2016年12月28日

副業・兼業容認の捉え方

いよいよ今年も残りわずかとなってきましたが、毎年「もう1年たってしまったのか・・・」と時の流れの速さに驚くのが恒例行事のようになってきています。

新鮮な経験が多いほど時間のたつ速度が遅く感じるという考え方があるそうで、子供の時ほど時の流れが遅く感じられるのは新鮮な経験を多くしているからだとか。

その理論で言えば、時の流れが速いと感じるのは新鮮な経験をしていないということになるのですが、社会保険労務士の担う人事・労務管理の世界は「感情の生き物であるヒトを扱うため、良くも悪くも新鮮な経験」が多くあるので時の流れを遅く感じてもよいものですが・・・。

年齢によって時間の速度をどのように感じるかが違ってきたとしても、実際に存在する時間は同じですから、その時間をどのように使うかは人それぞれ違う時代へと突入していきそうです。

最近、正社員の副業や兼業を容認していく動きが大手企業を中心に広がってきており、政府も「働き方改革」として後押しする方針のようです。

現状では原則として副業を禁止する企業が大多数ですが、その理由として本業に支障をきたす可能性、長時間労働による健康問題、社会保険料の取扱い、労働時間通算の取り扱いなど、副業や兼業をすることで人事・労務管理上様々な問題が出てきてしまうためです。

政府方針では、上記のような様々な問題に対して指針を示すことにしているようですので、どのような方針が示されるのか注目したいところですが、運用上簡単に解決できる問題ではないことも確かです。

そもそも副業というと、本業が終わった後にアルバイトをする・ネットビジネスで稼ぐという「本業以外でお金を稼ぐためのもの」というイメージが一般的です。

しかし今回いわれている副業・兼業とは「本業では得られない経験や人材交流を通してスキルアップを図り、価値ある人材になるための行為」といえるのですが、そのような捉え方をして実践できる人はごく一部ではないでしょうか。

副業を禁止している会社に勤めているため、副業とならないようにお金を貰わずにプロジェクトに参加している人が現状もいるわけですので、そのような人にとって副業が容認されたからといってスキルアップを図るための行為という考え方や捉え方が変わることはないでしょう。

要するに副業や兼業を容認していく流れが加速していくとしても、捉え方ひとつでまったく違う行為になってしまうことは間違いなさそうです。

副業・兼業の容認に向けて政府の動きに対する報道への反応を見ても、歓迎する反応がある一方で長時間労働を抑制していくという方向性に相反するという否定的な意見も多く聞かれています。

この反応の違いも「副業・兼業という行為の捉え方の違い」から生まれてきているのではないでしょうか。

いずれにせよ副業解禁という言葉だけが独り歩きする事によって、間違った方向性に進まないことを期待したいところです。

本年は本日最終営業日とさせていただき、来年は5日から通常営業とさせていただきます。
(12月29日から1月4日を年末年始休業日)

皆様、良いお年をお過ごしください。来年も引き続きよろしくお願い致します。

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posted by マサ at 20:10| 社労士日記

2016年11月30日

辞め方から見えること

社会保険労務士という仕事をしていると入社・退社という職業人生における分岐点に関与する事が多くあるわけですが、その中でも会社を辞める退職の場面が最も重要な分岐点といえます。

会社を辞めようとする理由は、給与面への不満や労働環境の不満、人間関係が上手くいかないなど様々ですが、どのようなケースであれ「辞め方」には注意が必要です。

最近の傾向として、この「辞め方」に気を付けない人が多く見受けられます。

どのような会社であれ、自分にとって完璧な環境というものは存在しないわけですから、何かしらかの不満や不安があるのは当然です。

しかし、辞める意思を会社に伝える方法として、いきなり欠勤し連絡がつかない、相談も無くいきなり退職届を郵送してくる、退職するにあたって周りの同僚に「早く辞めたほうが良いよ」などと風潮して回るなどは、賢い辞め方だとはいえません。

会社としても、このような辞め方をする人を引き留める理由は無いわけですが、採用や教育には様々なコストがかかっているので、無視できる問題でもありません。

実際問題として「辞め方の教育」などといったことは現実的ではないので、そのようなタイプの人を採用しないことに努力したほうが現実的でしょう。

このような辞め方をする人の特徴としては、入社してすぐに辞めてしまう人に多くみられるため、短い期間に転職を繰り返しているようだと注意が必要になります。

さらに、採用面接の場で前職をどのように辞めたのかを聞いてみるのも一つの手です。

採用面接においては「前職の退職理由」を聞くことが多いですが「どのように前職を辞めたのか」を聞くことは、それほど多くありません。

正直なところ前職を退職した理由は「どのようにでも言えてしまう」部分であり、たとえ人間関係がうまくいかなかった、給与面で不満があったといった理由であったとしても、正直に答える人は少ないものです。

一方、退職の仕方がどうであったかの質問をした場合を想像してみてください。

「退職届を出して・・・」という当たり前の答えが返ってくるかと思いますが、その時に「退職届(願)はいつごろ提出しましたか?」「退職の意思を決めたときに誰かに相談しましたか?」「退職届を出してから、業務の引継ぎ、関与先への挨拶などはどのようにしましたか?」「退職までの期間を会社でどのように過ごしましたか?」といった質問をすると退職の仕方「いわゆる辞め方」の本当の姿が見えてくると思います。

正直なところ、会社を退職すること自体は別に悪いことではないので、退職する際の辞め方こそ、その人の本当の姿が見えてくるのではないでしょうか。

このような事を質問することの意味を簡単に言ってしまえば、前職を円満に退職しているかを確認するということです。

往々にして、会社と喧嘩別れして辞めるような人は、おのずと同じことを繰り返してしまう傾向にあるからです。

それともう一つ、会社を退職するにあたっては、円満退職してもらいたい理由があります。

中小企業においては、一度退職した人が出戻る(退職した会社に再度入社する)ことが珍しくありません。

隣の芝が青く見えることもあるでしょうから、退職後に他の会社に勤めた結果「実は退職した会社が自分にあっていた会社だった」ということも稀にあるわけですから、円満に退職していれば出戻ることができる可能性も残るわけです。

どのような場合にせよ、喧嘩別れして良いことは有りませんから、退職を決意した際には立つ鳥跡を濁さずの精神で臨んで頂きたいところです。

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posted by マサ at 16:44| 社労士日記

2016年10月31日

本音と建前、理想と現実

皆さんが小さい頃に抱いていた「なりたい職業」って何だったでしょうか。

調査機関によってランキングに違いがありますが、小学生男子ではスポーツ選手や公務員、医者あたりが人気で、女子では看護師やお店関係(パン屋・お花屋など)、タレント(アイドル)あたりが上位に来ているようです。

中にはユーチューバ―が上位に来ているランキングもあるようで、ネットが生活の一部として当たり前のようにある時代に生まれた子供たちならではです。

ちなみに私が小さい頃になりたかった職業は皇宮護衛官でした。

皇宮警護官とは、皇居や皇族の警護を担う特別司法警察職員ですので公務員です。

社会保険労務士になる前は、某TV局で映像編集者として働いていましたから、皇宮護衛官どころか公務員にもなったことが無いわけですが、いつから「なりたい職業」としてあこがれていた職業から遠ざかってしまったのか記憶にありません。

私だけではなく、小さい頃に抱いていた「なりたい職業」通りに「その職業」についている人は少ないのではないでしょうか。

では何故「いまやっている仕事」をしようとしたのか。

この問いには「本音と建前」の大きな垣根があるだけでなく「思い抱いていたイメージと働いた後に感じる現実」との垣根も大きなものです

私は仕事柄、新人社員研修講師の仕事で20代の若者と話をする機会が多くあります。

彼ら彼女らに「なぜこの仕事を選んだのか」という問いを投げかけても、回答としてかえってくるのは「建前」の回答が大多数です。

私がもし子供の気持ちのまま皇宮護衛官になっていたら「皇宮護衛官の制服がかっこいい!馬に乗って警護だなんて憧れる!」と言っていたでしょうけど、現実は「建前」の回答をしてしまうのでしょう。

小学生のころに抱いていた「なりたい職業」の本音を、たった10年程度経過しただけで「建前」でしか答えられなくなることが自分も含めて残念です。

ただ誤解を与えたくないのですが「建前」であったとしても、その仕事を選んだきっかけや理由は必ずあるはずですので、そのきっかけや理由は大事にしてもらいたいと思っています。

長い人生の中で仕事が占めるウエイトは高いわけですので、仕事をし続けるためのモチベーションを維持していくためには「建前上の理由」は必要になるからです。

しかし最終的には「本音」の部分を満たしていくことを無意識に目指していくことになるわけですが、その「本音」とは、小さい頃に抱いていた「なりたい職業」を選んだ時の「子供ながらの本音」とは違う別の「大人の本音」に変わっているはずです。

しかし、その本音を満たすためにどうするべきかを考えながら行動できる人は限られていると思います。

この「大人の本音」が「あくまで理想」であったりするケースもあるので、行動するまでに至らない原因になっているのかもしれません。

自分も含めて言えることですが、情報社会の今、夢や理想を追っていくことに消極的になっているように感じます。

「どうせ無理」「頑張ってもたかが知れている」といった潜在的な感情が蔓延し、夢や理想を追うこと自体が「かっこ悪い」といった風潮すらもあります。

だからこそ「夢を持って働け」とか「理想実現のために頑張れ」と言ったところで心に響く人は少ないでしょう。

今求められているのは「現実的な利益・目に見える効果」であり、それを満たすことのできる企業にヒトが残る傾向にあります。

本音と建前、理想と現実、様々な感情が織り交ざる人事・労務管理の世界は、今後ますます難しい舵取りが必要になってくる時代へと突き進んでいくと思います。

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posted by マサ at 15:36| 社労士日記

2016年09月30日

コミュニケーション向上のための席替え

皆さんも小学生や中学生の時に、クラス替えや席替えにドキドキした記憶があるのではないでしょうか。

新しい環境に馴染めるのか不安に感じていることでドキドキする事もあるでしょうし、気になるあの子と仲良くなれるかもしれないといった青春のドキドキであったかもしれません。

まだ子供であった当時は、それほど意識したことはありませんが、クラス替えや席替えによって新しいコミュニケーションが生まれ、いままで知っている程度の関係だったヒトと急激に仲良くなり、学校以外でも一緒に遊ぶなどの効果があったことを思い出します。

ところが社会に出て働き始めると、毎日仕事をする席が決まっている職場が一般的であり、コミュニケーションの向上を目的とした席替えのようなことを行う企業は多くありません。

同じセクションのメンバーが一か所に集まって仕事をする事のメリットも当然あるのですが、社員数が増えていくにつれて、部・課・係・グループといった仕事をする上でのまとまりをつくることになるため、結果として「まとまり」単位でのコミュニケーションに限定されがちです。

さらに24時間フル稼働で動く業種では、社員ごとに休日もバラバラ、勤務シフトによって昼間働く日もあれば夜働く日もあるなど、各社員がバラバラに仕事をすることになり、シフトの裏の勤務となっている同僚と話したこともないといった事態もおきます。

コミュニケーションの活性化のために、最近では社内イントラネット等を利用した社員同士の情報交換やコミュニケーションを活発化させる方法が広がっていますが、IT技術を利用した情報交換やコミュニケーション向上に限界を感じる人も多いのではないでしょうか。

一昔前では、仕事終わりに上司や同僚と飲みに行く・食事に行くといったことでコミュニケーションをとることが多かったわけですが、今の時代「仕事が終わった後まで職場の人と一緒に居たくない」といった感覚を持つ人が増えてきているので「業務時間内にコミュニケーションがとれる仕組み」の構築が避けて通れなくなってきています。

そのような中、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションの強みは今だに輝きを失っていませんので、IT企業などでは「仕事をする席が決まっていない」フリーアドレス制の職場作りなども進められてきています。

フリーアドレスオフィスとは、もともと外出する事の多い営業部門などで、不在者の席を在席者が使うことでオフィススペースの利用効率を高めたり、オフィスコストの削減を目的に導入されてきたスタイルです。

毎日仕事をする机が決まっていないので、その日行う業務に関係のある人同士で近くに座って仕事をするなど、部署の関係を超えてスピード感のある仕事が出来る、新たなコミュニケーションが生まれるなどのメリットがあります。

しかしフリーアドレスオフィスを導入してみたところ、コミュニケーションの活性化に効果があったが、自分の席を自由に決めることにストレスを感じる社員がでてきたり、管理職が部下たちの行動(勤怠)を把握できないなどの問題も出てきており、デメリットの部分も無視できません。

私もそうですが、日本人は「居場所」を強く求める傾向にありますので、フリーアドレスオフィスのように居場所が自由という環境に馴染みにくいところがあるといえます。

その点で考えてみれば、居場所を確保しながらコミュニケーションの活性化を進めるうえで職場における「席替え」は有効だと考えています。

自分の席が決まっているという点で居場所を確保し、一定間隔で自分の側で仕事する同僚が席替えによって変わることで、普段コミュニケーションをとっていなかった同僚とのコミュニケーションの機会が増えることが期待できます。

管理職の位置は変えずに一般社員のみ席替えをする方法や管理職も含めて席替えをする方法、席替えをする間隔など、色々な席替えを試してみると面白い効果が生まれそうです。

近年、社内コミュニケーションを向上させるためのツールが沢山リリースされていますが、難しく考えずに子供のころから慣れ浸しんだ「席替え」にコミュニケーション向上のためのヒントがあるかもしれません。

朝出社した時に朝礼で「今日は席替えの日です!」って号令が出ると、なんだかドキドキしちゃうと思いませんか?

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2016年08月31日

サバティカル休暇にみる長期休暇の可能性

皆さんは、今年の夏休みをどのように過ごされたでしょうか。

私は、今月初めに平日2日と土日2日の4日間を夏休みとして、沖縄で家族と一緒に過ごしてきました。

私の仕事内容や個人事業主という立場上から考えれば1週間まるまる休むことは難しい現状ですが、もう少し長くバカンスを楽しみたいと思う気持ちもあります。

ある調査結果では、日本企業の夏休みの日数を平均でみると「8日」程度あるようですが、約40%が4日から7日という結果がでており、夏休みが無いと回答した割合も約10%程度あるようです。(別の調査では平均4日というデータも)

日本の場合、世界レベルで見ても祝日が多いので、年間の休みの日数という面で見れば圧倒的に少ないとは思いませんが、長期間まとめて休みを取るという感覚には程遠い現状だといえます。

この手の話では、夏休みが1か月程度あるヨーロッパ諸国の夏休みと比較されて「日本人は働きすぎだ!」といった論調も見受けられるのですが、長期休暇を法律で義務付けられている国もあり、文化や働き方も違うため、単純に比較できるものではありません。

しかし、1か月程度のバカンスを取ることが「普通(当たり前)」といったフランスやイタリア、ドイツといったヨーロッパ諸国の長期バカンスを羨ましいと感じる人も多いのではないでしょうか。

「そんなに長い休みがあっても、やることないし、お金かかるから嫌だ」という意見もありそうですが、長期間の休みが取れるのであれば、普段であればやらないようなことに挑戦(新しい趣味を始めることや新しい勉強をするなど)してみるなどの効果が期待できます。

そのため、日本の企業でも近年、一定の勤続年数に達した社員を対象としたリフレッシュ休暇を導入する動きが加速している感がありますが、1週間程度の休みをとることができるリフレッシュ休暇では、まだまだ長期休暇というには程遠いいといった感覚ではないでしょうか。

そのような日本の休暇事情ですが、日本の国立大学や私立大学の教員には、サバティカル研修という耳慣れない制度があります。

大学教員に適用されているサバティカル研修とは、専門分野の知識や能力の向上を図るために、大学における業務を一定期間免除(1か月から1年間程度)されて、自主研究に専念したり、外国の大学に研究留学するための制度といったものですので、休暇といった意味合いは薄いのですが、本来、この「サバティカル」の語源は、6日間働いた後、7日間は安息日とする旧約聖書のラテン語「sabbaticus(安息日)」に由来します。

そのため長期休暇が一般的なヨーロッパ諸国では「サバティカル休暇」として、一定の勤続年数のある社員のキャリアアップや休息のため、利用目的を限定しない長期休暇として導入する企業が増えており、1年間にもおよぶ長期休暇取得といったケースもあるようです。

1年間自由に使える時間があれば、海外留学、趣味に没頭、人脈を広げる活動、見聞を広げる世界旅行など、自身のキャリアアップや、充電期間として十分その意味を持つでしょう。

ただし現状の日本の労働環境からいうと、長期の休暇を取ることに対する後ろめたさや、休暇を取ったことによる評価の低下などを恐れる風潮もあり、意識的なハードルは高そうです。

事実、最長3か月間のサバティカル制度を導入しているヤフー株式会社では「制度を使うには勇気がいる」といった声も出ているようで、会社として長期休暇の仕組みを作ったとしても、制度を気兼ねなく利用するための意識改革も同時に必要になってくることは間違いありません。

しかし長期休暇を取るためには、自らの仕事を適正に管理して、他社員と仕事を調整し、取引先等との調整が適正に行えなければ長期間にわたって職場を離れることは難しいので、長期休暇を取ることが、結果として社員のスキルアップにつながるという成果も期待できます。

ある企業では、上司がサバティカル休暇を利用した際に、その上司の仕事を一時的に預かり遂行した部下が、上司の仕事を経験して大きくスキルアップしたとの報告もあり、休暇を取った本人だけではなく、他の社員にも有効な効果が表れるケースもあるようです。

これらの効果は、数か月にわたって職場を離れる休暇ならではの結果とも言えそうです。

「1か月以上の長期休暇なんて制度を作るのは無理」と切り捨ててしまうのは簡単ですが、一定の期間継続勤務している社員に対して、さらなるキャリアアップや充電期間を設けることで、会社の生産性向上に効果をもたらす可能性を秘めていると言えます。

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posted by マサ at 15:00| 社労士日記

2016年07月29日

ヒトは「欲」を持つ生き物です。

「欲」の程度の差はあれ、まったく欲が無いというヒトはいません。

心理学の世界でよくいわれるマズローの欲求5段階説では、食事などの生理的欲求(1段階)から始まり、安全な暮らしを求める安全の欲求(2段階)、集団に属する事への社会的欲求(3段階)、他者から評価されたいという承認の欲求(4段階)、最後に自己の能力を最大限に発揮するといった自己実現の欲求(5段階)がピラミッドのように積み重なっていて、下層の欲求が満たされることで、より上層の欲求に重きを置くようになるという説です。

マズローの欲求5段階説の考え方とは少々違うのですが、自らに5段階説を置き換えてみてみると、下層から順序良く欲求が増えていくといった感覚ではなく、全ての階層の欲求が一定割合ずつあり、その時の状況により「重視する欲求割合が違う」といった感覚です。

つまり、3段階目の社会的欲求が最も強い時もあれば、5段階目の自己実現欲求が最も強い時があるといった感じです。

私は心理学者ではありませんから、確かな事を言えるわけではありませんが、ぞれぞれの欲求段階に更なるレベルが存在し「同じ欲求」であっても一度手に入れた欲求を「超える」欲求を引き続いて欲するということがあるように思います。

自分の賃金額に「大満足だ。不満はまったくない」と言い切れるヒトは多くありません。

たとえば今の賃金額が不満だというヒトに、自分に見合う賃金額を聞き、あえてその額の賃金額を支給したとします。

当然、求めていた欲求が満たされたわけですから、支給された当初はモチベーションも上がる事でしょう。

ただし、そのモチベーションが将来にわたって維持されることはありません。

一度達成した欲求のレベルが上がったため、一度手に入れた欲求を「超える」欲求を求めるようになっていくからです。

再び「賃金額が不満だ」という段階に戻ってしまうでしょう。

ヒトは感情も欲もある生き物ですから、それ自体を否定するつもりはありませんが、ある一つの欲求を満たせば良いという単純な事ではないことは確かです。

そのため、社員のモチベーションを高めるため、定着率を高めていくために、どのような施策が有効なのかを一言で表すのは非常に難しいと言えます。

ただ一つ言えるとすれば「会社に勤めているうえで、まったく満たされていない欲求がある」状態を作らないことが重要だと考えています。

つまり「まったく評価されない」といった承認の欲求がまったく満たされていない状態であったり、社内で孤立してしまう(仲間がいない)など社会的欲求がまったく満たされていない状態が続くようなことがあれば、モチベーションの低下や退職者の増加などの悪影響が大きく出てくるでしょう。

そのため、ある一つの欲求を満たすための施策をするのではなく「欲求を満たすべき状態すら無い」という状況を作らないことの方が重要だと思います。

賃金を上げれば常にモチベーションが上がるわけでもなく、労働条件を改善すれば退職者が減るわけでもないのは、一定の欲求が満たされたとしても「満たされていない欲求がより強く不満へとつながる」からではないでしょうか。

全ての欲求を満たすことは事実上不可能であり、満たされた欲求は更に強い欲求を生み出していきますので、適度にバランスよく欲求を「刺激」できる状態を作り上げていくことの方が現実的です。

ただし、ヒトは一度手にした欲求を手放すことはできません。

そのため、一度与えた欲求を奪うようなことになれば、大きなモチベーション低下を生み出してしまいますので、人事・労務管理上の施策を行う際には、その施策によって得られる欲求が将来に向かって現実的に維持できる欲求なのかどうかも慎重に検討していきたいところです。

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posted by マサ at 19:48| 社労士日記

2016年06月30日

目的を達成するためだけの手段であってはならない

近年、新卒で入社した社員を長い時間かけて育てていくというより、スキルを持った経験者を積極的に中途採用するといったケースが増えてきています。

ヒトを育てるには時間とコストがかかりますので、必要なスキルや経験を持っているヒトを採用していくことに合理性はありますし、即戦力として働いてくれる期待感もあります。

そのような中途採用では、入社と同時に部長等のマネジメント職に就任するなど、すぐに幹部として入社するケースも。

多くの場合、新たに入社した会社の風土や実務上の取り扱いなどを把握するために、部下となった社員とのコミュニケーションを積極的にとりながら、物事を進めていくヒトが多いのですが、中には自らの考え方や方法をいきなり強制するような動きをしてしまうヒトも少なからず存在しています。

この動きとは「以前の会社ではこのようにやっていた」といったことや「このようにやるのが一般的」といったように、入社した会社で行われているルールなどを顧みることなく、自身の考え方や実務上の取扱い方法を強制しだしてしまうようなケースです。

もちろん合理性のある改革は大歓迎ですが、まずは部下となった社員とのコミュニケーションをとらなければ、まわりのモチベーションの低下を招きかねません。

どの会社にも創業以来試行錯誤しながら構築してきた人事・労務管理の考え方や実務上の取扱いがあるわけですので、まずはコミュニケーションを取りながら「このような選択肢もあるのでないか」といった提案から入って頂きたいところです。

お客様からこのようなご相談を受けるたびに、実は自らを戒める意味も含めて、考えさせられることが多くあります。

外部の士業者やコンサルタントは、自らの考え方の正当性や実務上の取扱いについて「こうあるべき」という一定の基準を持っており、その基準に自信をもって諸問題にあたっているはずです。

しかしながら400万事業所あると言われる企業において、考え方や方向性は多種多様であり、外部士業者等が持つ基準である「枠」に全てはめ込むことは現実的ではありません。

だからこそ様々な意見を聞きながら「こうあるべき」という自己主張ではなく、あくまで「このような選択肢もあります」という選択の幅を広げることに力を注いでいくことになるわけです。

人事・労務管理の世界における理想と現実は微妙な距離感を持って双方を刺激しあっているものです。

この微妙な距離感を縮める必要に迫られたとき、私の脳裏には「目的を達成するためだけの手段であってはならない」という言葉が常に浮かんできます。

自らの考え方の正当性などを達成することを目的とし、現場の状況を無視して手段を選んでしまえば、当然ながら混乱を招くことになるからです。

感情の生き物であるヒトが集う会社の人事・労務管理の世界では、会社運営上ベストな選択なのか、働く人にとってどのような影響があるのかといった「現場を知り運用を重視すること」を大事にしながら様々な問題を判断していくべきであり、目的ありきで手段を選ぶのは避けていきたいところだと思います。

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2016年05月31日

リファラル採用からみる人材採用戦略

近年「人材を募集しているが、希望する能力を持った人がいない」「人材募集をかけているが、そもそも応募が無い」など、採用活動に苦労する声が多く聞かれています。

特に中小企業においては、ハローワークや人材紹介会社、求人情報誌や求人広告など様々な媒体を使って人材募集をしているが、求人掲載料やエージェントに支払う手数料などの金銭的コストや書類選考等に係る人的コストも限られているため、大々的に人材を募集するのにも限界があります。

そのような中で注目を浴びているのがリファラル採用と呼ばれる人材採用手法の一つで、要は自社社員の友人・知人、人脈を通じて、会社が求める人材を紹介・推薦してもらうといった採用手法です。

従来から「このような人を採用したいのだけど、良い人いないかな?」「私の友人にこのような人がいますよ」といったようなことは一般的に行われていることですので、それほど珍しいことではないのですが、このような身近な人から紹介・推薦を受けて採用活動をする流れを制度として仕組化していった手法がリファラル採用といえます。

日本の人事・労務管理の世界では、古くから縁故採用という考え方がありますが、リファラル採用とは、あくまで求める人材像を明確にし、採用候補者の質を高め、採用マッチングの精度を高めることを目的としています。

米国の採用経路の統計を見てみれば、リファラル採用による採用割合が最も多く、紹介者に対して一定の金銭的インセンティブを支払うなど、人材採用手法の一つとして確立しています。

人を紹介するということは、紹介者である自分自身の評判にも関わることなので、求める人材像に適合した人材を紹介する確率が高まることからマッチングの精度が高まる傾向にあります。

さらにリファラル採用により入社した社員も、その会社の社風や求められているスキルなどの正確な生の情報を紹介者から直に聞いているわけですから、「こんなはずではなかった」といったことになりにくく、定着率の向上も期待が出来ます。

ただし、制度としてリファラル採用を仕組化するには、一定のハードルがあるのも確かです。

リファラル採用を行う上で最も重要な部分は、社員自らが自分の勤めている会社に友人・知人を紹介したいと思う気持ちを持っていなければ、まったく機能しないということです。

そのため、ただ闇雲に求める人材像を示して、身近にマッチする人材がいるかを社員に求めたところで社員からの紹介は期待できません。

正直なところ、自らが勤める会社に対して100%満足していると公言できる人は稀です。

しかし、労働環境に不満はあるが賃金額には満足しているケースや、賃金額には満足していないが社内の人間関係には満足しているケースなど、その会社に勤め続けている理由といえる一定の満足している部分もあるはずです。

つまり、一定の満足度があり、かつ、社員の協力を得るための仕組みつくりこそがリファラル採用成功の鍵となります。

この協力を得るための仕組みとは、今まで外部に支払っていた採用コストを社員に還元する形での金銭的インセンティブを設定することや、紹介してほしい人材像の明確化から始まり、紹介から選考・入社・入社後のフォロー体制までの流れを明確化すること、さらには紹介してもらった人材が不採用となった場合であっても、会社として礼を尽くす体制など、安心して社員が紹介できるような仕組み作りは絶対的な条件となります。

このような仕組みを作り、社員に対してリファラル採用の趣旨や制度説明を行うことになるわけですが、直ぐに成果が出るほど簡単には進まないケースの方が多いと思います。

友人・知人を自らが勤める会社に紹介することで、どのような結果をもたらすかについて不安があるというのも正直なところなので、自社の事例を見てみないと踏み出せないというのも正直な声ではないでしょうか。

そのため、最初の内はリファラル採用の実施事例を作ることを優先し、人事に携わる社員や社外に顔の広い社員(営業等)を中心にキーマンとなるリファラル採用チームを結成するなどして、積極的に協力をお願いするなどの方法も有効になってくるでしょう。

それなりの成果が出るまで一定の金銭的・時間的コストがかかりますが、長い目で見れば採用戦略に有効な方法であると考えていますので、制度として仕組みを確立し、実施していく価値は十分あると思います。

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posted by マサ at 13:29| 社労士日記

2016年04月28日

制度実施に向けて最も重要なのは、事前に不安を解消すること

平成27年12月から常時50人以上労働者を使用する企業に義務化された「ストレスチェック制度」ですが、スタートしたばかりということもあり、積極的に実施・運用されているという状況にはなっていないようです。

ストレスチェックは、毎年1回定期に行うこととされているため、衛生委員会でストレスチェック制度実施に向けて検討を進めようと議題に上がるものの、実施方法・実施時期など具体的な決定まで至っていないケースが見受けられます。

ストレスによるメンタルヘルス不調を未然に防ぐ「1次予防の強化」を目的とするストレスチェック制度とはいえ、職場という特殊な環境下の中で「ストレス」という相当ナーバスな問題を扱わざるを得ない事への警戒感が会社側からも労働者側からも感じられます。

弊事務所の顧問企業様には、ストレスチェック制度の概要資料をお渡ししてありますが、人事からは「ストレスチェック制度の実施・運用をすること自体がストレスになりますよ・・」という冗談とも思えない声が聞こえてきており、義務化されているとはいえ、現場では実施に向けて高いハードルがあると感じているのが現状です。

その理由としてあげられるのがストレスチェックを受けた結果、自らが高ストレス判定となった場合の不安や高ストレスと判定された労働者へどのような配慮措置を取るべきなのかといった不安が労使ともに非常に強いことがあげられます。

ストレスチェックの結果は、医師等が労働者の同意を得ずに会社に結果を提供する事を禁止しているため、会社側が高ストレス判定を受けた社員がいるのか・いないのか、いる場合に誰が高ストレス判定を受けたのかといった情報全てを知ることは事実上難しいでしょう。

しかし「あなたは高いストレスを感じている状況にあることが判明しました!」という結果を聞かされて嬉しい人などがいるはずがありません。

会社側からしても高ストレス判定をうけた労働者に対して、どのような(どの程度の)人事・労務管理上の配慮措置をしていくことが必要なのかについて難しい判断が求められます。

このようなことからストレスチェック制度の実施・運用により新たなストレスを生み出すのでは?といった話も出てきていますが、そのようなことにならないように、きっちりとした事前準備が不可欠となります。

この事前準備とは、一言でいえば不安を解消するための説明を事前に行い、そのうえでストレスチェックを実施・運用していくことです。

マイナンバー制度が始まった時も感じたことですが、制度の概要や仕組みを知らなければ(情報量が少なければ)不安は募る一方です。

マイナンバー制度が始まった時には、希望のあった顧問企業様で社員向けのマイナンバー制度の勉強会を開催したのですが、終わった後の感想で「思っていたのと違ったので安心した」「完全に不安が解消できたわけでは無いが、会社にマイナンバーを提出する必要性は理解した」といった感想が出てきました。

概要や仕組みの説明と合わせて制度の正確な意図を伝え、不安に感じる部分の説明を行うことで、制度への理解が進み、不安を軽減することができます。

ストレスチェック制度も同様に「法律で義務化されたのでやります」といったことではなく、ストレスチェックとは何か、ストレスチェックをすることで何を目指すのか、不安に感じている部分の実際の丁寧な説明、といったストレスチェック制度の正確な意図を事前に説明することが重要になります。

このような説明をする際には、ストレスチェック制度を行うにあたって、万人が不安に感じる部分を中心としたQ&A方式の資料を用意すると理解度は高まります。

マイナンバー制度にせよ、ストレスチェック制度にせよ、万人が漠然と不安を感じている部分は共通しています。

だからこそ、制度の概要全般を説明する資料だけではなく、不安を感じている部分に特化したQ&A資料を必ず用意し説明する方が不安を少しでも解消する事に繋がっていくでしょう。

漠然とした不安を抱えている状態でストレスチェックを実施・運用し、逆にストレスを増やす結果となっては本末転倒ですので、不安に感じている部分を少しでも解消するための仕組みを通して、意味のあるストレスチェック制度の実施・運用を行っていきたいところです。

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posted by マサ at 15:11| 社労士日記

2016年03月31日

自らの考え方や思いを伝えるツールとして

本日42歳の誕生日を無事に迎えることが出来ました。

つい最近40代に突入したと思っていたのですが、20代・30代の時とは比較にならないほどの体感スピードで年を重ねていっているように感じます。

社会に出始めた20代の時とは違い、仕事・家族といった部分で特に責任のある年齢になりますので、自分が理想とする40代を目指していきたいところです。

さて、最近ブログやSNSといった情報発信ツールに書いた人事・労務管理に関する内容が「炎上」するなどして社会保険労務士が行政処分されるなど、悪いニュースで社会保険労務士の資格名を目にすることが続いています。

私もブログを書き始めて8年以上が経過しているのですが、ありきたりな法改正情報といった内容ではなく、感情の生き物であるヒトが織りなす人事・労務管理の世界に起こる様々な問題や考え方について、自分なりの言葉で文章を書き、お伝えしてきました。

置かれた立場(経営側としての立場と労働側としての立場)が違うと、人事・労務管理の世界で起こる様々な出来事への物事の捉え方が違ってくるのは、今までのニュースレターでも何度も書いてきたことですが、一個人に向けて書いているわけではないため、立場の違う人が読んでも不快な内容にならないようニュースレターの内容・書き方には相当気をつけて書いてきました。

それでもある程度突っ込んだ考え方を書くこともありますので、捉え方によっては賛否両論でるようなケースもあったかと思います。

置かれた立場や個人的感情により物事の捉え方が違うのが、感情の生き物であるヒトが織りなす人事・労務管理の世界ですから、Aさんが是としてもBさんにとって非とすることは、当然の成り行きであり、「あちらを立てれば、こちらが立たず」といった状況が常にあるのが人事・労務管理の難しさでもあります。

そのため人事・労務管理に関する自らの考え方や主張を万人が見ることのできるブログやSNSといったツールを使って表現していく場合には、内容や書き方には十分な配慮が必要になってきます。

加えて人事・労務管理に関する情報は、高度な秘密情報のため、実例をあげて表現することが難しく、なぜそのような考え方に至ったのかについて不特定多数に向けて説明することは困難です。

そのため社会保険労務士に限らず、各士業者は裏方としてクライアントを支える仕事であり、自らの考え方やモノの見方を万人に向けて発信すべきではないといった意見が出てくるのも自然なことでしょう。

しかし国家資格は個人に与えられるものですから、その個人がどのような考え方(スタンス)で仕事をしているのかを伝えていくべきことも少なからず必要になります。

同じ資格をもっていれば、同じ考え方・解釈によるサービスの提供を受けられるということであれば所持資格を公表すればよいだけですが、同じ社会保険労務士資格者同士で問題解決への議論をした時に全ての人が同じ解決方法を提案するということは稀です。

これも置かれている立場や個人的経験・感情から生み出される物事の見方の違いからくるものですので、問題解決や提案内容がヒトそれぞれとなることは当然です。

近年ブラック企業という企業側の負のワードが出てきたかと思えば、モンスター社員という労働者側の負のワードもでてくることを見ても、どちらが正義で、どちらが悪という単純な図式ではないのは明白です。

だからこそ経営者側弁護士や社会保険労務士、労働者側弁護士や社会保険労務士といったように、同じ資格を持つ同士でありながら真逆の立場でサービスを提供するといったことが起こることになります。

様々な専門分野において自らの立場・経験・感情から生み出される物事の捉え方や考え方をクライアントが持つ悩みを解決するための「選択肢の一つ」として提案するのが士業ビジネスであるので、士業者個々人が様々な物事の見方・考え方を持ち、それをベースとして提案を行うのは大事なことだと思います。

そのような中でニュースレターやブログ、SNSといった情報発信ツールを使って「何を表現し何を伝えたいのか」ということを自問自答してみれば、今まで以上に内容や伝え方には細心の注意を払うことが必要ながら、自らの考え方や思いを伝える大事なツールとして、従来のスタンス通り「自らの物事の見方や考え方を通して人事・労務管理の世界に起きている今」を自らの言葉で書いていければと思います。

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posted by マサ at 17:44| 社労士日記