長期休暇なんて制度を作るのは無理」と切り捨ててしまうのは簡単ですが、一定の期間継続勤務している社員に対して、さらなるキャリアアップや充電期間を設けることで、会社の生産性向上に効果をもたらす可能性を秘めていると言えます。

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posted by マサ at 15:00| 社労士日記

2016年07月29日

ヒトは「欲」を持つ生き物です。

「欲」の程度の差はあれ、まったく欲が無いというヒトはいません。

心理学の世界でよくいわれるマズローの欲求5段階説では、食事などの生理的欲求(1段階)から始まり、安全な暮らしを求める安全の欲求(2段階)、集団に属する事への社会的欲求(3段階)、他者から評価されたいという承認の欲求(4段階)、最後に自己の能力を最大限に発揮するといった自己実現の欲求(5段階)がピラミッドのように積み重なっていて、下層の欲求が満たされることで、より上層の欲求に重きを置くようになるという説です。

マズローの欲求5段階説の考え方とは少々違うのですが、自らに5段階説を置き換えてみてみると、下層から順序良く欲求が増えていくといった感覚ではなく、全ての階層の欲求が一定割合ずつあり、その時の状況により「重視する欲求割合が違う」といった感覚です。

つまり、3段階目の社会的欲求が最も強い時もあれば、5段階目の自己実現欲求が最も強い時があるといった感じです。

私は心理学者ではありませんから、確かな事を言えるわけではありませんが、ぞれぞれの欲求段階に更なるレベルが存在し「同じ欲求」であっても一度手に入れた欲求を「超える」欲求を引き続いて欲するということがあるように思います。

自分の賃金額に「大満足だ。不満はまったくない」と言い切れるヒトは多くありません。

たとえば今の賃金額が不満だというヒトに、自分に見合う賃金額を聞き、あえてその額の賃金額を支給したとします。

当然、求めていた欲求が満たされたわけですから、支給された当初はモチベーションも上がる事でしょう。

ただし、そのモチベーションが将来にわたって維持されることはありません。

一度達成した欲求のレベルが上がったため、一度手に入れた欲求を「超える」欲求を求めるようになっていくからです。

再び「賃金額が不満だ」という段階に戻ってしまうでしょう。

ヒトは感情も欲もある生き物ですから、それ自体を否定するつもりはありませんが、ある一つの欲求を満たせば良いという単純な事ではないことは確かです。

そのため、社員のモチベーションを高めるため、定着率を高めていくために、どのような施策が有効なのかを一言で表すのは非常に難しいと言えます。

ただ一つ言えるとすれば「会社に勤めているうえで、まったく満たされていない欲求がある」状態を作らないことが重要だと考えています。

つまり「まったく評価されない」といった承認の欲求がまったく満たされていない状態であったり、社内で孤立してしまう(仲間がいない)など社会的欲求がまったく満たされていない状態が続くようなことがあれば、モチベーションの低下や退職者の増加などの悪影響が大きく出てくるでしょう。

そのため、ある一つの欲求を満たすための施策をするのではなく「欲求を満たすべき状態すら無い」という状況を作らないことの方が重要だと思います。

賃金を上げれば常にモチベーションが上がるわけでもなく、労働条件を改善すれば退職者が減るわけでもないのは、一定の欲求が満たされたとしても「満たされていない欲求がより強く不満へとつながる」からではないでしょうか。

全ての欲求を満たすことは事実上不可能であり、満たされた欲求は更に強い欲求を生み出していきますので、適度にバランスよく欲求を「刺激」できる状態を作り上げていくことの方が現実的です。

ただし、ヒトは一度手にした欲求を手放すことはできません。

そのため、一度与えた欲求を奪うようなことになれば、大きなモチベーション低下を生み出してしまいますので、人事・労務管理上の施策を行う際には、その施策によって得られる欲求が将来に向かって現実的に維持できる欲求なのかどうかも慎重に検討していきたいところです。

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posted by マサ at 19:48| 社労士日記

2016年06月30日

目的を達成するためだけの手段であってはならない

近年、新卒で入社した社員を長い時間かけて育てていくというより、スキルを持った経験者を積極的に中途採用するといったケースが増えてきています。

ヒトを育てるには時間とコストがかかりますので、必要なスキルや経験を持っているヒトを採用していくことに合理性はありますし、即戦力として働いてくれる期待感もあります。

そのような中途採用では、入社と同時に部長等のマネジメント職に就任するなど、すぐに幹部として入社するケースも。

多くの場合、新たに入社した会社の風土や実務上の取り扱いなどを把握するために、部下となった社員とのコミュニケーションを積極的にとりながら、物事を進めていくヒトが多いのですが、中には自らの考え方や方法をいきなり強制するような動きをしてしまうヒトも少なからず存在しています。

この動きとは「以前の会社ではこのようにやっていた」といったことや「このようにやるのが一般的」といったように、入社した会社で行われているルールなどを顧みることなく、自身の考え方や実務上の取扱い方法を強制しだしてしまうようなケースです。

もちろん合理性のある改革は大歓迎ですが、まずは部下となった社員とのコミュニケーションをとらなければ、まわりのモチベーションの低下を招きかねません。

どの会社にも創業以来試行錯誤しながら構築してきた人事・労務管理の考え方や実務上の取扱いがあるわけですので、まずはコミュニケーションを取りながら「このような選択肢もあるのでないか」といった提案から入って頂きたいところです。

お客様からこのようなご相談を受けるたびに、実は自らを戒める意味も含めて、考えさせられることが多くあります。

外部の士業者やコンサルタントは、自らの考え方の正当性や実務上の取扱いについて「こうあるべき」という一定の基準を持っており、その基準に自信をもって諸問題にあたっているはずです。

しかしながら400万事業所あると言われる企業において、考え方や方向性は多種多様であり、外部士業者等が持つ基準である「枠」に全てはめ込むことは現実的ではありません。

だからこそ様々な意見を聞きながら「こうあるべき」という自己主張ではなく、あくまで「このような選択肢もあります」という選択の幅を広げることに力を注いでいくことになるわけです。

人事・労務管理の世界における理想と現実は微妙な距離感を持って双方を刺激しあっているものです。

この微妙な距離感を縮める必要に迫られたとき、私の脳裏には「目的を達成するためだけの手段であってはならない」という言葉が常に浮かんできます。

自らの考え方の正当性などを達成することを目的とし、現場の状況を無視して手段を選んでしまえば、当然ながら混乱を招くことになるからです。

感情の生き物であるヒトが集う会社の人事・労務管理の世界では、会社運営上ベストな選択なのか、働く人にとってどのような影響があるのかといった「現場を知り運用を重視すること」を大事にしながら様々な問題を判断していくべきであり、目的ありきで手段を選ぶのは避けていきたいところだと思います。

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posted by マサ at 17:13| 社労士日記

2016年05月31日

リファラル採用からみる人材採用戦略

近年「人材を募集しているが、希望する能力を持った人がいない」「人材募集をかけているが、そもそも応募が無い」など、採用活動に苦労する声が多く聞かれています。

特に中小企業においては、ハローワークや人材紹介会社、求人情報誌や求人広告など様々な媒体を使って人材募集をしているが、求人掲載料やエージェントに支払う手数料などの金銭的コストや書類選考等に係る人的コストも限られているため、大々的に人材を募集するのにも限界があります。

そのような中で注目を浴びているのがリファラル採用と呼ばれる人材採用手法の一つで、要は自社社員の友人・知人、人脈を通じて、会社が求める人材を紹介・推薦してもらうといった採用手法です。

従来から「このような人を採用したいのだけど、良い人いないかな?」「私の友人にこのような人がいますよ」といったようなことは一般的に行われていることですので、それほど珍しいことではないのですが、このような身近な人から紹介・推薦を受けて採用活動をする流れを制度として仕組化していった手法がリファラル採用といえます。

日本の人事・労務管理の世界では、古くから縁故採用という考え方がありますが、リファラル採用とは、あくまで求める人材像を明確にし、採用候補者の質を高め、採用マッチングの精度を高めることを目的としています。

米国の採用経路の統計を見てみれば、リファラル採用による採用割合が最も多く、紹介者に対して一定の金銭的インセンティブを支払うなど、人材採用手法の一つとして確立しています。

人を紹介するということは、紹介者である自分自身の評判にも関わることなので、求める人材像に適合した人材を紹介する確率が高まることからマッチングの精度が高まる傾向にあります。

さらにリファラル採用により入社した社員も、その会社の社風や求められているスキルなどの正確な生の情報を紹介者から直に聞いているわけですから、「こんなはずではなかった」といったことになりにくく、定着率の向上も期待が出来ます。

ただし、制度としてリファラル採用を仕組化するには、一定のハードルがあるのも確かです。

リファラル採用を行う上で最も重要な部分は、社員自らが自分の勤めている会社に友人・知人を紹介したいと思う気持ちを持っていなければ、まったく機能しないということです。

そのため、ただ闇雲に求める人材像を示して、身近にマッチする人材がいるかを社員に求めたところで社員からの紹介は期待できません。

正直なところ、自らが勤める会社に対して100%満足していると公言できる人は稀です。

しかし、労働環境に不満はあるが賃金額には満足しているケースや、賃金額には満足していないが社内の人間関係には満足しているケースなど、その会社に勤め続けている理由といえる一定の満足している部分もあるはずです。

つまり、一定の満足度があり、かつ、社員の協力を得るための仕組みつくりこそがリファラル採用成功の鍵となります。

この協力を得るための仕組みとは、今まで外部に支払っていた採用コストを社員に還元する形での金銭的インセンティブを設定することや、紹介してほしい人材像の明確化から始まり、紹介から選考・入社・入社後のフォロー体制までの流れを明確化すること、さらには紹介してもらった人材が不採用となった場合であっても、会社として礼を尽くす体制など、安心して社員が紹介できるような仕組み作りは絶対的な条件となります。

このような仕組みを作り、社員に対してリファラル採用の趣旨や制度説明を行うことになるわけですが、直ぐに成果が出るほど簡単には進まないケースの方が多いと思います。

友人・知人を自らが勤める会社に紹介することで、どのような結果をもたらすかについて不安があるというのも正直なところなので、自社の事例を見てみないと踏み出せないというのも正直な声ではないでしょうか。

そのため、最初の内はリファラル採用の実施事例を作ることを優先し、人事に携わる社員や社外に顔の広い社員(営業等)を中心にキーマンとなるリファラル採用チームを結成するなどして、積極的に協力をお願いするなどの方法も有効になってくるでしょう。

それなりの成果が出るまで一定の金銭的・時間的コストがかかりますが、長い目で見れば採用戦略に有効な方法であると考えていますので、制度として仕組みを確立し、実施していく価値は十分あると思います。

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posted by マサ at 13:29| 社労士日記

2016年04月28日

制度実施に向けて最も重要なのは、事前に不安を解消すること

平成27年12月から常時50人以上労働者を使用する企業に義務化された「ストレスチェック制度」ですが、スタートしたばかりということもあり、積極的に実施・運用されているという状況にはなっていないようです。

ストレスチェックは、毎年1回定期に行うこととされているため、衛生委員会でストレスチェック制度実施に向けて検討を進めようと議題に上がるものの、実施方法・実施時期など具体的な決定まで至っていないケースが見受けられます。

ストレスによるメンタルヘルス不調を未然に防ぐ「1次予防の強化」を目的とするストレスチェック制度とはいえ、職場という特殊な環境下の中で「ストレス」という相当ナーバスな問題を扱わざるを得ない事への警戒感が会社側からも労働者側からも感じられます。

弊事務所の顧問企業様には、ストレスチェック制度の概要資料をお渡ししてありますが、人事からは「ストレスチェック制度の実施・運用をすること自体がストレスになりますよ・・」という冗談とも思えない声が聞こえてきており、義務化されているとはいえ、現場では実施に向けて高いハードルがあると感じているのが現状です。

その理由としてあげられるのがストレスチェックを受けた結果、自らが高ストレス判定となった場合の不安や高ストレスと判定された労働者へどのような配慮措置を取るべきなのかといった不安が労使ともに非常に強いことがあげられます。

ストレスチェックの結果は、医師等が労働者の同意を得ずに会社に結果を提供する事を禁止しているため、会社側が高ストレス判定を受けた社員がいるのか・いないのか、いる場合に誰が高ストレス判定を受けたのかといった情報全てを知ることは事実上難しいでしょう。

しかし「あなたは高いストレスを感じている状況にあることが判明しました!」という結果を聞かされて嬉しい人などがいるはずがありません。

会社側からしても高ストレス判定をうけた労働者に対して、どのような(どの程度の)人事・労務管理上の配慮措置をしていくことが必要なのかについて難しい判断が求められます。

このようなことからストレスチェック制度の実施・運用により新たなストレスを生み出すのでは?といった話も出てきていますが、そのようなことにならないように、きっちりとした事前準備が不可欠となります。

この事前準備とは、一言でいえば不安を解消するための説明を事前に行い、そのうえでストレスチェックを実施・運用していくことです。

マイナンバー制度が始まった時も感じたことですが、制度の概要や仕組みを知らなければ(情報量が少なければ)不安は募る一方です。

マイナンバー制度が始まった時には、希望のあった顧問企業様で社員向けのマイナンバー制度の勉強会を開催したのですが、終わった後の感想で「思っていたのと違ったので安心した」「完全に不安が解消できたわけでは無いが、会社にマイナンバーを提出する必要性は理解した」といった感想が出てきました。

概要や仕組みの説明と合わせて制度の正確な意図を伝え、不安に感じる部分の説明を行うことで、制度への理解が進み、不安を軽減することができます。

ストレスチェック制度も同様に「法律で義務化されたのでやります」といったことではなく、ストレスチェックとは何か、ストレスチェックをすることで何を目指すのか、不安に感じている部分の実際の丁寧な説明、といったストレスチェック制度の正確な意図を事前に説明することが重要になります。

このような説明をする際には、ストレスチェック制度を行うにあたって、万人が不安に感じる部分を中心としたQ&A方式の資料を用意すると理解度は高まります。

マイナンバー制度にせよ、ストレスチェック制度にせよ、万人が漠然と不安を感じている部分は共通しています。

だからこそ、制度の概要全般を説明する資料だけではなく、不安を感じている部分に特化したQ&A資料を必ず用意し説明する方が不安を少しでも解消する事に繋がっていくでしょう。

漠然とした不安を抱えている状態でストレスチェックを実施・運用し、逆にストレスを増やす結果となっては本末転倒ですので、不安に感じている部分を少しでも解消するための仕組みを通して、意味のあるストレスチェック制度の実施・運用を行っていきたいところです。

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posted by マサ at 15:11| 社労士日記

2016年03月31日

自らの考え方や思いを伝えるツールとして

本日42歳の誕生日を無事に迎えることが出来ました。

つい最近40代に突入したと思っていたのですが、20代・30代の時とは比較にならないほどの体感スピードで年を重ねていっているように感じます。

社会に出始めた20代の時とは違い、仕事・家族といった部分で特に責任のある年齢になりますので、自分が理想とする40代を目指していきたいところです。

さて、最近ブログやSNSといった情報発信ツールに書いた人事・労務管理に関する内容が「炎上」するなどして社会保険労務士が行政処分されるなど、悪いニュースで社会保険労務士の資格名を目にすることが続いています。

私もブログを書き始めて8年以上が経過しているのですが、ありきたりな法改正情報といった内容ではなく、感情の生き物であるヒトが織りなす人事・労務管理の世界に起こる様々な問題や考え方について、自分なりの言葉で文章を書き、お伝えしてきました。

置かれた立場(経営側としての立場と労働側としての立場)が違うと、人事・労務管理の世界で起こる様々な出来事への物事の捉え方が違ってくるのは、今までのニュースレターでも何度も書いてきたことですが、一個人に向けて書いているわけではないため、立場の違う人が読んでも不快な内容にならないようニュースレターの内容・書き方には相当気をつけて書いてきました。

それでもある程度突っ込んだ考え方を書くこともありますので、捉え方によっては賛否両論でるようなケースもあったかと思います。

置かれた立場や個人的感情により物事の捉え方が違うのが、感情の生き物であるヒトが織りなす人事・労務管理の世界ですから、Aさんが是としてもBさんにとって非とすることは、当然の成り行きであり、「あちらを立てれば、こちらが立たず」といった状況が常にあるのが人事・労務管理の難しさでもあります。

そのため人事・労務管理に関する自らの考え方や主張を万人が見ることのできるブログやSNSといったツールを使って表現していく場合には、内容や書き方には十分な配慮が必要になってきます。

加えて人事・労務管理に関する情報は、高度な秘密情報のため、実例をあげて表現することが難しく、なぜそのような考え方に至ったのかについて不特定多数に向けて説明することは困難です。

そのため社会保険労務士に限らず、各士業者は裏方としてクライアントを支える仕事であり、自らの考え方やモノの見方を万人に向けて発信すべきではないといった意見が出てくるのも自然なことでしょう。

しかし国家資格は個人に与えられるものですから、その個人がどのような考え方(スタンス)で仕事をしているのかを伝えていくべきことも少なからず必要になります。

同じ資格をもっていれば、同じ考え方・解釈によるサービスの提供を受けられるということであれば所持資格を公表すればよいだけですが、同じ社会保険労務士資格者同士で問題解決への議論をした時に全ての人が同じ解決方法を提案するということは稀です。

これも置かれている立場や個人的経験・感情から生み出される物事の見方の違いからくるものですので、問題解決や提案内容がヒトそれぞれとなることは当然です。

近年ブラック企業という企業側の負のワードが出てきたかと思えば、モンスター社員という労働者側の負のワードもでてくることを見ても、どちらが正義で、どちらが悪という単純な図式ではないのは明白です。

だからこそ経営者側弁護士や社会保険労務士、労働者側弁護士や社会保険労務士といったように、同じ資格を持つ同士でありながら真逆の立場でサービスを提供するといったことが起こることになります。

様々な専門分野において自らの立場・経験・感情から生み出される物事の捉え方や考え方をクライアントが持つ悩みを解決するための「選択肢の一つ」として提案するのが士業ビジネスであるので、士業者個々人が様々な物事の見方・考え方を持ち、それをベースとして提案を行うのは大事なことだと思います。

そのような中でニュースレターやブログ、SNSといった情報発信ツールを使って「何を表現し何を伝えたいのか」ということを自問自答してみれば、今まで以上に内容や伝え方には細心の注意を払うことが必要ながら、自らの考え方や思いを伝える大事なツールとして、従来のスタンス通り「自らの物事の見方や考え方を通して人事・労務管理の世界に起きている今」を自らの言葉で書いていければと思います。

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