2016年10月31日

本音と建前、理想と現実

皆さんが小さい頃に抱いていた「なりたい職業」って何だったでしょうか。

調査機関によってランキングに違いがありますが、小学生男子ではスポーツ選手や公務員、医者あたりが人気で、女子では看護師やお店関係(パン屋・お花屋など)、タレント(アイドル)あたりが上位に来ているようです。

中にはユーチューバ―が上位に来ているランキングもあるようで、ネットが生活の一部として当たり前のようにある時代に生まれた子供たちならではです。

ちなみに私が小さい頃になりたかった職業は皇宮護衛官でした。

皇宮警護官とは、皇居や皇族の警護を担う特別司法警察職員ですので公務員です。

社会保険労務士になる前は、某TV局で映像編集者として働いていましたから、皇宮護衛官どころか公務員にもなったことが無いわけですが、いつから「なりたい職業」としてあこがれていた職業から遠ざかってしまったのか記憶にありません。

私だけではなく、小さい頃に抱いていた「なりたい職業」通りに「その職業」についている人は少ないのではないでしょうか。

では何故「いまやっている仕事」をしようとしたのか。

この問いには「本音と建前」の大きな垣根があるだけでなく「思い抱いていたイメージと働いた後に感じる現実」との垣根も大きなものです

私は仕事柄、新人社員研修講師の仕事で20代の若者と話をする機会が多くあります。

彼ら彼女らに「なぜこの仕事を選んだのか」という問いを投げかけても、回答としてかえってくるのは「建前」の回答が大多数です。

私がもし子供の気持ちのまま皇宮護衛官になっていたら「皇宮護衛官の制服がかっこいい!馬に乗って警護だなんて憧れる!」と言っていたでしょうけど、現実は「建前」の回答をしてしまうのでしょう。

小学生のころに抱いていた「なりたい職業」の本音を、たった10年程度経過しただけで「建前」でしか答えられなくなることが自分も含めて残念です。

ただ誤解を与えたくないのですが「建前」であったとしても、その仕事を選んだきっかけや理由は必ずあるはずですので、そのきっかけや理由は大事にしてもらいたいと思っています。

長い人生の中で仕事が占めるウエイトは高いわけですので、仕事をし続けるためのモチベーションを維持していくためには「建前上の理由」は必要になるからです。

しかし最終的には「本音」の部分を満たしていくことを無意識に目指していくことになるわけですが、その「本音」とは、小さい頃に抱いていた「なりたい職業」を選んだ時の「子供ながらの本音」とは違う別の「大人の本音」に変わっているはずです。

しかし、その本音を満たすためにどうするべきかを考えながら行動できる人は限られていると思います。

この「大人の本音」が「あくまで理想」であったりするケースもあるので、行動するまでに至らない原因になっているのかもしれません。

自分も含めて言えることですが、情報社会の今、夢や理想を追っていくことに消極的になっているように感じます。

「どうせ無理」「頑張ってもたかが知れている」といった潜在的な感情が蔓延し、夢や理想を追うこと自体が「かっこ悪い」といった風潮すらもあります。

だからこそ「夢を持って働け」とか「理想実現のために頑張れ」と言ったところで心に響く人は少ないでしょう。

今求められているのは「現実的な利益・目に見える効果」であり、それを満たすことのできる企業にヒトが残る傾向にあります。

本音と建前、理想と現実、様々な感情が織り交ざる人事・労務管理の世界は、今後ますます難しい舵取りが必要になってくる時代へと突き進んでいくと思います。

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posted by マサ at 15:36| 社労士日記

2016年09月30日

コミュニケーション向上のための席替え

皆さんも小学生や中学生の時に、クラス替えや席替えにドキドキした記憶があるのではないでしょうか。

新しい環境に馴染めるのか不安に感じていることでドキドキする事もあるでしょうし、気になるあの子と仲良くなれるかもしれないといった青春のドキドキであったかもしれません。

まだ子供であった当時は、それほど意識したことはありませんが、クラス替えや席替えによって新しいコミュニケーションが生まれ、いままで知っている程度の関係だったヒトと急激に仲良くなり、学校以外でも一緒に遊ぶなどの効果があったことを思い出します。

ところが社会に出て働き始めると、毎日仕事をする席が決まっている職場が一般的であり、コミュニケーションの向上を目的とした席替えのようなことを行う企業は多くありません。

同じセクションのメンバーが一か所に集まって仕事をする事のメリットも当然あるのですが、社員数が増えていくにつれて、部・課・係・グループといった仕事をする上でのまとまりをつくることになるため、結果として「まとまり」単位でのコミュニケーションに限定されがちです。

さらに24時間フル稼働で動く業種では、社員ごとに休日もバラバラ、勤務シフトによって昼間働く日もあれば夜働く日もあるなど、各社員がバラバラに仕事をすることになり、シフトの裏の勤務となっている同僚と話したこともないといった事態もおきます。

コミュニケーションの活性化のために、最近では社内イントラネット等を利用した社員同士の情報交換やコミュニケーションを活発化させる方法が広がっていますが、IT技術を利用した情報交換やコミュニケーション向上に限界を感じる人も多いのではないでしょうか。

一昔前では、仕事終わりに上司や同僚と飲みに行く・食事に行くといったことでコミュニケーションをとることが多かったわけですが、今の時代「仕事が終わった後まで職場の人と一緒に居たくない」といった感覚を持つ人が増えてきているので「業務時間内にコミュニケーションがとれる仕組み」の構築が避けて通れなくなってきています。

そのような中、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションの強みは今だに輝きを失っていませんので、IT企業などでは「仕事をする席が決まっていない」フリーアドレス制の職場作りなども進められてきています。

フリーアドレスオフィスとは、もともと外出する事の多い営業部門などで、不在者の席を在席者が使うことでオフィススペースの利用効率を高めたり、オフィスコストの削減を目的に導入されてきたスタイルです。

毎日仕事をする机が決まっていないので、その日行う業務に関係のある人同士で近くに座って仕事をするなど、部署の関係を超えてスピード感のある仕事が出来る、新たなコミュニケーションが生まれるなどのメリットがあります。

しかしフリーアドレスオフィスを導入してみたところ、コミュニケーションの活性化に効果があったが、自分の席を自由に決めることにストレスを感じる社員がでてきたり、管理職が部下たちの行動(勤怠)を把握できないなどの問題も出てきており、デメリットの部分も無視できません。

私もそうですが、日本人は「居場所」を強く求める傾向にありますので、フリーアドレスオフィスのように居場所が自由という環境に馴染みにくいところがあるといえます。

その点で考えてみれば、居場所を確保しながらコミュニケーションの活性化を進めるうえで職場における「席替え」は有効だと考えています。

自分の席が決まっているという点で居場所を確保し、一定間隔で自分の側で仕事する同僚が席替えによって変わることで、普段コミュニケーションをとっていなかった同僚とのコミュニケーションの機会が増えることが期待できます。

管理職の位置は変えずに一般社員のみ席替えをする方法や管理職も含めて席替えをする方法、席替えをする間隔など、色々な席替えを試してみると面白い効果が生まれそうです。

近年、社内コミュニケーションを向上させるためのツールが沢山リリースされていますが、難しく考えずに子供のころから慣れ浸しんだ「席替え」にコミュニケーション向上のためのヒントがあるかもしれません。

朝出社した時に朝礼で「今日は席替えの日です!」って号令が出ると、なんだかドキドキしちゃうと思いませんか?

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posted by マサ at 15:16| 社労士日記

2016年08月31日

サバティカル休暇にみる長期休暇の可能性

皆さんは、今年の夏休みをどのように過ごされたでしょうか。

私は、今月初めに平日2日と土日2日の4日間を夏休みとして、沖縄で家族と一緒に過ごしてきました。

私の仕事内容や個人事業主という立場上から考えれば1週間まるまる休むことは難しい現状ですが、もう少し長くバカンスを楽しみたいと思う気持ちもあります。

ある調査結果では、日本企業の夏休みの日数を平均でみると「8日」程度あるようですが、約40%が4日から7日という結果がでており、夏休みが無いと回答した割合も約10%程度あるようです。(別の調査では平均4日というデータも)

日本の場合、世界レベルで見ても祝日が多いので、年間の休みの日数という面で見れば圧倒的に少ないとは思いませんが、長期間まとめて休みを取るという感覚には程遠い現状だといえます。

この手の話では、夏休みが1か月程度あるヨーロッパ諸国の夏休みと比較されて「日本人は働きすぎだ!」といった論調も見受けられるのですが、長期休暇を法律で義務付けられている国もあり、文化や働き方も違うため、単純に比較できるものではありません。

しかし、1か月程度のバカンスを取ることが「普通(当たり前)」といったフランスやイタリア、ドイツといったヨーロッパ諸国の長期バカンスを羨ましいと感じる人も多いのではないでしょうか。

「そんなに長い休みがあっても、やることないし、お金かかるから嫌だ」という意見もありそうですが、長期間の休みが取れるのであれば、普段であればやらないようなことに挑戦(新しい趣味を始めることや新しい勉強をするなど)してみるなどの効果が期待できます。

そのため、日本の企業でも近年、一定の勤続年数に達した社員を対象としたリフレッシュ休暇を導入する動きが加速している感がありますが、1週間程度の休みをとることができるリフレッシュ休暇では、まだまだ長期休暇というには程遠いいといった感覚ではないでしょうか。

そのような日本の休暇事情ですが、日本の国立大学や私立大学の教員には、サバティカル研修という耳慣れない制度があります。

大学教員に適用されているサバティカル研修とは、専門分野の知識や能力の向上を図るために、大学における業務を一定期間免除(1か月から1年間程度)されて、自主研究に専念したり、外国の大学に研究留学するための制度といったものですので、休暇といった意味合いは薄いのですが、本来、この「サバティカル」の語源は、6日間働いた後、7日間は安息日とする旧約聖書のラテン語「sabbaticus(安息日)」に由来します。

そのため長期休暇が一般的なヨーロッパ諸国では「サバティカル休暇」として、一定の勤続年数のある社員のキャリアアップや休息のため、利用目的を限定しない長期休暇として導入する企業が増えており、1年間にもおよぶ長期休暇取得といったケースもあるようです。

1年間自由に使える時間があれば、海外留学、趣味に没頭、人脈を広げる活動、見聞を広げる世界旅行など、自身のキャリアアップや、充電期間として十分その意味を持つでしょう。

ただし現状の日本の労働環境からいうと、長期の休暇を取ることに対する後ろめたさや、休暇を取ったことによる評価の低下などを恐れる風潮もあり、意識的なハードルは高そうです。

事実、最長3か月間のサバティカル制度を導入しているヤフー株式会社では「制度を使うには勇気がいる」といった声も出ているようで、会社として長期休暇の仕組みを作ったとしても、制度を気兼ねなく利用するための意識改革も同時に必要になってくることは間違いありません。

しかし長期休暇を取るためには、自らの仕事を適正に管理して、他社員と仕事を調整し、取引先等との調整が適正に行えなければ長期間にわたって職場を離れることは難しいので、長期休暇を取ることが、結果として社員のスキルアップにつながるという成果も期待できます。

ある企業では、上司がサバティカル休暇を利用した際に、その上司の仕事を一時的に預かり遂行した部下が、上司の仕事を経験して大きくスキルアップしたとの報告もあり、休暇を取った本人だけではなく、他の社員にも有効な効果が表れるケースもあるようです。

これらの効果は、数か月にわたって職場を離れる休暇ならではの結果とも言えそうです。

「1か月以上の長期休暇なんて制度を作るのは無理」と切り捨ててしまうのは簡単ですが、一定の期間継続勤務している社員に対して、さらなるキャリアアップや充電期間を設けることで、会社の生産性向上に効果をもたらす可能性を秘めていると言えます。

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posted by マサ at 15:00| 社労士日記

2016年07月29日

ヒトは「欲」を持つ生き物です。

「欲」の程度の差はあれ、まったく欲が無いというヒトはいません。

心理学の世界でよくいわれるマズローの欲求5段階説では、食事などの生理的欲求(1段階)から始まり、安全な暮らしを求める安全の欲求(2段階)、集団に属する事への社会的欲求(3段階)、他者から評価されたいという承認の欲求(4段階)、最後に自己の能力を最大限に発揮するといった自己実現の欲求(5段階)がピラミッドのように積み重なっていて、下層の欲求が満たされることで、より上層の欲求に重きを置くようになるという説です。

マズローの欲求5段階説の考え方とは少々違うのですが、自らに5段階説を置き換えてみてみると、下層から順序良く欲求が増えていくといった感覚ではなく、全ての階層の欲求が一定割合ずつあり、その時の状況により「重視する欲求割合が違う」といった感覚です。

つまり、3段階目の社会的欲求が最も強い時もあれば、5段階目の自己実現欲求が最も強い時があるといった感じです。

私は心理学者ではありませんから、確かな事を言えるわけではありませんが、ぞれぞれの欲求段階に更なるレベルが存在し「同じ欲求」であっても一度手に入れた欲求を「超える」欲求を引き続いて欲するということがあるように思います。

自分の賃金額に「大満足だ。不満はまったくない」と言い切れるヒトは多くありません。

たとえば今の賃金額が不満だというヒトに、自分に見合う賃金額を聞き、あえてその額の賃金額を支給したとします。

当然、求めていた欲求が満たされたわけですから、支給された当初はモチベーションも上がる事でしょう。

ただし、そのモチベーションが将来にわたって維持されることはありません。

一度達成した欲求のレベルが上がったため、一度手に入れた欲求を「超える」欲求を求めるようになっていくからです。

再び「賃金額が不満だ」という段階に戻ってしまうでしょう。

ヒトは感情も欲もある生き物ですから、それ自体を否定するつもりはありませんが、ある一つの欲求を満たせば良いという単純な事ではないことは確かです。

そのため、社員のモチベーションを高めるため、定着率を高めていくために、どのような施策が有効なのかを一言で表すのは非常に難しいと言えます。

ただ一つ言えるとすれば「会社に勤めているうえで、まったく満たされていない欲求がある」状態を作らないことが重要だと考えています。

つまり「まったく評価されない」といった承認の欲求がまったく満たされていない状態であったり、社内で孤立してしまう(仲間がいない)など社会的欲求がまったく満たされていない状態が続くようなことがあれば、モチベーションの低下や退職者の増加などの悪影響が大きく出てくるでしょう。

そのため、ある一つの欲求を満たすための施策をするのではなく「欲求を満たすべき状態すら無い」という状況を作らないことの方が重要だと思います。

賃金を上げれば常にモチベーションが上がるわけでもなく、労働条件を改善すれば退職者が減るわけでもないのは、一定の欲求が満たされたとしても「満たされていない欲求がより強く不満へとつながる」からではないでしょうか。

全ての欲求を満たすことは事実上不可能であり、満たされた欲求は更に強い欲求を生み出していきますので、適度にバランスよく欲求を「刺激」できる状態を作り上げていくことの方が現実的です。

ただし、ヒトは一度手にした欲求を手放すことはできません。

そのため、一度与えた欲求を奪うようなことになれば、大きなモチベーション低下を生み出してしまいますので、人事・労務管理上の施策を行う際には、その施策によって得られる欲求が将来に向かって現実的に維持できる欲求なのかどうかも慎重に検討していきたいところです。

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posted by マサ at 19:48| 社労士日記

2016年06月30日

目的を達成するためだけの手段であってはならない

近年、新卒で入社した社員を長い時間かけて育てていくというより、スキルを持った経験者を積極的に中途採用するといったケースが増えてきています。

ヒトを育てるには時間とコストがかかりますので、必要なスキルや経験を持っているヒトを採用していくことに合理性はありますし、即戦力として働いてくれる期待感もあります。

そのような中途採用では、入社と同時に部長等のマネジメント職に就任するなど、すぐに幹部として入社するケースも。

多くの場合、新たに入社した会社の風土や実務上の取り扱いなどを把握するために、部下となった社員とのコミュニケーションを積極的にとりながら、物事を進めていくヒトが多いのですが、中には自らの考え方や方法をいきなり強制するような動きをしてしまうヒトも少なからず存在しています。

この動きとは「以前の会社ではこのようにやっていた」といったことや「このようにやるのが一般的」といったように、入社した会社で行われているルールなどを顧みることなく、自身の考え方や実務上の取扱い方法を強制しだしてしまうようなケースです。

もちろん合理性のある改革は大歓迎ですが、まずは部下となった社員とのコミュニケーションをとらなければ、まわりのモチベーションの低下を招きかねません。

どの会社にも創業以来試行錯誤しながら構築してきた人事・労務管理の考え方や実務上の取扱いがあるわけですので、まずはコミュニケーションを取りながら「このような選択肢もあるのでないか」といった提案から入って頂きたいところです。

お客様からこのようなご相談を受けるたびに、実は自らを戒める意味も含めて、考えさせられることが多くあります。

外部の士業者やコンサルタントは、自らの考え方の正当性や実務上の取扱いについて「こうあるべき」という一定の基準を持っており、その基準に自信をもって諸問題にあたっているはずです。

しかしながら400万事業所あると言われる企業において、考え方や方向性は多種多様であり、外部士業者等が持つ基準である「枠」に全てはめ込むことは現実的ではありません。

だからこそ様々な意見を聞きながら「こうあるべき」という自己主張ではなく、あくまで「このような選択肢もあります」という選択の幅を広げることに力を注いでいくことになるわけです。

人事・労務管理の世界における理想と現実は微妙な距離感を持って双方を刺激しあっているものです。

この微妙な距離感を縮める必要に迫られたとき、私の脳裏には「目的を達成するためだけの手段であってはならない」という言葉が常に浮かんできます。

自らの考え方の正当性などを達成することを目的とし、現場の状況を無視して手段を選んでしまえば、当然ながら混乱を招くことになるからです。

感情の生き物であるヒトが集う会社の人事・労務管理の世界では、会社運営上ベストな選択なのか、働く人にとってどのような影響があるのかといった「現場を知り運用を重視すること」を大事にしながら様々な問題を判断していくべきであり、目的ありきで手段を選ぶのは避けていきたいところだと思います。

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posted by マサ at 17:13| 社労士日記

2016年05月31日

リファラル採用からみる人材採用戦略

近年「人材を募集しているが、希望する能力を持った人がいない」「人材募集をかけているが、そもそも応募が無い」など、採用活動に苦労する声が多く聞かれています。

特に中小企業においては、ハローワークや人材紹介会社、求人情報誌や求人広告など様々な媒体を使って人材募集をしているが、求人掲載料やエージェントに支払う手数料などの金銭的コストや書類選考等に係る人的コストも限られているため、大々的に人材を募集するのにも限界があります。

そのような中で注目を浴びているのがリファラル採用と呼ばれる人材採用手法の一つで、要は自社社員の友人・知人、人脈を通じて、会社が求める人材を紹介・推薦してもらうといった採用手法です。

従来から「このような人を採用したいのだけど、良い人いないかな?」「私の友人にこのような人がいますよ」といったようなことは一般的に行われていることですので、それほど珍しいことではないのですが、このような身近な人から紹介・推薦を受けて採用活動をする流れを制度として仕組化していった手法がリファラル採用といえます。

日本の人事・労務管理の世界では、古くから縁故採用という考え方がありますが、リファラル採用とは、あくまで求める人材像を明確にし、採用候補者の質を高め、採用マッチングの精度を高めることを目的としています。

米国の採用経路の統計を見てみれば、リファラル採用による採用割合が最も多く、紹介者に対して一定の金銭的インセンティブを支払うなど、人材採用手法の一つとして確立しています。

人を紹介するということは、紹介者である自分自身の評判にも関わることなので、求める人材像に適合した人材を紹介する確率が高まることからマッチングの精度が高まる傾向にあります。

さらにリファラル採用により入社した社員も、その会社の社風や求められているスキルなどの正確な生の情報を紹介者から直に聞いているわけですから、「こんなはずではなかった」といったことになりにくく、定着率の向上も期待が出来ます。

ただし、制度としてリファラル採用を仕組化するには、一定のハードルがあるのも確かです。

リファラル採用を行う上で最も重要な部分は、社員自らが自分の勤めている会社に友人・知人を紹介したいと思う気持ちを持っていなければ、まったく機能しないということです。

そのため、ただ闇雲に求める人材像を示して、身近にマッチする人材がいるかを社員に求めたところで社員からの紹介は期待できません。

正直なところ、自らが勤める会社に対して100%満足していると公言できる人は稀です。

しかし、労働環境に不満はあるが賃金額には満足しているケースや、賃金額には満足していないが社内の人間関係には満足しているケースなど、その会社に勤め続けている理由といえる一定の満足している部分もあるはずです。

つまり、一定の満足度があり、かつ、社員の協力を得るための仕組みつくりこそがリファラル採用成功の鍵となります。

この協力を得るための仕組みとは、今まで外部に支払っていた採用コストを社員に還元する形での金銭的インセンティブを設定することや、紹介してほしい人材像の明確化から始まり、紹介から選考・入社・入社後のフォロー体制までの流れを明確化すること、さらには紹介してもらった人材が不採用となった場合であっても、会社として礼を尽くす体制など、安心して社員が紹介できるような仕組み作りは絶対的な条件となります。

このような仕組みを作り、社員に対してリファラル採用の趣旨や制度説明を行うことになるわけですが、直ぐに成果が出るほど簡単には進まないケースの方が多いと思います。

友人・知人を自らが勤める会社に紹介することで、どのような結果をもたらすかについて不安があるというのも正直なところなので、自社の事例を見てみないと踏み出せないというのも正直な声ではないでしょうか。

そのため、最初の内はリファラル採用の実施事例を作ることを優先し、人事に携わる社員や社外に顔の広い社員(営業等)を中心にキーマンとなるリファラル採用チームを結成するなどして、積極的に協力をお願いするなどの方法も有効になってくるでしょう。

それなりの成果が出るまで一定の金銭的・時間的コストがかかりますが、長い目で見れば採用戦略に有効な方法であると考えていますので、制度として仕組みを確立し、実施していく価値は十分あると思います。

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posted by マサ at 13:29| 社労士日記

2016年04月28日

制度実施に向けて最も重要なのは、事前に不安を解消すること

平成27年12月から常時50人以上労働者を使用する企業に義務化された「ストレスチェック制度」ですが、スタートしたばかりということもあり、積極的に実施・運用されているという状況にはなっていないようです。

ストレスチェックは、毎年1回定期に行うこととされているため、衛生委員会でストレスチェック制度実施に向けて検討を進めようと議題に上がるものの、実施方法・実施時期など具体的な決定まで至っていないケースが見受けられます。

ストレスによるメンタルヘルス不調を未然に防ぐ「1次予防の強化」を目的とするストレスチェック制度とはいえ、職場という特殊な環境下の中で「ストレス」という相当ナーバスな問題を扱わざるを得ない事への警戒感が会社側からも労働者側からも感じられます。

弊事務所の顧問企業様には、ストレスチェック制度の概要資料をお渡ししてありますが、人事からは「ストレスチェック制度の実施・運用をすること自体がストレスになりますよ・・」という冗談とも思えない声が聞こえてきており、義務化されているとはいえ、現場では実施に向けて高いハードルがあると感じているのが現状です。

その理由としてあげられるのがストレスチェックを受けた結果、自らが高ストレス判定となった場合の不安や高ストレスと判定された労働者へどのような配慮措置を取るべきなのかといった不安が労使ともに非常に強いことがあげられます。

ストレスチェックの結果は、医師等が労働者の同意を得ずに会社に結果を提供する事を禁止しているため、会社側が高ストレス判定を受けた社員がいるのか・いないのか、いる場合に誰が高ストレス判定を受けたのかといった情報全てを知ることは事実上難しいでしょう。

しかし「あなたは高いストレスを感じている状況にあることが判明しました!」という結果を聞かされて嬉しい人などがいるはずがありません。

会社側からしても高ストレス判定をうけた労働者に対して、どのような(どの程度の)人事・労務管理上の配慮措置をしていくことが必要なのかについて難しい判断が求められます。

このようなことからストレスチェック制度の実施・運用により新たなストレスを生み出すのでは?といった話も出てきていますが、そのようなことにならないように、きっちりとした事前準備が不可欠となります。

この事前準備とは、一言でいえば不安を解消するための説明を事前に行い、そのうえでストレスチェックを実施・運用していくことです。

マイナンバー制度が始まった時も感じたことですが、制度の概要や仕組みを知らなければ(情報量が少なければ)不安は募る一方です。

マイナンバー制度が始まった時には、希望のあった顧問企業様で社員向けのマイナンバー制度の勉強会を開催したのですが、終わった後の感想で「思っていたのと違ったので安心した」「完全に不安が解消できたわけでは無いが、会社にマイナンバーを提出する必要性は理解した」といった感想が出てきました。

概要や仕組みの説明と合わせて制度の正確な意図を伝え、不安に感じる部分の説明を行うことで、制度への理解が進み、不安を軽減することができます。

ストレスチェック制度も同様に「法律で義務化されたのでやります」といったことではなく、ストレスチェックとは何か、ストレスチェックをすることで何を目指すのか、不安に感じている部分の実際の丁寧な説明、といったストレスチェック制度の正確な意図を事前に説明することが重要になります。

このような説明をする際には、ストレスチェック制度を行うにあたって、万人が不安に感じる部分を中心としたQ&A方式の資料を用意すると理解度は高まります。

マイナンバー制度にせよ、ストレスチェック制度にせよ、万人が漠然と不安を感じている部分は共通しています。

だからこそ、制度の概要全般を説明する資料だけではなく、不安を感じている部分に特化したQ&A資料を必ず用意し説明する方が不安を少しでも解消する事に繋がっていくでしょう。

漠然とした不安を抱えている状態でストレスチェックを実施・運用し、逆にストレスを増やす結果となっては本末転倒ですので、不安に感じている部分を少しでも解消するための仕組みを通して、意味のあるストレスチェック制度の実施・運用を行っていきたいところです。

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2016年03月31日

自らの考え方や思いを伝えるツールとして

本日42歳の誕生日を無事に迎えることが出来ました。

つい最近40代に突入したと思っていたのですが、20代・30代の時とは比較にならないほどの体感スピードで年を重ねていっているように感じます。

社会に出始めた20代の時とは違い、仕事・家族といった部分で特に責任のある年齢になりますので、自分が理想とする40代を目指していきたいところです。

さて、最近ブログやSNSといった情報発信ツールに書いた人事・労務管理に関する内容が「炎上」するなどして社会保険労務士が行政処分されるなど、悪いニュースで社会保険労務士の資格名を目にすることが続いています。

私もブログを書き始めて8年以上が経過しているのですが、ありきたりな法改正情報といった内容ではなく、感情の生き物であるヒトが織りなす人事・労務管理の世界に起こる様々な問題や考え方について、自分なりの言葉で文章を書き、お伝えしてきました。

置かれた立場(経営側としての立場と労働側としての立場)が違うと、人事・労務管理の世界で起こる様々な出来事への物事の捉え方が違ってくるのは、今までのニュースレターでも何度も書いてきたことですが、一個人に向けて書いているわけではないため、立場の違う人が読んでも不快な内容にならないようニュースレターの内容・書き方には相当気をつけて書いてきました。

それでもある程度突っ込んだ考え方を書くこともありますので、捉え方によっては賛否両論でるようなケースもあったかと思います。

置かれた立場や個人的感情により物事の捉え方が違うのが、感情の生き物であるヒトが織りなす人事・労務管理の世界ですから、Aさんが是としてもBさんにとって非とすることは、当然の成り行きであり、「あちらを立てれば、こちらが立たず」といった状況が常にあるのが人事・労務管理の難しさでもあります。

そのため人事・労務管理に関する自らの考え方や主張を万人が見ることのできるブログやSNSといったツールを使って表現していく場合には、内容や書き方には十分な配慮が必要になってきます。

加えて人事・労務管理に関する情報は、高度な秘密情報のため、実例をあげて表現することが難しく、なぜそのような考え方に至ったのかについて不特定多数に向けて説明することは困難です。

そのため社会保険労務士に限らず、各士業者は裏方としてクライアントを支える仕事であり、自らの考え方やモノの見方を万人に向けて発信すべきではないといった意見が出てくるのも自然なことでしょう。

しかし国家資格は個人に与えられるものですから、その個人がどのような考え方(スタンス)で仕事をしているのかを伝えていくべきことも少なからず必要になります。

同じ資格をもっていれば、同じ考え方・解釈によるサービスの提供を受けられるということであれば所持資格を公表すればよいだけですが、同じ社会保険労務士資格者同士で問題解決への議論をした時に全ての人が同じ解決方法を提案するということは稀です。

これも置かれている立場や個人的経験・感情から生み出される物事の見方の違いからくるものですので、問題解決や提案内容がヒトそれぞれとなることは当然です。

近年ブラック企業という企業側の負のワードが出てきたかと思えば、モンスター社員という労働者側の負のワードもでてくることを見ても、どちらが正義で、どちらが悪という単純な図式ではないのは明白です。

だからこそ経営者側弁護士や社会保険労務士、労働者側弁護士や社会保険労務士といったように、同じ資格を持つ同士でありながら真逆の立場でサービスを提供するといったことが起こることになります。

様々な専門分野において自らの立場・経験・感情から生み出される物事の捉え方や考え方をクライアントが持つ悩みを解決するための「選択肢の一つ」として提案するのが士業ビジネスであるので、士業者個々人が様々な物事の見方・考え方を持ち、それをベースとして提案を行うのは大事なことだと思います。

そのような中でニュースレターやブログ、SNSといった情報発信ツールを使って「何を表現し何を伝えたいのか」ということを自問自答してみれば、今まで以上に内容や伝え方には細心の注意を払うことが必要ながら、自らの考え方や思いを伝える大事なツールとして、従来のスタンス通り「自らの物事の見方や考え方を通して人事・労務管理の世界に起きている今」を自らの言葉で書いていければと思います。

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posted by マサ at 17:44| 社労士日記

2016年02月29日

人事・労務トラブルの複雑化

今までのブログの中でも感情の生き物であるヒトが織りなす人事・労務管理の世界では、物事の見方や考え方が違うことによって、様々なトラブルが発生してしまうことなどをお伝えしてきました。

そこは法律論ではなく感情論に支配されている部分も多く、根気よく話し合いを通じて解決していくことが重要であることを常々お伝えしてきたところです。

ところが、最近の傾向として「話し合いにならない」というケースも増えてきており、対応に苦慮するケースも多く出てきています。

高度な企業秘密に該当するため、詳細を書くことはできませんが「一般常識が通用しない」パターン、「自己中心的な主張」パターンなど、トラブルが起こった際の話し合いにならないケースでは、幾つかのパターンに分かれています。

そのようなトラブルにおいては、双方の主張がまったく噛み合わず、話し合いの場で永遠に平行線をたどってしまうことも珍しいことではありません。

そのような状況であろうとも、会社として話し合いの場を設け、丁寧に根気よく話し合いを行う必要があるのですが、トラブル対応のための時間的・金銭的コスト等は軽くありません。

トラブル内容によっては、解決までに数か月かかるようなケースもあり、現場担当者や人事の幹部社員がトラブル対応に相当の時間を費やすことになり、時間的・金銭的コストだけではなく、トラブル対応をしていた社員のメンタルに影響を及ぼす恐れもあり、様々なリスクを伴います。

そのため、この時間的・金銭的コストやリスクを嫌い、一定の金額を支払うことでトラブルを納めようとするケースも少なからず見受けられます。

私としては、そのような解決方法が人事・労務管理上のトラブルが増え続ける一つの要因となっていると考えていますので、解決方法として適切だと言えませんが、時間的・金銭的コストやリスクを避けようとするための苦渋の選択となっている背景もあります。

ただし、このように話し合いにならない人事・労務上のトラブルは、多くのケースで「入社してすぐ起こる」という特徴があります。

一定の期間勤めていた社員との間で起こる人事・労務上のトラブルは、概ね話し合いの中で一定の妥協点を見つけ、双方が歩み寄る形で解決に向かうことがありますが、入社して間もない社員がいきなりトラブルとなるケースでは、話し合いにならないことが多くあることも事実です。

そのことから見えてくるのは、入社してすぐにトラブルとなるようなヒトを採用しないということが最も重要なわけですが「採用選考の中で見抜くのは無理だ」という声が聞こえてきます。

ところがトラブルとなった後に担当者に話を聞くと「今思えば・・・・・」「実は・・・・・」と履歴書等の提出書類から見えた違和感や採用面接時に違和感を感じていたという話が出てきます。

急にヒトが必要になり、採用を急ぐあまりに違和感を抱えながらも採用してしまった結果、多くの時間的・金銭的コストを負うこととなってしまったわけです。

採用選考の場では、感覚的な判断に頼らず適性検査などのツールを使い理論的に分析・判断することが重要との意見もありますが、私的には違和感といった感覚的な判断が実は的を得ていることがあると考えています。

結局は感情の生き物であるヒトとヒトが織りなす人事・労務管理の世界ですので、感覚的な判断も選考において重要な要素になりえます。

もちろん感覚的な判断「のみ」で決定すべきではありませんが、採用選考の結果が大きなトラブルを引き起こす要因となることがありますので、採用選考は、会社の人材戦略においてもトラブルを未然に防ぐためにも最も重要な部分となります。

トラブルが起きてしまった後の時間的・金銭的コストは軽くありませんので、採用戦略を人事・労務管理上の最も重要な事項と位置づけ、自社の採用選考における成功例や失敗例を細かく集約・分析し、入社してすぐにトラブルとなって、その対応に追われるようなことが無いように、採用戦略の仕組みづくりを進めていくことが重要です。

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posted by マサ at 15:35| 社労士日記

2016年01月29日

2016年スタート

新年あけましておめでとうございます。

今年も弊事務所ならではの発想で人事・労務管理の世界における考え方や見方を自由にお伝えしていきたいと思いますので、齋藤正憲社会保険労務士事務所ブログをよろしくお願い致します。

さて、いよいよマイナンバーの実務上の運用がスタートしているわけですが、案の定というか、やはりというのか、順調に運用がスタートしているとは言えない状況です。

通知カードの配布も順調に進んでいたとは言えず、特に一人暮らしの社員が受け取れずに通知カードが市区町村での保管となってしまっているケースも多くあり、弊事務所がお預かりする予定のマイナンバーも全て収集・保管できていないのが現状です。

そのような状況もあり、現状雇用保険の資格取得届といったマイナンバーの記載が必要な書類に関してもマイナンバーの記載をせずに手続きを行っているわけですが、実務上受理されないということはありません。

しかし、マイナンバーの影響かどうかは定かではありませんが、去年に比べて雇用保険の資格取得確認通知等の公文書が発行されるまでに時間がかかっているように感じます。

また、想定していたことではありますが、マイナンバーを会社へ提供することに難色を示す人も少ないながら出てきています。

感情の生き物であるヒトを扱う人事・労務管理の世界ならではと言えますが、物事の捉え方は千差万別なためマイナンバーに関して「全く気にしていない」という人もいれば「過剰に気にしている」人がでてくることも自然なことでしょう。

なかにはマイナンバーのような番号を振られること自体に嫌悪感を抱く人もいますので、マイナンバーの通知カードの受け取り自体を拒否する人が従業員の中で出てきた場合は、本人も番号を知らない状況ですから、提供を求めること自体意味を成しません。

今のところ私の事務所が関与させて頂いている会社でマイナンバーの受け取り自体を拒否している従業員がいるという報告はありませんが、そのようなケースが出てくる可能性もゼロではありませんから、対応するための準備は欠かせません。

私も自分のマイナンバーをお客様企業に提供することが出てくるわけですが、私個人の感覚ではマイナンバーの提供に対する抵抗感はありません。

仕事柄マイナンバーを取り扱うことが多いため、マイナンバー制度への理解を深めているからという理由もありますが、あくまで私個人の物事の捉え方によるところが大きいとは思います。

しかし全ての人が「気にしていない」ということにはなりませんので、人事・労務管理上は「気にしている人」に対してマイナンバー制度の説明や会社への提供に協力するように丁寧に説明をしていく必要はあります。

マイナンバーの利用開始により、感情の生き物であるヒトが集う人事・労務管理の世界に新たな悩みの種が増えたという印象が強いのですが、社会保険労務士の仕事という目線で見る限りでは、物事の捉え方が千差万別であるからこその難しさと、それらの問題に対する対応策を練る面白さがあることも事実です。

2016年もスタートして早くも1か月が過ぎ去ろうとしています。

今年も感情の生き物であるヒトが織りなす人事・労務管理の世界で様々な問題や悩みに正面からぶつかっていければと思います。

また、従来は社会保険労務士が2名以上在籍している形でしか認められていなかった社会保険労務士法人ですが、社労士法改正により1月から在籍する社会保険労務士が1名でも法人化することが認められました。

現状の個人事業としての事務所運営にもメリットがありますが、今後の事務所運営の方向性として、法人化を視野に入れていこうと考えています。

法人化に向けて課題もいくつかあるので決定事項ではありませんが、法人化に向けての情報収集や検討を進めていこうと思います。

2016年も引き続きよろしくお願い致します。

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posted by マサ at 20:06| 社労士日記

2015年12月25日

職場の人間関係も自分次第

Merry Christmas! 
いよいよ今年も残りわずかとなってきました。

本日25日(金)が仕事納めという会社も多いのではないでしょうか。

弊事務所は、12月28日(月)を仕事納め、1月4日(月)を仕事始めとさせていただきますので、よろしくお願い致します。

この時期は、会社の忘年会なども開催されているので、街中の飲み屋さんは大盛況ですね。

今年は、お誘いいただいた忘年会の日程が重なることが多く、お断りするケースもあったので非常に残念でした。

13年勤めた会社員時代から変わらないのですが、私は飲みの席が大好きです。

会社員時代は忘年会や新年会といったイベント時だけでなく、ほぼ毎日会社の上司や先輩、後輩たちと飲み歩いていました。

最近ある調査結果では「会社の忘年会は不要(または苦痛)」という意見が50%を超えているようです。

「仕事じゃない時まで会社の人間と顔をあわせたくない」「参加しても面白くないし、気を使って疲れるだけ」といった意見が多いようですが、中には「残業代が出るなら参加する」といったクール(?)な意見も。

そもそもお酒の席が苦手な人もいるので、参加したくないという意見も当然だと思うのですが、半数以上の人が「不要!」と切り捨ててしまうことは残念ではあります。

そういう現状を見ながら、なぜ私は当時あんなにも会社の人といつも一緒にいたのだろうと考えてみると、お酒を飲みたいという感覚もあったと思いますが、会社の同僚と飲むことが会社とは関係のない友人と飲むこととなんら変わらない感覚を持っていたからだと思います。

飲みの席に参加してコミュニケーションをとったのではなく、職場での仕事環境の中でコミュニケーションをとれているからこそ、職場を離れても一緒にいることに何も疑問を持っていなかったように感じます。

当時の職場に特別なコミュニケーションツールがあったわけでもなく、いたって普通の職場だったかと思いますが、業務を遂行するにあたって、一定のグループ(20人程度)でまとまって動いていたことも一つの要因であったといえます。

多すぎず少なすぎないグループで常に一緒にいるので妙な連帯感がうまれ、職場でコミュニケーションを円滑にとらなければ良い仕事が出来ないといったことがあったといえます。

もちろん周りの人に恵まれたところもあったと思いますが、少なくとも職場の人と仕事以外の場で会うことや飲むことに何ら疑問を感じていなかったことは確かです。

今週、別の忘年会と日程が重なってしまったため断っていた会社員時代の後輩から、もう24時を回ろうとするときに電話がありました。

「まだ皆で飲んでいます。来てくれますよね」

私は、その日参加した忘年会を終え帰宅の途につこうとしていたところですが、何の疑問も持たずに当時の仲間に会うため皆がいる場所に向かいました。

私が前職の会社を退職してもう8年。

当時一緒に苦楽を共にした仲間が集う飲む会がずっと続いていることは、私にとって大事な財産となっています。

自分の人生の大多数を過ごすことになる職場が「仕事をする場(お金を稼ぐ場)」ということだけでは勿体ないと思います。

「仕事じゃない時まで会社の人間と顔をあわせたくない」と切り捨てずに、職場で友人を、仲間を作るようなコミュニケーションを、自らもっと作ってみても良いのではないでしょうか。

参加したくないと思っていた忘年会や新年会で、新たなコミュニケーションが生まれるかもしれません。

そのコミュニケーションが貴方の人生を劇的に変えてしまうかもしれない可能性を秘めているのですから。

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posted by マサ at 21:09| 社労士日記

2015年11月30日

弊事務所のマイナンバー取り扱い方法

マイナンバーの通知が始まって2か月程度たっていますが、最近マイナンバーの通知書を受け取られたという方も多いのではないでしょうか。

私自身も家族全員のマイナンバーの通知書を先々週頃に無事受け取りました。

実際に受け取った妻の話によると、郵便局の配達員の方がマイナンバーの通知書であることを丁寧に説明し、世帯主確認を行っていたようです。

ところが弊事務所にも「DMだと思って捨ててしまったという社員が・・・」というご相談(?)が入り始めるなど、波乱の幕開けのようです。

このマイナンバーですが、人事・労務管理手続きを受託する社会保険労務士事務所にとっては、業務上使用頻度が高いため、人事・労務管理に関する諸手続き等を受託している顧問先様からは、全ての役員・社員等の方々のマイナンバーを弊事務所でお預かりする必要があります。

当然、マイナンバーの漏洩等リスクをなくすために、お預かりしたマイナンバーの取得・保管・管理・削除には細心の注意を要します。

そのため、弊事務所がマイナンバーの取扱いをどのように行っていくかについてご説明をさせていただきます。

まず前提として、お預かりしたマイナンバーを文書で保管する、エクセルファイル等で作られたマイナンバーの一覧表を事務所PCで保管するといったアナログな管理方法では、漏洩等リスクを軽減できるとはいえません。

そのため弊事務所では、現在事務所で使用している社会保険労務士業務全般を一元管理している業務用ソフト会社が提供するマイナンバー専用のクラウドシステムを使用することになります。

具体的には、日本マイクロソフトの専用サーバーに弊事務所専用の顧問先様のマイナンバーを保管する場所が作られ、そのクラウドサーバーにのみマイナンバーを保管・管理するため、弊事務所内にマイナンバーの記載された文書やファイル等を保管・管理することは致しません。

これは事務所荒らしによりマイナンバーの一覧表が入った金庫やPCが盗難にあったり、マイナンバーの記載された文書を事務所外に持ち出すことによる漏洩リスクを無くしたいという考え方からです。

このクラウドシステムを利用する事により、弊事務所内には一切マイナンバーの記載された文書やファイルは存在しませんので、直接的な漏洩リスクは無くなったといえます。

では、実際にマイナンバーの記載が必要となる手続きを行う際の流れについてですが、弊事務所で使用している社会保険労務士管理ソフトからマイナンバーを必要とする諸手続きを行う都度、そのクラウドサーバーに毎回IDとパスワード(私専用のID)を入力してアクセスし、諸手続きを行う時だけクラウドサーバーからマイナンバーを取得するといった流れになります。

当然ながら、クラウドサーバーとの通信はSSL通信(暗号化通信)を使用し、クラウドサーバーにアクセスする際にもシステム認証と個人認証の二つの認証を必要とするなど、高いセキュリティーが維持されています。

さらに、クラウドシステム上ではマイナンバーの利用履歴、マイナンバーの削除履歴といったマイナンバーの取扱状況が記録簿として残りますので、安全に管理・利用等が行われているかのチェックも随時行っていきます。

また、マイナンバーをお預かりすることになる人事・労務管理に関する諸手続きを受託している顧問先様には、クラウドサーバー内に顧問先様個別に専用ページ(事業所マイページ)を用意いたします。

これは、顧問先様と弊事務所が機密性の高いファイルをやり取りする際の送受信ツールとして、また、弊事務所から顧問先様に提供する文書やツールを閲覧・ダウンロードできるページとなる予定です。

各顧問先様別に事業所マイページを設定した後に、弊事務所からマイページにログインするためのIDとパスワードをお知らせいたしますので、専用URLからログインして頂き、弊事務所とのファイルのやり取り等(入社・退社等の連絡票などのやり取り)を、事業所マイページで完結するようにしていきたいと考えています。

このようにクラウドシステムを利用してマイナンバーの管理の安全性の向上、および、顧問先様との情報やファイルのやり取りの利便性向上を進めさせていきますので、よろしくお願い致します。

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posted by マサ at 17:33| 社労士日記

2015年10月30日

改正労働者派遣法の勘所

過去2度も廃案となっていた改正労働者派遣法が9月11日に可決・成立し、9月30日に施行されました。

派遣元会社、派遣先会社、派遣労働者の全てに影響のある改正となっていますが、そのなかでも一部の重要な改正部分を簡易にお伝えしようかと思います。

まずは、労働者派遣事業の許可制への一本化についてです。

施行前は、派遣労働希望者を派遣先が決定するごとに雇用し派遣する「許可制」の一般労働者派遣事業と自らが常用雇用している労働者を派遣する「届出制」の特定労働者派遣事業に分かれていましたが、施行後は全ての派遣事業が許可制に一本化されます。

ざっくりといえば、今回の改正により労働者派遣事業をスタートするためのハードル(許可を受けるための要件が増えた)があがっており、派遣労働者の雇用を安定するための様々な措置(派遣先への直接雇用の依頼といった雇用安定措置や教育訓練の実施等)を講ずる必要があります。

ここで気になるのが、今まで届出のみで派遣事業を営んでいた特定労働者派遣事業会社の取扱いについてですが、引き続き3年間は許可を得ることなく同様の事業を営むことが可能となっています。

ただし、あくまで法改正に伴う経過措置ですので、平成30年9月29日までに新たに定められた許可基準に則って許可を受ける必要があります。

次に最も影響がある労働者派遣の期間制限の見直しについてです。

施行前は、放送番組等演出の業務や広告デザインといった特定の業務(26業務)には、派遣労働者の受け入れ期間に制限が無く、それ以外の業務は、原則として1年(最長3年)といったように、業務によって派遣労働者の派遣受け入れ可能期間に違いがありました。

施行後に締結された労働者派遣契約に基づく派遣は、「派遣先事業所単位での制限」と「派遣労働者個人単位での制限」といった2つの考え方に統一され、業務による派遣可能期間の違いを廃止し、どちらも原則として3年が限度となります。

ただし、施行日時点ですでに締結されている派遣契約については、その契約が終了するまで改正前の期間制限の適用を受けることになります。

「派遣先事業所単位での制限」とは、経営的・場所的独立性のある事業所(支店・店舗・工場等)単位で原則3年の期間制限が適用され、施行日以降締結された労働者派遣契約に基づく派遣開始日が起算日となります。

このケースで注意したいのが、起算日以降に派遣労働者が別の人に変わったり、他の労働者派遣契約に基づく派遣受け入れをスタートさせた場合でも、事業所単位で最初に設定された起算日は変わらないという点です。

この3年という期間制限を延長したい場合は、派遣可能期間終了の1か月前までに派遣労働者を受け入れている会社(派遣先)において、労働者の過半数を代表する社員等に意見を聞き、派遣受け入れの是非について労使で話し合うといった対応が延長する都度必要となります。

この派遣期間延長の手続きは、従来も1年から最長3年に延長する際に課せられていたものですが、今回の法改正でより一層重要なプロセスとなったという印象です。

次に「派遣労働者個人単位での制限」とは、同一の派遣労働者を派遣先の事業所における同一の組織単位(課やグループなど)に対して派遣できる期間が原則3年となります。

たとえば派遣先会社の人事課に派遣労働者Aを派遣した場合、同一組織単位である人事課にAさんを派遣できるのは原則3年となりますので、引き続いてAさんを人事課に派遣する事はできませんが、事業所単位の派遣可能期間の延長手続きがなされていれば、同じAさんを同一組織単位ではない会計課に派遣することは可能となります。(なお、派遣可能期間の延長手続きがなされていれば人事課にAさんとは別のBさんを派遣することは可能です)

このように派遣労働者ごとに派遣可能期間を管理・確認していき、あわせて独立性のある事業所単位でも派遣可能期間を管理・確認をしていくことが重要になります。

これらの派遣可能期間に違反して派遣を受け入れるなどした場合には、派遣を受け入れている派遣先会社が、その派遣労働者に対して、派遣元会社と締結している労働条件と同一の条件で労働契約の申し込みをしたとみなされる制度(労働契約申込み見做し制度)が適用されますので、派遣労働者を受け入れている派遣先会社は、今まで以上に違法派遣状態にならないよう注意が必要になります。

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posted by マサ at 17:43| 社労士日記

2015年09月30日

多様な働き方と公平性

感情の生き物であるヒトの集合体である会社における人事・労務管理の世界では、公平性の確保が最も重要な要素です。

同じ事案でありながらAさんとBさんで取り扱いを変えるということでは、労使の信頼関係を維持する事もできず、社内の人間関係にも亀裂を生みだしてしまいます。

ところが感情の生き物であるヒトは、時に他人がどう感じるかといったことに考えを向けることをせずに、自らにとって最も都合の良い状態とならないことに不満を感じるケースがあるのが現実です。

家庭内などの小さなコミュニティーの中であれば多少のゴリ押しも通用しますが、感情の生き物であるヒトの集合体である会社の人事・労務管理の世界では通用しません。

これはサッカーという厳密なルールの下に競われる世界で、ゴールキーパーでもないのに「私だけ手を使ってプレーさせてほしい」といっているようなものです。

そのようなことでサッカーとしての競技が成り立たないのと同様に、会社の人事・労務管理の現場でも「マイルールが通用する」ということはありえません。

ところが、このような人事・労務管理上の問題は、会社の規模や業種に関係なく全ての会社で起こりうるものであるため、初めてこのようなケースに遭遇した時に「面倒だから認めてしまった」という状況を目にすることがあります。

これは、声高に不満をぶつければ「なんとかなる」と思わせてしまう行為であり、今後も同じようなことが繰り返される恐れのある由々しき問題です。

「なぜあの人だけ・・・」という新たな不満の声が周りからあがるのは時間の問題でしょう。

あちらを立てればこちらが立たずといった状況は、感情の生き物であるヒトを扱う人事・労務管理の世界では当たり前のように繰り広げられるものですから、常に全社員の公平性が担保できるのか否かといった視点で物事を判断していくしかありません。

そのため事案による判断となりますが、不満をぶつけてきている問題が全社員の公平性を担保できないのであれば、「全ての社員を同様のルールに則って取り扱わなければ、会社の人事・労務管理をするうえで公平性が保てない」といった当たり前のことを丁寧に説明しなければならない場面が少なからずでてくるわけです

私が社会保険労務士として様々な人事・労務管理の現場で見て・聞いて・説明し・説得するなかで、このようなケースの際には「公平性を確保するための判断だ」ということを何度も直接語りかけています。

渋々ながらも納得してくれる人もいれば、全く聞く耳を持たない人もいるわけですが、職場の公平性を確保できるような方向性に持っていくために根気よく話していくしかありません。

個々人が抱える個人的な事情が色々あることは重々理解できますが、会社の人事・労務管理上の話では、その個人の事情を一つ一つ汲みあげることはできません。

近年、多様な働き方を提言する声が多く聞かれますが、ここでいう多様な働き方が目指すところも「マイルールで仕事ができる」ということでは決してありません。

あくまで通常勤務をしている他社員と公平性が確保できることが前提でなければ、多様な働き方という曖昧なネーミングだけが独り歩きしてしまいます。

多様な働き方をする社員を通常勤務の他の社員が支えあうといったものではありませんから、多様な働き方を選択するうえでは「権利を主張するだけでは、周りの理解を得られない」ということを自らが認識する必要があります。

会社の人事・労務管理の現場は、100人いれば100通りの考え、ものの捉え方をする人がいるわけですから、個人的な主張をしたいときは一呼吸おいて俯瞰で周りを見てください。

個人的な主張だけをいってくるヒトがいたら、そのことを面倒だと感じずに公平性の観点から丁寧に説明をしてあげてください。

誰かの犠牲のもとに成り立つような多様な働き方であってはならないと思います。

だからこそ、感情の生き物であるヒトの集合体である会社における人事・労務管理の世界では、公平性の確保が最も重要な要素となるわけです。

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posted by マサ at 11:22| 社労士日記

2015年08月31日

人材採用戦略における口コミの影響

近年、積極的な人材採用戦略にのりだす会社も増えてきましたが、新規採用のために募集をかけてもエントリーが一切ない、もしくは、非常に少ないなどの悩みが出てくることがあります。

募集すれば次々にエントリーがあるといった時代は今や昔といった感じですが、そのような中でも良い人材を獲得するために各社知恵を絞りながら人材採用戦略を進めているのが現状です。

あのユニクロを展開するファーストリテイリングが転勤のない地域正社員1万人を対象に「週休3日制度」を導入すると発表し話題になっています。

ファーストリテイリングが発表した週休3日制度とは、週休2日制から単純に1日休日を増やすというものではなく、本人が希望すれば1週間の内4日間は1日8時間から10時間に労働時間を延ばす代わりに、休日として3日確保するといったことで、休日で減った労働時間を他の日に振り替えるといったイメージです。

「働き方の選択肢を増やすことで人材確保につなげたい」といった考え方から生まれているわけですが、私が社会保険労務士として様々な会社の内情を見ている中で「給料よりも休みが多く欲しい」という労働者側のニーズを感じているのも確かです。

厚生労働省発表の平成26年就労条件総合調査結果を見てみると、年次有給休暇の取得率が平均で48.8%となっており、直近5年のデータを見ても50%を超えたことがありません。

年次有給休暇を取得しにくい職場環境がある、年次有給休暇を取得できる環境にあるが忙しくて休めないといった現場の声がある一方、退職時に残っている年次有給休暇を全て取得して辞めるということも近年では珍しいことではないため、年次有給休暇の残日数も労務管理上無視できない状況となっています。

そのような人事・労務環境の中では「休みやすさ」「長時間労働が少ない」といったキーワードは人材採用戦略において重要な位置にあるといえます。

近年の傾向としては、エントリーしたいと考えている会社が「働きやすい会社なのかどうか、給与水準はどの程度なのか」といったことを求職者が事前に調べているケースが大多数です。

インターネットがこれだけ発達した世界では、会社の人事・労務管理情報が簡単に収集されインターネット上の「口コミサイト」で検索できる時代となっています。

あるサイトでは、会社の給与水準や残業の有無、休日数、年次有給休暇の取りやすさといった人事・労務管理情報だけではなく、社内の雰囲気、経営者がどのような人なのかといった情報までが「口コミ」という形で掲載されています。

内容を見る限り、過去に勤めていた退職者が口コミを投稿したものだと憶測できるわけですが、プラスの口コミ内容ならまだしもマイナスの口コミ情報であれば、当然採用戦略においてプラスに働くことはありません。

新規採用のために募集をかけているのに「なぜかエントリーがない」といった状況にある場合、求職者を対象とした会社情報口コミサイトに「悪評」が書き込まれていて、その情報が多くの人の目に触れている可能性もあります。

どのような情報であれ、会社の秘密情報がインターネット上に掲載されてよいわけではありませんので、当然就業規則に「在職中のみならず退職後も会社の秘密情報を第三者に漏洩してはならない」などと規定し、入社時に「会社の秘密事項を漏洩させないこと」と記載された誓約書に押印を求めるといった対策を講じています。

しかし会社の口コミサイトには、様々な会社情報が掲載されているのが実態であり、会社情報口コミサイトに会社の情報が投稿されることを完全に止めることは難しいのが現状です。

感情の生き物である「ヒト」が織りなす人事・労務管理の世界では、物事一つとっても100人いれば100通りの感じ方、受け取り方をするものですから、口コミサイトに書き込まれた内容も一つの受け取り方にすぎません。

ところがサイトを見た求職者は、その情報も「会社を選ぶうえでの重要な情報」と捉え「参考」にしていることは間違いありません。

インターネット・SNSといった情報社会を迎えた今、会社の人事・労務管理の実態はガラス張り状態だといっても言い過ぎではないでしょう。

だからこそ人事・労務管理の分野に気を配ることは、会社の人材採用戦略において重要であり、会社の成長戦略にも影響を及ぼす重要な分野であることを認識していくことが必要だといえます。

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posted by マサ at 13:12| 社労士日記

2015年07月31日

職場における居心地の良さの重要性

何故その会社に勤め続けるのか、何故その会社を辞めようと思ったのか、感情の生き物であるヒトが判断する事ですから100人いれば100通りの理由があります。

給料が安いから、休みが取れないから、残業が多いから等、その会社を辞めようと考える理由は様々ですが、私が様々な会社を見ている中で一般的に見て給与水準が高いと思う会社であっても、退職を希望する社員は当然出てきます。

逆に残業が多い労働環境でありながら、退職希望者がほとんど出ない会社などもあり「退職者を出さないために、どのような労務管理が適切なのか」という問いの答えは、簡単に答えを導き出せるようなものではありません。

給与を多く与えれば退職者が出ないという事もありませんし、有給休暇を取得しやすいなどの労務環境を改善すれば退職者が出ないという事でもありません。

私が様々な会社の人事・労務環境を見てきた中で、比較的退職者が出にくい会社の特徴を探ってみると、非常にあいまいな表現ながら一つの可能性が見えてきています。

その可能性とは「会社の居心地の良さ」です。

その居心地の良さとは、給与水準が高い、福利厚生が充実している、休日が多いといった物理的な要因ではなく、同僚や上司などの人間関係の居心地の良さを意味します。

私は社会に出てから勤めた会社は1社のみで、その会社に13年勤めた後に社会保険労務士事務所を開業しました。

会社員として勤めている中で、当然ながら色々な不満もあったわけですが、その会社に勤め続けた理由を考えてみれば人間関係の居心地の良さであったと思います。

当然、感情の生き物であるヒトである以上、どのような状況を居心地が良いと感じるかも多種多様と言えますが、会社における居心地の良さを感じる要因の多くは、職場における人間関係に起因すると言っても間違いはないでしょう。

逆にいえば社内の人間関係の悪化は、人事・労務管理を進めていく中で大きな弊害に繋がっていくことも事実です。

パワーハラスメントやセクシャルハラスメントが人事・労務管理上無視できないというのも、職場における人間関係の悪化につながる大きな要因になりうるためといえます。

そのため居心地の良い人事・労務環境を構築するためには、部下を持つ管理職や後輩を持つ先輩社員などに対して「職場において人間関係を良好に保つ事の重要性を理解し、人間関係に気を配ること」を研修などで伝え、合わせて部下や後輩にも同様に職場における人間関係を良好に保つために自らも努力する必要があることを伝えていく必要があります。

私が講師を務める新入社員を対象とした研修では、必ず「上司や先輩に可愛がられるような新人を目指してほしい」という話をしています。

人間関係を良好に保つための努力は、仕事を覚える努力と同様に会社に勤めていくうえで重要な要素だと考えているからです。

経験の浅い社員(メンティー)に対して、経験豊富な先輩社員などがメンターとなって、仕事だけではなく、個人的な悩みの相談などができる相手を組織的に作るメンター制度の構築をしていくのも、居心地の良い職場環境を作っていくうえで有効ではないでしょうか。

退職者を減らしていくことに重要な「居心地の良さ」は、自然発生的に作られていくものではありませんので、社内での研修やコミュニケーションが活発化するような制度・社風を作り、継続的に「居心地の良い会社」を目指していきたいところです。

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posted by マサ at 19:01| 社労士日記

2015年06月30日

スマート社員制度から見えてくるもの

りそなホールディングスが、原則として残業をしない正社員制度として「スマート社員制度」を創設すると発表しました。

一般の正社員と比べて賞与が7割程度となるものの、基本給などの賃金水準や業務内容、昇進については、スマート社員制度を適用しても区別を設けないとのことです。

小さな子供を育てながら働く社員や介護の必要な家族を持ちながら働く社員には、時間外労働(残業)が原則ない(会社が残業を命じない)という働き方で正社員としての身分と賃金に大きな差が生まれないという制度は魅力的だと思います。

しかし見方によっては「残業することが当たり前」ということが前提の考え方から生まれた制度とも言えるため、日本の労働環境ならではの考え方でもあり、この考え方を覆すことの難しさも同時に表面化したとも見て取れます。

一部では、残業をすることが当たり前の中で生み出されたスマート制度に批判的な論調も出ていますが、私が様々な企業の労働環境に関与する中で「残業を減らす・残業を無くす」ということを「言うだけなら簡単」であり、実態として結果を出す難しさを重々理解しています。

そのような中であっても、関与している会社ごとに違う残業時間を減らすための方法に知恵を絞り続けることが重要であり、「この業界なら当たり前、我が社では当たり前」といったことで諦めるのでなく、「もがき」続けていくことは必要です。

スマート社員制度も、そのような「もがき」の中から生まれてきた制度のような気がしています。

やはり大事なのは「諦めずに知恵を絞り続けていくこと」であり、長時間労働を減らすために何をすべきなのか、何ができるのかを考えて、諦めずに提案し続けていきたいと思います。

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2015年05月29日

男性と女性の関係性と人事・労務管理

弊事務所が社会保険労務士としてお客様に提供するサービスは、会社が行う人事・労務管理に関する諸手続きをお預かりし、適正に管理・業務遂行する事により会社と社員が受けるべき権利を守ることが重要であるわけですが、それに加えて感情の生き物である「ヒト」に関する様々な相談に日々対応しています。

その「ヒト」に関する諸問題に対応していると、つくづく会社と社員の関係性が、男性と女性の関係性に似ていると感じます。

男性と女性の関係性では、お互いが好意を寄せて恋人同士となる、夫婦となるということになるわけですが、あれだけ仲の良かった恋人同士や夫婦が別れたり離婚するとなった時の状態は、幸せだったときが夢だったのかと思うぐらい関係が冷え切ってしまうものです。

人事・労務管理における会社と社員の関係性も同様に、会社に入りたいと思ってエントリーし、会社もその人材が欲しいから雇用契約を結ぶわけですから、つきあいたての恋人や新婚夫婦のように相思相愛の関係だといえます。

ところが「つきあってみたら思っていたような相手ではなかった」「結婚したら人生を一緒に歩めるような人ではなかった」というようなことと同様に、お互いが一緒になって初めて見えてくる「ミスマッチ」が要因になって関係性が冷え込み、労使間のトラブルや退職勧奨や解雇といった会社側からの労働契約の解約、自己都合退職といった社員側からの雇用契約の解約などが起こってきます。

これは、恋人だった一方から別れを告げられる、夫婦だった一方から離婚を迫られるといった、男性と女性の関係性と似たような状況です。

一度冷え切ってしまった関係を修復することが難しいのは、冷え切った恋人、冷え切った夫婦関係を想像してみれば容易に想像できるわけですが、だからこそ労使が冷え切った関係にならないように人事・労務管理の現場でも、日ごろからの慎重な管理・運用が求められてきます。

しかし感情の生き物である「ヒト」は多種多様ですから、冷え切った関係となることを完全に排除することが出来ないため、避けようと努力をしてきたとしてもトラブルへと発展してしまうことが当然あります。

しかしトラブルとなった事案を紐解いていってみると、トラブルになるまでの過程に「いくつかの小さな火種」があることが見て取れます。

つまり、その小さな火種が積み重なることで「取り返しのつかない大きな火種」になってしまい、その大きな火種に発火させるきっかけ(トリガー)があった途端に発火し大火事へと発展してしまいます。

そのため、大きな火種になってしまってからでは、対策を講じようとしても話し合いをもとうとしても既に時遅く、トリガーが引かれた後の大火事の火消しも難しくなります。

逆に小さな火種の時に、対策を講じる、話し合うといったことをしておいた場合はどうなるでしょうか。

些細な夫婦喧嘩を放置してきた結果、気が付いた時には既に離婚へと発展してしまったことを想像すれば「その些細な喧嘩」(小さな火種)の時にちゃんとケンカの原因となったことに対策を講じるなり、両者が納得するまで話し合いをするなどをしておけば、離婚という最悪のシナリオは避けられたのではないでしょうか。

人事・労務管理の現場でも同様です。些細なトラブル、小さな問題、小さな不満、これらの事案を「大した問題ではない」と勝手に決めつけ放置しないことが重要なのです。

大きな火種となって発火し、大火事になってから火消しするのは容易ではありませんから、日々の人事・労務管理の現場で小さな火種を見逃さず、早め早めの対策をとっていきたいところです。

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posted by マサ at 10:43| 社労士日記

2015年04月30日

ストレスチェック制度における検討点

近年、仕事や職業生活に強い不安や悩み、ストレスを感じている人が増えてきていると言われており、そのストレスが原因で精神障害を発症し労災認定されるケースも年々増加傾向にあります。

こうした背景を踏まえて平成26年6月に公布された「労働安全衛生法の一部を改正する法律」において、心理的な負担の程度を把握するための検査(いわゆる「ストレスチェック」)とその結果に基づく面接指導の実施を会社に義務付けることを内容としたストレスチェック制度が新たに創設されました。

このストレスチェックの実施は、本年12月から常時使用する労働者が50人以上の会社において義務化(50人未満は当面努力義務)される制度ですが、簡単にいえば以下のようなものです。

1 医師等が社員のストレスの状態を質問票でチェック
2 そのストレスチェックの結果、高ストレス者の可能性のある社員を選定
3 高ストレス者と選定された社員の申出により医師による面接指導を実施
(面接指導とは、その社員の勤務状況や心理的負担状況等を医師が社員と面談により確認し、休業が必要などの意見を医師が会社に伝えるもの)
4 面接指導の結果を受け、高ストレス者に対し会社が適切な措置を実施

 上記のような流れを定期的に行うことで、高いストレスを感じながら働いている社員を早期に発見し、メンタルヘルス不調を未然に防止する事を目的としています。

ストレスチェック制度の流れ.gif

【出典元:厚生労働省発表資料 職場におけるメンタルヘルス対策の推進について(平成26年10月3日)】

このストレスチェックを行う際の調査票として、現状「職業性ストレス簡易調査票」とよばれる57項目の質問が列挙されている票が示されており、ストレスチェックを実施すること自体はそれほど難しくありませんが、ストレスチェックの実施、結果に基づく結果の集計・分析を行ったうえで職場環境の改善にどのように繋げていくのかは、実務上多くの課題がありそうです。

たとえば、社員がストレスチェックを受ける義務が設けられていないので、ストレスチェックを受けること自体を拒否する社員も出てくる可能性もあります。

さらに、ストレスチェックの結果は社員に直接通知されるため、会社がその結果を知るためには、会社に結果を通知する事に社員個人が同意している必要があるため、ストレスチェックを受けた社員全員の結果を会社が把握できない可能性があります。

中には、ストレスチェックの結果により医師等が高ストレス者と評価し面接指導を行うよう社員に勧奨したが、会社に高ストレスを感じている状況であることを知られたくないとの思いから、面接指導を受けたいとの申出を会社に言わないことも想定されます。

今回のストレスチェック制度では、面接指導の申出を行ったことによる解雇・降給等の不利益な取り扱いを禁止していますが「今後の人事評価や昇進に影響が出るのでは・・・」と心配するあまり、高ストレス者でありながら、そのことを会社に伝えないケースが十分あり得るためです。

今後ストレスチェック制度が義務となっていく以上、会社としては制度を有効に活用したいところですので、上記のような課題をどのようにクリアしていくかについて検討が必要になってきます。

なお、毎年行われている定期健康診断の結果も常時50人以上の社員を使用する会社には、定期健康診断結果報告書を労働基準監督署への届出が必要ですが、今回のストレスチェック制度でも、ストレスチェックを実施した旨の報告を労働基準監督署へ報告する仕組みができる予定です。

ストレスチェックを実施する時期は、定期健康診断実施時とあわせて行うことが想定されますので、会社の定期健康診断の実施状況等を確認し、ストレスチェックの実施に向けて準備や検討を進めていきたいところです。

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posted by マサ at 17:05| 社労士日記

2015年03月31日

未払い残業代のツケを支払う者

国会議員が、かつての秘書から700万円にも上る未払い残業代請求を受け「払わない」と発言し大きな物議を醸しだしていますが、過度な長時間労働に対するリスクや未払い残業代請求に関するリスクは、今後も広がり続けていくことは間違いありません。

労働時間管理・賃金管理を適正に行わないことで、多額な簿外債務(未払い残業代などは、帳簿に記載されていない債務という考え方)を長年にわたり放置していくことは、大きなリスクへとつながっていきます。

労働時間管理制度の構築や賃金管理制度の変更により、ある程度の残業時間や残業代をコントロールすることはできますが、実際に発生した残業を無くすことができるわけではありません。

そのため自社にあった労働時間管理と賃金管理制度の構築を進めていくと同時に、残業が常態的に行われるような人事・労務管理環境を変えていくことが必要になります。

それには「意識の改革」が最も重要だと考えています。

たとえばノー残業デーを設定し適正に運用することや「長時間労働=高評価」といった誤った人事評価制度の改革などの「物理的な改革」を行うことも重要ですが、人事・労務管理は感情の生き物であるヒトが行うことですので「長時間労働(残業)は良いこと」とする意識を変えていく改革が避けて通れません。

ある調査では「労働時間が伸びている(残業が増えている)社員の役職昇進率が上がる」というデータがでています。

優秀な社員に仕事が集中した結果として、その優秀な社員の残業が増えているというケースもありますが、大多数のケースで「長時間会社に残って仕事をしている=頑張っている」という感覚を捨てきれない人がまだまだ多くいることの表れです。

内閣府が発表しているワーク・ライフ・バランスに関する意識調査において「残業している人に対してどのようなイメージを持っていますか」という設問では、1日の労働時間が10時間未満の社員に対して「頑張っている人」と回答した割合が38%であるのに対し、12時間以上の社員に対しては53%が頑張っている人と回答していて、労働時間が長くなるほど割合が高くなっています。

さらに同じ設問で「責任感が強い」と回答した割合をみると、1日の労働時間が10時間未満の社員に対しては30%ですが、12時間以上の社員に対して責任感が強いと回答した割合は39%となっており、こちらも労働時間が長くなるほど責任感が強いと感じている人が多いことがデータでも明らかにされています。

このような意識のままでは、残業を減らし質の高い仕事で利益を生み出すという感覚が生み出されることは難しいでしょう。

慢性的な長時間労働は、会社にとっても大きなリスクを負っていきます。過度な長時間労働が続いたことにより脳や心臓疾患・精神疾患などの症状が出た場合において、その症状が労働災害と認定されれば、会社が安全配慮義務違反による損害賠償請求をされるリスクも高まります。

さらに退職後に未払い残業代の請求を行った元社員に対して残業代を支払うこととなった場合に、そのツケを払うのは「会社と会社に残っている社員達」であることを忘れてはなりません。

会社が次々とお金が溢れてくる打ち出の小槌を持っているわけではありませんから、退職した元社員に支払う過去の未払い残業代の出所は、ボーナスや昇給のために予算化していた人件費の中から工面せざるを得ないというケースも当然想定されるからです。

部下の労働時間をコントロールできないことは、長時間労働をする社員を高く評価していた上司自らのボーナスなどの額にも影響を与える可能性のある話なのだと理解すべきです。

そのためには「短時間で質の高い仕事をすることを評価する」「部下の残業時間を減らす取り組みを行った上司を評価する」といった人事評価制度の改革や「担当がいなくても他の社員が仕事を代替できる体制つくり」といった物理的な改革を進めるのと同時に、労働時間が長くなればなるほど「頑張っている・責任感が強い」といった労働した時間だけを見て評価するような誤ったイメージを変える「意識の改革」が避けて通れません。

残業をすることが当たり前となっている人事・労務管理環境を変えて、仕事をする時間の長さではなく仕事の質を高めるための労働時間管理の方向性は、リスクを減らすだけではなく中長期的に会社に大きな利益をもたらします。そのために経営トップの号令の基、労働時間管理に対する「物理的な改革」と「意識の改革」を進めていくべきだといえます。

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